15話 脱走(3)
ー/ー「……もう大丈夫だからよ。下の階に行こーぜ」
「何言ってんだよ! まだ冷やさないと!」
「気遣う相手が違うだろ? ほら……」
翔の視線先には、氷水が入った袋を足元に転がした小春が立っていて、その全身はガタガタと震えていた。どうやら一部始終を見ていたようだった。
「サンキュー、小春! こんな。熱気に満たされたところに居たら、余計に火傷が悪化するし、とっとと離れようぜ。こんだけ水で冷やしたら大丈夫だからよ?」
床に散らばった氷袋を拾い上げ、先を歩いて行く翔に、追い掛ける凛は氷水の袋を押し付けて歩く。
そんな二人に習って、俺達も下に降りようと小春に声をかける。
「小春。……小春?」
目の前に立って呼びかけても反応がなく、手で注意を引こうとするも、やはりこちらを見ようとはしない。
ただ時が止まってしまったかのように、小春は一点を見つめていた。
廊下の端には、濃いピンクと赤のチェック柄のスマホカバーが転がっていて、小春の物だと分かる。
「ほら、スマホ」
「……あ、ごめん」
ようやく視線が合い、意思疎通が出来るが、小春はこちらの話が一切入ってこないのか相変わらず相槌すら打たない。
手を引いて階段を降りて行くと翔と凛が居て、小春はいつも間にか自分の意思で歩いていた。
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