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SCENE150 百鬼夜行の招集

ー/ー



 瞬のダンジョンを出発した私は、百鬼夜行の本部へと向かう。
 管理局の駐車場を借りているので、そこまでの歩きが一番時間がかかるのが問題だが、私にとってこの程度の距離は苦でも何でもない。
 無事に管理局まで戻ってきた私は、車を置かせてもらった礼を言うと、早速車を走らせる。
 横浜にある百鬼夜行の本部までは、下道を走っても一時間程度だ。渋滞に巻き込まれることもなく、私は無事に百鬼夜行の本部にたどり着いた。

「石橋衣織、今戻りました」

 私は名乗りながら会議室にやってくる。
 そこには剛力さんに色、それ以外にも数名のギルドメンバーが集まっていた。

「ようやく戻ったか、衣織」

「ああ、瞬のダンジョンに行っていたんだ。そうだ。いいものをお土産にもらってきたから、これで多少ダンジョン攻略が楽になるだろうと思う」

 剛力さんから声をかけられて、私はいろいろと話をする。
 その中で、瞬からもらってきたものの話を出したら、みんな何事かと反応しているようだな。
 ダンジョンマスターからお土産をもらうとか、普通はないからな。討伐してそのドロップ品を拾うってのが一般的だから、みんなこうやって反応するんだろう。

「こっちはラミアプリンセスである瞬のうろこ。こっちは一緒に住んでいるラティナの作った護石だ」

「すごいな。こんなのが手に入るのか、あのダンジョンは」

 剛力さんはすぐに目の前のアイテムの詳細が分かったらしく、その効果に唸っているようだな。さすがとしか言いようがない。

「ダンジョンマスターと知り合いになると、こんな恩恵があるのか」

 他のメンバーは違った点に反応しているようだな。
 まあ、ダンジョンマスターと仲良くなるなんてのは、普通はありえない話だからな。
 でも、私たち百鬼夜行は、北関東の廃鉱山ダンジョンですでにそれをひとつ実現させている。別に不思議なことじゃないんだよな。
 そんなことよりも、今回の招集の方が気になる。ダンジョンの攻略とか言っているが、一体どこのダンジョンを攻略するつもりなんだろうな。

「剛力さん、今回の招集、内容はどんなことなんですか?」

 回りくどいのは全部無視だ。
 私はドストレートに剛力さんに質問をぶつける。
 現在の日本には百以上のダンジョンが存在している。世界まで合わせると、それこそ千を超えて、万近いダンジョンがあると推定されている。
 あの日、世界中にダンジョンが現れてからというもの、攻略されて消滅したダンジョンは百にも満たない。
 剛力さんはそのダンジョンを攻略しようというのだ。生半可な決意じゃないだろうし、しっかりと情報も集めたことだろう。私は真剣な表情を剛力さんに向けている。

「ああ、メールで送った通り、本格的にダンジョンを攻略する」

「どこのですかね」

 剛力さんの言葉を聞いて、すぐに聞き返す。

「最近、ダンジョンブレイクの気配があるというダンジョンだ」

「日本国内なら、数は絞られますね。それで、どこなんですかね」

 曖昧に返してくる剛力さんへ、私はとにかく追及の手を緩めない。
 私と剛力さんとの間で睨み合いが続く。
 やがて、剛力さんがようやく話をする気になったようだ。

「樹海ダンジョンだな。ここからならかなり近い場所だ」

「ああ、あの有名な樹海ですか。あそこ、ダンジョンブレイクを起こすんですか?」

 剛力さんが話した内容を聞いて、改めて問い掛ける。
 そしたら、剛力さんの表情がかなり曇ったようだ。その様子から察するに、あまり予断の許されない状況にあるようだ。

「探索者でなくても向かう者が多くいる場所だからな。そういった連中が、ダンジョンブレイクに一役買っているらしいという話だ」

「なるほど。探索者適性のない者が入り込むことで、ダンジョンと内と外が曖昧になってきているというわけですね」

「そういうことだ。我々としては、とても看過できない状況になってきているというわけだ。なにせ、あそこはどこからダンジョンか分かりにくいからな」

 剛力さんは腕を組んで、険しい表情のまま話を続けている。
 そのまま、再び会議室の中は沈黙に包まれてしまう。さすがの百鬼夜行の面々でも、樹海ダンジョンは怖いっていうことなのだろう。
 あそこは場所のせいもあって植物系とアンデッド系が出てくるものね。お化けが怖いとなれば、ためらうのも無理はない。
 しかしだ。このまま黙り込んでいても話は進まないというものだ。
 ダンジョンブレイクの危険性もあるというのなら、早めに対処すべき話だしな。みんなが怖がっているモンスターどもが、ダンジョンの外にあふれ出すわけなんだから、潰すの一択に決まっている。

「分かりました。私は行きましょう」

「おお、行ってくれるか」

「もちろんですよ。ランカーでもある私が、周辺地域の危機に黙ってられるかというんですよ。ちょうど、精神系に耐性を持たせてくれる瞬のうろこもありますからね」

 私はにやりと笑ってみんなを安心させようとする。
 だけど、やっぱりみんなはまだまだ怖がっているようだ。まったく、ダンジョンでモンスターと戦う探索者がそんなんでどうするって気がするよ。
 ともかく、ダンジョンブレイクを避けるために、私は樹海ダンジョンの攻略に参加する決意を固めた。
 瞬、早速君がくれたものを試させてもらうよ。


