12話 脱走(2)
ー/ー見つけた!
二階の階段下で膝を付いていた小田くんはまた立ち上がり、早々に掛けて行く。
なんて速さなんだ。
階段を駆け下り一階の廊下を全力で走るが、どんどんと小さくなる背中。
いや、俺が遅いんだ。……翔だったら。
己の愚鈍さを呪いつつ、職員室、用務員と抜けると、目の前は玄関ホール。
透明な引き戸は何故か施錠もされていなくて、小田くんが力を入れると簡単に開いてしまった。
ダメだ、間に合わない。
そう悟った俺は最後の力を出し、ヒリつく喉から声を出そうとした時。
パァン!
乾いた音が響き渡った。
途端に倒れてしまった小田くんに後先考えずに駆け寄ってしまうと、腕を引っ張られた俺はその横に倒れ込む。
「あ……、あれ……」
顔面蒼白で、ガタガタと震えながら外を指差す姿。その様子から、逆に俺の体は熱くなっていく。
「隠れていて」
嗚咽を漏らす姿に自分がなんとかしないといけないと思い、生徒用靴箱を使用して身を隠し、外に続く透明なドアに視線を向ける。
そこには学校周辺を取り囲んでいた黒い服に身を包んだ人物達が、こちらに何かを向けているように見えた。
『君! 戻りなさい!』
体育祭とかで先生が使うような拡張機の音声が外より響き、身を隠していたつもりだったが、あまりにもあっけなく見つかってしまったようだ。
心臓が跳ね、本能的に体が勝手に動いていた俺は、小田くんが座り込んでいる階段前まで一目散に駆けていた。
何だよ、あれ!
蹴躓いた俺は、その場に倒れ込んでしまった。
上手く受け身を取れず額を打ちつけてしまったが、そんなことどうでも良い。
……あんな人達が来る事態、ということなのか……。
クラクラとする頭を抱えて、その場に座り込む。
黒い服に身を包み、何かを差し向けてくる。
まさかと思っていたけどあの人達は特殊部隊で、あの破裂音は銃だ。
テロ事件が起きた時などに動員されることになっているらしく、以前テレビの特集でテロ実行犯達を速やかに検挙する姿を見て、カッコいいと声を漏らすこともあった。
弱きを助け、強きを挫く。
そんな言葉に痺れたこともあった。
しかしその銃口は、一般市民である俺達に向けられた。
……警察が、こちらに銃を向け発砲している。
これはテレビやミーチューバの企画ではない。失敗すれば死ぬ、命をかけたデスゲーム。
この国はそんな悪に手を貸すほど、強きにより挫かれてしまったということなのだろうか?
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