第三百九十五話 (※センシティブな内容につき閲覧注意)
ー/ー そして、公演当日。VIP席を深淵のように深く暗い目で睨みつける高野。しかし、そこには重役の姿だけではなく、婚約者や妹の姿すらなかったのだ。
客の入っていない状態で、その重役の息子の胸ぐらを乱暴に掴み、二人の行方を問い質したのだ。
(どこにいる……あの腐り切った外道はどこにいるッッッ!!)
(ああ、その件ッスね。簡単な話ッスけど……『映像』、見ます??)
男からスマホをひったくる高野。そこに映し出されていた映像は……重役だけではなく、自分よりも遥かに屈強な体躯の男たちに蹂躙されている姿であった。声は多少なり抵抗していたものの、その声の色は非常に艶やかであった。
(昨日、凄かったッスよ? 俺は今日の公演があるから、ってので早めに抜けましたけど……今日この場に居ない理由こそこれッス。多分、全員『この公演のことなんてすっかり忘れて』、獣のようにヤリまくってるんじゃあないッスか??)
どこまでも腐り切った、その性根に遂に堪忍袋の緒が切れた高野は――男を何度も、何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も、何度も殴り倒して、何度も蹴り倒して殺した。自分の拳が壊れようと、自分の足が壊れようと、怒りのままに暴力を超えた力を振るったのだ。
彼女たちが心打たれる劇を見せれば、多少は勝ちの目がある。
自分の演劇には、それほどの力がある。
だからこそ、多くの観客は若き超新星たる高野を称賛し、多くのスポンサーの付く存在になった。だからこそ、どこまでも汚れていようと、救いの目はあると考えていたのだ。
しかし、人間はどこまでも腐ることのできる存在であった。
社会の利権、暴力的なまでの越権行為、そして人の女、それら全てを食らってもなお、改心の余地など一切ない外道にだって、成り果てることが出来ると知った時には――もう高野は感情を壊された羅刹になるしかなかったのだ。
劇団員も、男の行為にはほとほと呆れ果てており、庇う気すらなかった。因果応報という言葉がそのまま似合うような存在であったため、高野が殺した男の『処理』に付き合った。その公演に似合う、エリックが未遂で終わらせたような事実上の拷問方法である、水責め……所謂、水没死体として処理したのだった。
そのことがバレるのは、そう遠くない話。『オペラ座の怪人』の全公演が終わった後に、警察の人間が高野を追及したのだ。
思わずその場から逃げ出そうとしたが、もう高野の足はガラスの脚そのものであった。男を無残に殺したあの時から、崩壊への時間制限は進み始めていたのだ。
逮捕状を見せつけられながら、手錠を掛けられる、その瞬間。警察の二人の頭が、何の因果か完全に切り落とされたのだ。
『すっごいね、昨今のエロ本も顔負けの、婚約者と実の妹、二人のリアルNTRをやられるとは。思わず笑っちゃったよ。でもその殺しに関する意気やよし、君のその激情と熱意、そしてやるときはやるプロ意識……私にその力、貸してくれないかな? 君のような本当に可哀想な存在も……救う義務があると思ってね』
眼前に現れた存在こそ、カルマ。得体のしれない存在ながら、彼女の手を取った瞬間にこれまでのもの全てが脆く壊れてしまいそうなほどに、妖しく危うげな存在であると知覚した高野。しかし、今はどんな助けの手であっても「欲しい」と願ってしまったがゆえに――その手を取るのだった。
『やったね、交渉成立だ。実は君の愛する二人を寝取ったあのクソブーデー、正直気に食わないと思ってんのよ。何せ、そのテレビ局の視聴率と金、それと性玩具のような女くらいしか興味のない、自分が言うのもなんだけどクソ男でね。それを殺せるチャンスがあるらしいんだ。君は確か、立身の出だし……栃木出身だよね? なら、うってつけの復讐を果たせる場所があるんだわ』
同級生である高梨には悪いと思っているのだが、高野自身は復讐を果たすことに生きがいを見いだす存在であった。曲がったことは嫌うものの、正々堂々と殺せば――今からでも二人を取り戻せる。
二人を取り戻すために、どこまでも悪の道を進むと誓った時には……既に舞台上での煌びやかな主役は、怪人の仮面を被り、孤高の犯罪者へと成り果てていたのだ。
客の入っていない状態で、その重役の息子の胸ぐらを乱暴に掴み、二人の行方を問い質したのだ。
(どこにいる……あの腐り切った外道はどこにいるッッッ!!)
