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SCENE148 運要素ってあるんだね

ー/ー



 ボス部屋まで戻った僕は、ドローンを引っ張り出して配信を始める準備をする。

「おや、プリンセス。どろーんとやらを取り出しているところを見ますと、配信をするおつもりですか?」

「うん。記念すべき迷路の第一号のお客さんだよ? 配信しなくてどうするっていうんだよ」

 僕は同時にダンジョンコアを呼び出し、迷路内の状況を分かるようにする。
 ドローンにはダンジョンコアを映さないように設定を施すと、いよいよ配信を始めることにする。

「みなさん、おはようございます。ダンジョンマスターのウィンクです」

 時間はまだ朝早い時間なので、僕は挨拶を変えて話している。

『おはらみあ~』

 ノリのいい視聴者さんは、僕の挨拶の変化に合わせて挨拶をしてくる。だけど、やっぱり『らみあ』の単語は入るんだ……。
 挨拶には困った顔をするけれど、視聴者さんたちの決まり文句みたいなものだから、とりあえずスルーしておこう。

「えっと、本日の配信は、迷路の挑戦者がやってきたのでその中継配信をするためです」

『おいおい、早いな』

『昨日の今日だろ?』

 視聴者さんたちもこの反応だ。さすがに驚きを隠せないといったところかな。

「えっと、それで。僕のダンジョンマスターの権限を使って、挑戦者たちの様子を一緒に見守ろうというのが今日の配信です」

『ああ、そっか』

『ダンマスって、ダンジョン内の監視ができるんだっけか』

「はい。詳しいことはダンジョンの秘密になりますので、お教えできませんのでご了承くださいね」

『りょ』

 視聴者さんたちは、僕の注意に素直に応じてくれる。本当にいい人たちばかりで嬉しいよ。

『おや?』

「どうしましたか?」

『いや、どうやら参加者も配信しているみたいだね』

「ああ、やっぱりそうですか。でも、どうやって見てるんですか?」

『携帯とパソコンの二台で見てる』

「そっか。そういう方法があったんだ」

 どうやら、両方を見ている視聴者さんは自宅でこの配信を見ているみたいだ。だから、携帯電話とパソコンの両方で配信を見ていられるらしい。器用だなぁ。
 世の中いろんな人がいるんだなと思いつつ、僕は挑戦者の三人の様子を見守る。
 そういえば、どうして僕がダンジョン内の様子を見ていられるのか不思議に思うかもしれない。
 ダンジョンマスターとなると、自分のダンジョンと魔力を通わせることができる。そのため、それを通してダンジョン全体を把握できるというわけなんだ。それを突き詰めていけば、ダンジョンの中をこのように鮮明に見ることができるというわけ。
 だけど、その様子を見るためには、こうやってダンジョンコアを呼び出さないといけないので、便利なようで不便なんだよね。
 僕とバトラーがダンジョンに人がやってきたことを感じ取れるのも、このシステムのおかげなんだ。

 さて、迷路の方へと話題を戻すね。
 今回やってきた三人は、バトラーが話していたように片手の法則を使って迷路を進んでいるみたいだ。三人が選んだのは左手伝いに進む方法みたいだね。

『慎重になってるのか、壁に手をつきながら進んでるな』

『どんな迷路も、必ず最後には外に出られるからな』

『けど、ちょっとなんか変な感じがしないか?』

『ん?』

『なにがだ?』

 視聴者さんの中には、何か違和感を感じた人もいるみたいだ。すごいなぁ、配信の映像からだけで感じ取れるなんて、なかなかいるとは思えないんだけど。

「あっ、それじゃちょっとこのまま映像の場所を固定しますね」

『ほえ?』

 視聴者さんの反応を受けて、僕はダンジョンコアが捉えている様子を一時的に固定させる。
 その理由は、今挑戦者たちが通った場所が、僕の仕掛けたトラップのある場所だったからだ。