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次のエピソードへ進む SCENE151 樹海ダンジョンについて


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 瞬のダンジョンを出発した私は、百鬼夜行の本部へと向かう。
 管理局の駐車場を借りているので、そこまでの歩きが一番時間がかかるのが問題だが、私にとってこの程度の距離は苦でも何でもない。
 無事に管理局まで戻ってきた私は、車を置かせてもらった礼を言うと、早速車を走らせる。
 横浜にある百鬼夜行の本部までは、下道を走っても一時間程度だ。渋滞に巻き込まれることもなく、私は無事に百鬼夜行の本部にたどり着いた。
「石橋衣織、今戻りました」
 私は名乗りながら会議室にやってくる。
 そこには剛力さんに色、それ以外にも数名のギルドメンバーが集まっていた。
「ようやく戻ったか、衣織」
「ああ、瞬のダンジョンに行っていたんだ。そうだ。いいものをお土産にもらってきたから、これで多少ダンジョン攻略が楽になるだろうと思う」
 剛力さんから声をかけられて、私はいろいろと話をする。
 その中で、瞬からもらってきたものの話を出したら、みんな何事かと反応しているようだな。
 ダンジョンマスターからお土産をもらうとか、普通はないからな。討伐してそのドロップ品を拾うってのが一般的だから、みんなこうやって反応するんだろう。
「こっちはラミアプリンセスである瞬のうろこ。こっちは一緒に住んでいるラティナの作った護石だ」
「すごいな。こんなのが手に入るのか、あのダンジョンは」
 剛力さんはすぐに目の前のアイテムの詳細が分かったらしく、その効果に唸っているようだな。さすがとしか言いようがない。
「ダンジョンマスターと知り合いになると、こんな恩恵があるのか」
 他のメンバーは違った点に反応しているようだな。
 まあ、ダンジョンマスターと仲良くなるなんてのは、普通はありえない話だからな。
 でも、私たち百鬼夜行は、北関東の廃鉱山ダンジョンですでにそれをひとつ実現させている。別に不思議なことじゃないんだよな。
 そんなことよりも、今回の招集の方が気になる。ダンジョンの攻略とか言っているが、一体どこのダンジョンを攻略するつもりなんだろうな。
「剛力さん、今回の招集、内容はどんなことなんですか?」
 回りくどいのは全部無視だ。
 私はドストレートに剛力さんに質問をぶつける。
 現在の日本には百以上のダンジョンが存在している。世界まで合わせると、それこそ千を超えて、万近いダンジョンがあると推定されている。
 あの日、世界中にダンジョンが現れてからというもの、攻略されて消滅したダンジョンは百にも満たない。
 剛力さんはそのダンジョンを攻略しようというのだ。生半可な決意じゃないだろうし、しっかりと情報も集めたことだろう。私は真剣な表情を剛力さんに向けている。
「ああ、メールで送った通り、本格的にダンジョンを攻略する」
「どこのですかね」
 剛力さんの言葉を聞いて、すぐに聞き返す。
「最近、ダンジョンブレイクの気配があるというダンジョンだ」
「日本国内なら、数は絞られますね。それで、どこなんですかね」
 曖昧に返してくる剛力さんへ、私はとにかく追及の手を緩めない。
 私と剛力さんとの間で睨み合いが続く。
 やがて、剛力さんがようやく話をする気になったようだ。
「樹海ダンジョンだな。ここからならかなり近い場所だ」
「ああ、あの有名な樹海ですか。あそこ、ダンジョンブレイクを起こすんですか?」
 剛力さんが話した内容を聞いて、改めて問い掛ける。
 そしたら、剛力さんの表情がかなり曇ったようだ。その様子から察するに、あまり予断の許されない状況にあるようだ。
「探索者でなくても向かう者が多くいる場所だからな。そういった連中が、ダンジョンブレイクに一役買っているらしいという話だ」
「なるほど。探索者適性のない者が入り込むことで、ダンジョンと内と外が曖昧になってきているというわけですね」
「そういうことだ。我々としては、とても看過できない状況になってきているというわけだ。なにせ、あそこはどこからダンジョンか分かりにくいからな」
 剛力さんは腕を組んで、険しい表情のまま話を続けている。
 そのまま、再び会議室の中は沈黙に包まれてしまう。さすがの百鬼夜行の面々でも、樹海ダンジョンは怖いっていうことなのだろう。
 あそこは場所のせいもあって植物系とアンデッド系が出てくるものね。お化けが怖いとなれば、ためらうのも無理はない。
 しかしだ。このまま黙り込んでいても話は進まないというものだ。
 ダンジョンブレイクの危険性もあるというのなら、早めに対処すべき話だしな。みんなが怖がっているモンスターどもが、ダンジョンの外にあふれ出すわけなんだから、潰すの一択に決まっている。
「分かりました。私は行きましょう」
「おお、行ってくれるか」
「もちろんですよ。ランカーでもある私が、周辺地域の危機に黙ってられるかというんですよ。ちょうど、精神系に耐性を持たせてくれる瞬のうろこもありますからね」
 私はにやりと笑ってみんなを安心させようとする。
 だけど、やっぱりみんなはまだまだ怖がっているようだ。まったく、ダンジョンでモンスターと戦う探索者がそんなんでどうするって気がするよ。
 ともかく、ダンジョンブレイクを避けるために、私は樹海ダンジョンの攻略に参加する決意を固めた。
 瞬、早速君がくれたものを試させてもらうよ。