13話 脱出(1)
ー/ー「大丈夫……?」
ひんやりと冷たくて硬い床に座り込んでいた俺達に、呼びかけてくれる小さな声。
小田くんと同時に声がする階段上に目を向けると、そこには小春が一人で立っていた。
「……あ」
小春は小田くんと目が合うと明らかに顔を歪めて、走り去ってしまった。
しかしそれを見ていた小田くんは、明らかに無礼なことをされているのに謝ってきた。俺に。
二人は一年の時、特進クラスである一年三組でクラスメイトだった。
別に小田くんが悪かったなんて責めるつもりないし、男子は関与してなかったとも聞いている。むしろ知らなかった人もいたらしいし。
だから小田くんが謝るなんて筋違いだし、こんな顔しなくて良いのに、ずっと小春が立っていた階段上を眺めていた。
しばらくすると段々と近付いてくる、パタパタとした降下音。それは先程と同じで、こちらに向かって駆け降りてきたのは小春だった。
「……あの、これ……」
小春は小田くんの手の平に小さな布切れを乗せ、言葉に詰まってしまったのか小田くんの頬を指差し、そのまま階段を駆け上がって行ってしまった。
口と目が開いたままの顔を覗き込むと、その頬には血が滲んでおり、おそらく転けた時に擦り剥いたのだろう。
こんなに大きな傷になっていたのに俺は見た目で気付かず、小田くんも全く痛みに気付いていなかったようで、俺達の精神状態は異常なのだと突きつけられる。
とにかく血を拭かないと。
呆然とする小田くんの手の平にはうさぎのハンカチが握られており、先程俺に貸してくれた物だ。
走り去ったのは、濡らしに行ったからか。
避けてたわけじゃなかったんだな。
「貸してもらうね」
そっとハンカチを取り小田くんの顔に近付けると、掴まれる俺の手。
「……ごめん、そんな資格ないから……」
スッと立ち上がる顔にはもう怯えは一切なく、「不安にさせてるだろうから戻るね。本当にごめん。……ありがとう」。その言葉を残して階段を登って行った。
不安にさせている相手は、間違いなく内藤さんだろう。
放っておけば良いよ、あんな人。
背中に向かって叫びたかったが、それは小田くんが決めること。
だから俺も、戻るしかなかった。
ひんやりと冷たくて硬い床に座り込んでいた俺達に、呼びかけてくれる小さな声。
小田くんと同時に声がする階段上に目を向けると、そこには小春が一人で立っていた。
「……あ」
小春は小田くんと目が合うと明らかに顔を歪めて、走り去ってしまった。
しかしそれを見ていた小田くんは、明らかに無礼なことをされているのに謝ってきた。俺に。
二人は一年の時、特進クラスである一年三組でクラスメイトだった。
別に小田くんが悪かったなんて責めるつもりないし、男子は関与してなかったとも聞いている。むしろ知らなかった人もいたらしいし。
だから小田くんが謝るなんて筋違いだし、こんな顔しなくて良いのに、ずっと小春が立っていた階段上を眺めていた。
しばらくすると段々と近付いてくる、パタパタとした降下音。それは先程と同じで、こちらに向かって駆け降りてきたのは小春だった。
「……あの、これ……」
小春は小田くんの手の平に小さな布切れを乗せ、言葉に詰まってしまったのか小田くんの頬を指差し、そのまま階段を駆け上がって行ってしまった。
口と目が開いたままの顔を覗き込むと、その頬には血が滲んでおり、おそらく転けた時に擦り剥いたのだろう。
こんなに大きな傷になっていたのに俺は見た目で気付かず、小田くんも全く痛みに気付いていなかったようで、俺達の精神状態は異常なのだと突きつけられる。
とにかく血を拭かないと。
呆然とする小田くんの手の平にはうさぎのハンカチが握られており、先程俺に貸してくれた物だ。
走り去ったのは、濡らしに行ったからか。
避けてたわけじゃなかったんだな。
「貸してもらうね」
そっとハンカチを取り小田くんの顔に近付けると、掴まれる俺の手。
「……ごめん、そんな資格ないから……」
スッと立ち上がる顔にはもう怯えは一切なく、「不安にさせてるだろうから戻るね。本当にごめん。……ありがとう」。その言葉を残して階段を登って行った。
不安にさせている相手は、間違いなく内藤さんだろう。
放っておけば良いよ、あんな人。
背中に向かって叫びたかったが、それは小田くんが決めること。
だから俺も、戻るしかなかった。
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