『なっ!?』

 次の瞬間、視聴者さんたちが驚く反応がたくさん流れてくる。

『迷路の形が、変わった?』

『形状変化するの?』

「はい。迷路内に二か所だけ、通過した直後に通路の形を変えるトラップを仕掛けました。片手伝いに迷路を攻略しようとする人への対策です」

『うわぁ、ずいぶんと意地悪いことをするなぁ・・・』

 僕が種明かしをすると、視聴者さんたちは今までにない反応を示していた。

「しょうがないじゃないですか。ダンジョンの運営にはいろいろと必要なものがあるんです。探索者さんたちに罠にかかってもらわないといけないから、こういうことをしなきゃいけないんですよ」

『せ、せちがらい・・・』

『なんという現実・・・』

『貢げたらどれだけいいだろうか・・・』

「スパチャされても、家族の生活費になるだけですよ。まあ、僕としてはそれでも嬉しいんですけれど」

『けなげやなぁ』

『こういうのを聞くと、おじさん、弱いんだ』

 僕の話を聞いて、しばらくの間、スパチャが続いてしまう。もう、みんな無理しないで欲しいなぁ。
 そうした中、僕のダンジョンコアは迷路の中の探索者さんたちを追尾している。

『うわぁっ?!』

 次の瞬間、悲鳴が聞こえてきた。
 何事かと思ったら、どうやら三人とも落とし穴に落ちたらしい。
 よりにもよって、宝箱に一個も出くわすことなくの脱落のようだった。

「あっ、落とし穴に落ちましたね」

『結局、宝箱を見つけられてないね』

「ですね。全部で25個あるんですけれど、1個も見つけられないとは思いませんでしたよ」

『なんというか、どんまい』

 そんなわけで、なんともいえない雰囲気のまま、探索者による迷路の初挑戦は終わったのだった。
 まさか宝箱を見つけられないとは思ってもみなかったよ。これも運なのかなぁ……。
 僕はこっそりとダンジョンコアをしまい、三人がボス部屋にやって来るのを静かに待つことにしたよ。


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次のエピソードへ進む SCENE149 お姉さんは探索者だから