(ああ、その件ッスね。簡単な話ッスけど……『映像』、見ます??)
男からスマホをひったくる高野。そこに映し出されていた映像は……重役だけではなく、自分よりも遥かに屈強な体躯の男たちに蹂躙されている姿であった。声は多少なり抵抗していたものの、その声の色は非常に艶やかであった。
(昨日、凄かったッスよ? 俺は今日の公演があるから、ってので早めに抜けましたけど……今日この場に居ない理由こそこれッス。多分、全員『この公演のことなんてすっかり忘れて』、獣のようにヤリまくってるんじゃあないッスか??)
どこまでも腐り切った、その性根に遂に堪忍袋の緒が切れた高野は――男を何度も、何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も、何度も殴り倒して、何度も蹴り倒して殺した。自分の拳が壊れようと、自分の足が壊れようと、怒りのままに暴力を超えた力を振るったのだ。
彼女たちが心打たれる劇を見せれば、多少は勝ちの目がある。
自分の演劇には、それほどの力がある。
だからこそ、多くの観客は若き超新星たる高野を称賛し、多くのスポンサーの付く存在になった。だからこそ、どこまでも汚れていようと、救いの目はあると考えていたのだ。
しかし、人間はどこまでも腐ることのできる存在であった。
社会の利権、暴力的なまでの越権行為、そして人の女、それら全てを食らってもなお、改心の余地など一切ない外道にだって、成り果てることが出来ると知った時には――もう高野は感情を壊された羅刹になるしかなかったのだ。
劇団員も、男の行為にはほとほと呆れ果てており、庇う気すらなかった。因果応報という言葉がそのまま似合うような存在であったため、高野が殺した男の『処理』に付き合った。その公演に似合う、エリックが未遂で終わらせたような事実上の拷問方法である、水責め……所謂、水没死体として処理したのだった。
そのことがバレるのは、そう遠くない話。『オペラ座の怪人』の全公演が終わった後に、警察の人間が高野を追及したのだ。
思わずその場から逃げ出そうとしたが、もう高野の足はガラスの脚そのものであった。男を無残に殺したあの時から、崩壊への時間制限は進み始めていたのだ。
逮捕状を見せつけられながら、手錠を掛けられる、その瞬間。警察の二人の頭が、何の因果か完全に切り落とされたのだ。
『すっごいね、昨今のエロ本も顔負けの、婚約者と実の妹、二人のリアルNTRをやられるとは。思わず笑っちゃったよ。でもその殺しに関する意気やよし、君のその激情と熱意、そしてやるときはやるプロ意識……私にその力、貸してくれないかな? 君のような本当に可哀想な存在も……救う義務があると思ってね』
眼前に現れた存在こそ、カルマ。得体のしれない存在ながら、彼女の手を取った瞬間にこれまでのもの全てが脆く壊れてしまいそうなほどに、妖しく危うげな存在であると知覚した高野。しかし、今はどんな助けの手であっても「欲しい」と願ってしまったがゆえに――その手を取るのだった。
『やったね、交渉成立だ。実は君の愛する二人を寝取ったあのクソブーデー、正直気に食わないと思ってんのよ。何せ、そのテレビ局の視聴率と金、それと性玩具のような女くらいしか興味のない、自分が言うのもなんだけどクソ男でね。それを殺せるチャンスがあるらしいんだ。君は確か、立身の出だし……栃木出身だよね? なら、うってつけの復讐を果たせる場所があるんだわ』
同級生である高梨には悪いと思っているのだが、高野自身は復讐を果たすことに生きがいを見いだす存在であった。曲がったことは嫌うものの、正々堂々と殺せば――今からでも二人を取り戻せる。
二人を取り戻すために、どこまでも悪の道を進むと誓った時には……既に舞台上での煌びやかな主役は、怪人の仮面を被り、孤高の犯罪者へと成り果てていたのだ。
みんなのリアクション
まだリアクションはありません。最初の一歩を踏み出しましょう!
おすすめ作品を読み込み中です…
作者の他の作品
この作者の他作品はありません。
この作品と似た作品
似た傾向の作品は見つかりませんでした。
この作品を読んだ人が読んでいる作品
読者の傾向からおすすめできる作品がありませんでした。
おすすめ作品は現在準備中です。
おすすめ作品の取得に失敗しました。時間をおいて再度お試しください。