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 ボス部屋まで戻った僕は、ドローンを引っ張り出して配信を始める準備をする。
「おや、プリンセス。どろーんとやらを取り出しているところを見ますと、配信をするおつもりですか?」
「うん。記念すべき迷路の第一号のお客さんだよ? 配信しなくてどうするっていうんだよ」
 僕は同時にダンジョンコアを呼び出し、迷路内の状況を分かるようにする。
 ドローンにはダンジョンコアを映さないように設定を施すと、いよいよ配信を始めることにする。
「みなさん、おはようございます。ダンジョンマスターのウィンクです」
 時間はまだ朝早い時間なので、僕は挨拶を変えて話している。
『おはらみあ~』
 ノリのいい視聴者さんは、僕の挨拶の変化に合わせて挨拶をしてくる。だけど、やっぱり『らみあ』の単語は入るんだ……。
 挨拶には困った顔をするけれど、視聴者さんたちの決まり文句みたいなものだから、とりあえずスルーしておこう。
「えっと、本日の配信は、迷路の挑戦者がやってきたのでその中継配信をするためです」
『おいおい、早いな』
『昨日の今日だろ?』
 視聴者さんたちもこの反応だ。さすがに驚きを隠せないといったところかな。
「えっと、それで。僕のダンジョンマスターの権限を使って、挑戦者たちの様子を一緒に見守ろうというのが今日の配信です」
『ああ、そっか』
『ダンマスって、ダンジョン内の監視ができるんだっけか』
「はい。詳しいことはダンジョンの秘密になりますので、お教えできませんのでご了承くださいね」
『りょ』
 視聴者さんたちは、僕の注意に素直に応じてくれる。本当にいい人たちばかりで嬉しいよ。
『おや?』
「どうしましたか?」
『いや、どうやら参加者も配信しているみたいだね』
「ああ、やっぱりそうですか。でも、どうやって見てるんですか?」
『携帯とパソコンの二台で見てる』
「そっか。そういう方法があったんだ」
 どうやら、両方を見ている視聴者さんは自宅でこの配信を見ているみたいだ。だから、携帯電話とパソコンの両方で配信を見ていられるらしい。器用だなぁ。
 世の中いろんな人がいるんだなと思いつつ、僕は挑戦者の三人の様子を見守る。
 そういえば、どうして僕がダンジョン内の様子を見ていられるのか不思議に思うかもしれない。
 ダンジョンマスターとなると、自分のダンジョンと魔力を通わせることができる。そのため、それを通してダンジョン全体を把握できるというわけなんだ。それを突き詰めていけば、ダンジョンの中をこのように鮮明に見ることができるというわけ。
 だけど、その様子を見るためには、こうやってダンジョンコアを呼び出さないといけないので、便利なようで不便なんだよね。
 僕とバトラーがダンジョンに人がやってきたことを感じ取れるのも、このシステムのおかげなんだ。
 さて、迷路の方へと話題を戻すね。
 今回やってきた三人は、バトラーが話していたように片手の法則を使って迷路を進んでいるみたいだ。三人が選んだのは左手伝いに進む方法みたいだね。
『慎重になってるのか、壁に手をつきながら進んでるな』
『どんな迷路も、必ず最後には外に出られるからな』
『けど、ちょっとなんか変な感じがしないか?』
『ん?』
『なにがだ?』
 視聴者さんの中には、何か違和感を感じた人もいるみたいだ。すごいなぁ、配信の映像からだけで感じ取れるなんて、なかなかいるとは思えないんだけど。
「あっ、それじゃちょっとこのまま映像の場所を固定しますね」
『ほえ?』
 視聴者さんの反応を受けて、僕はダンジョンコアが捉えている様子を一時的に固定させる。
 その理由は、今挑戦者たちが通った場所が、僕の仕掛けたトラップのある場所だったからだ。
『なっ!?』
 次の瞬間、視聴者さんたちが驚く反応がたくさん流れてくる。
『迷路の形が、変わった?』
『形状変化するの?』
「はい。迷路内に二か所だけ、通過した直後に通路の形を変えるトラップを仕掛けました。片手伝いに迷路を攻略しようとする人への対策です」
『うわぁ、ずいぶんと意地悪いことをするなぁ・・・』
 僕が種明かしをすると、視聴者さんたちは今までにない反応を示していた。
「しょうがないじゃないですか。ダンジョンの運営にはいろいろと必要なものがあるんです。探索者さんたちに罠にかかってもらわないといけないから、こういうことをしなきゃいけないんですよ」
『せ、せちがらい・・・』
『なんという現実・・・』
『貢げたらどれだけいいだろうか・・・』
「スパチャされても、家族の生活費になるだけですよ。まあ、僕としてはそれでも嬉しいんですけれど」
『けなげやなぁ』
『こういうのを聞くと、おじさん、弱いんだ』
 僕の話を聞いて、しばらくの間、スパチャが続いてしまう。もう、みんな無理しないで欲しいなぁ。
 そうした中、僕のダンジョンコアは迷路の中の探索者さんたちを追尾している。
『うわぁっ?!』
 次の瞬間、悲鳴が聞こえてきた。
 何事かと思ったら、どうやら三人とも落とし穴に落ちたらしい。
 よりにもよって、宝箱に一個も出くわすことなくの脱落のようだった。
「あっ、落とし穴に落ちましたね」
『結局、宝箱を見つけられてないね』
「ですね。全部で25個あるんですけれど、1個も見つけられないとは思いませんでしたよ」
『なんというか、どんまい』
 そんなわけで、なんともいえない雰囲気のまま、探索者による迷路の初挑戦は終わったのだった。
 まさか宝箱を見つけられないとは思ってもみなかったよ。これも運なのかなぁ……。
 僕はこっそりとダンジョンコアをしまい、三人がボス部屋にやって来るのを静かに待つことにしたよ。