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10話 カップルミーチュバーの機密(3)

ー/ー




 ピッ、ピッ、ピッ、ピッ。
 神宮寺くんの動作を打ち消すかのように鳴る、機械音。神宮寺くんと西条寺さんの指輪が、黄色信号みたいにチカチカと光り出した。

「えっ、何なの! 指輪が光って!」
『さあ、暴露は以上です。これより死の指輪を外してもらいましょうか?』

 取り乱す二人など見えていないかのように、主催者を名乗る声は冷淡だった。

「外せるかぁー! よりにもよって、あんな底辺に手を出すなんて! あいりんの名前に傷付けやがってぇ!」
「お前こそ、俺を踏み台にしていた? そうだよなぁ? お前だけで、ここまでバズれるわけねーもんな! お前のバカ発言、編集してなかったら、とっくに炎上していたんだからよぉ!」
「はぁ~? あんた、本気で言ってんのぉ? 結局あんたは愛莉のおまけ! 一人でやっても、『やっぱり愛莉がいないとつまんなぁーい』のコメントに溢れてたじゃーん!」
「うるせぇぇー!」

 機械音と怒声に混じって、パシンと乾いた音が響く。
 ……本当に、最低だ。

「ちょっと、手を出すのはなしでしょう!」

 椅子をひっくり返す勢いで立ち上がった凛は、ドタドタと走り西条寺さんの前に立つ。

「危ないだろ!」

 続いて翔が走り出し、「俺が仲裁するから!」と凛を西条寺さんの前から引き剥がしていた。

「外に出よう」

 耳を塞いでいる小春には聞こえていないだろうと肩を軽く叩き、目を合わせて廊下を指差す。
 開きっぱなしだった後ろのドアより教室から出て息を吐いて吸うと、汚い空気まで吐き出せたような気がする。
 もう、たくさんだ。検証かドッキリか知らないが、いい加減にしてくれよ。
 もう……。

 ピー、ピー、ピー。
 俺と小春が付けていた指輪は、廊下中に響くほどの音を出し、ドクロの目元が赤く点滅し始めた。

「……えっ?」

 状況的に結構ヤバいかもしれないと頭では分かっているが、どうにも体が動いてくれない。
 爆発? いや、冗談だよな?
 大体、俺達の順番じゃないし、意味分かんないし。
 そんな言い訳しても指輪の光は止まるはじもなく、どんどんと感覚が短くなっていく。
 そんな情けない俺の腕を掴み、教室に連れて行ってくれたのは小春で、開きっぱなしだったドアをガンっと音を鳴らして閉める。
 指輪の光は……、止まっていた。
「はぁ、はぁ」と息を切らせていた小春の視線先には、まだ鳴り止まない二つの指輪。
 そこには神宮寺くんを叩く西条寺さんに、それを止めようとする凛の姿。
 ……あれ? 翔は?

 ピー、ピー、ピー。
 指輪は先程の俺達のと同様に赤く点滅し、段々と間隔が短くなっていく。

「ねえ。この指輪、大丈夫ー? まずは外した方が……!」

 凛が臆することなく音に負けないような大声をかけていると、とうとうこの時がきてしまった。

 パァーン。
 耳の鼓膜が破れるのではないかと思うほどの、破裂音。
 その瞬間。聞いたことのない断末魔と共に、水風船が弾け飛ぶかのような勢いで血飛沫が散乱し、肉片が飛び散っていく。
 その血液と肉片は床へと落ちてきて、教室中はこの世のものとは思えないほどの、阿鼻叫喚に包まれた。
 断末魔と同様に聞いたことのない悲痛な叫び声、指輪を外そうとする者を取り押さえる怒声、跪きゼイゼイと呼吸がままならなくなった過呼吸音。
 そして俺は喉が切れるぐらいに叫び、空っぽのはずの胃からは吐瀉物が溢れ、今までしていた呼吸の仕方を忘れたのかと思うぐらい酸素を上手く取り入れられなかった。
 それは俺だけではなかったようで、小春も口元を抑えハァハァと呼吸を荒くしていた。

「……り、凛が……。凛がぁ……」

 小春の、声にならない息遣いに気付く。
 そうだ。衝撃の光景が広がる前、凛が二人の側にいたんだ!
 まさか、巻き込まれて……!


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 ピッ、ピッ、ピッ、ピッ。
 神宮寺くんの動作を打ち消すかのように鳴る、機械音。神宮寺くんと西条寺さんの指輪が、黄色信号みたいにチカチカと光り出した。
「えっ、何なの! 指輪が光って!」
『さあ、暴露は以上です。これより死の指輪を外してもらいましょうか?』
 取り乱す二人など見えていないかのように、主催者を名乗る声は冷淡だった。
「外せるかぁー! よりにもよって、あんな底辺に手を出すなんて! あいりんの名前に傷付けやがってぇ!」
「お前こそ、俺を踏み台にしていた? そうだよなぁ? お前だけで、ここまでバズれるわけねーもんな! お前のバカ発言、編集してなかったら、とっくに炎上していたんだからよぉ!」
「はぁ~? あんた、本気で言ってんのぉ? 結局あんたは愛莉のおまけ! 一人でやっても、『やっぱり愛莉がいないとつまんなぁーい』のコメントに溢れてたじゃーん!」
「うるせぇぇー!」
 機械音と怒声に混じって、パシンと乾いた音が響く。
 ……本当に、最低だ。
「ちょっと、手を出すのはなしでしょう!」
 椅子をひっくり返す勢いで立ち上がった凛は、ドタドタと走り西条寺さんの前に立つ。
「危ないだろ!」
 続いて翔が走り出し、「俺が仲裁するから!」と凛を西条寺さんの前から引き剥がしていた。
「外に出よう」
 耳を塞いでいる小春には聞こえていないだろうと肩を軽く叩き、目を合わせて廊下を指差す。
 開きっぱなしだった後ろのドアより教室から出て息を吐いて吸うと、汚い空気まで吐き出せたような気がする。
 もう、たくさんだ。検証かドッキリか知らないが、いい加減にしてくれよ。
 もう……。
 ピー、ピー、ピー。
 俺と小春が付けていた指輪は、廊下中に響くほどの音を出し、ドクロの目元が赤く点滅し始めた。
「……えっ?」
 状況的に結構ヤバいかもしれないと頭では分かっているが、どうにも体が動いてくれない。
 爆発? いや、冗談だよな?
 大体、俺達の順番じゃないし、意味分かんないし。
 そんな言い訳しても指輪の光は止まるはじもなく、どんどんと感覚が短くなっていく。
 そんな情けない俺の腕を掴み、教室に連れて行ってくれたのは小春で、開きっぱなしだったドアをガンっと音を鳴らして閉める。
 指輪の光は……、止まっていた。
「はぁ、はぁ」と息を切らせていた小春の視線先には、まだ鳴り止まない二つの指輪。
 そこには神宮寺くんを叩く西条寺さんに、それを止めようとする凛の姿。
 ……あれ? 翔は?
 ピー、ピー、ピー。
 指輪は先程の俺達のと同様に赤く点滅し、段々と間隔が短くなっていく。
「ねえ。この指輪、大丈夫ー? まずは外した方が……!」
 凛が臆することなく音に負けないような大声をかけていると、とうとうこの時がきてしまった。
 パァーン。
 耳の鼓膜が破れるのではないかと思うほどの、破裂音。
 その瞬間。聞いたことのない断末魔と共に、水風船が弾け飛ぶかのような勢いで血飛沫が散乱し、肉片が飛び散っていく。
 その血液と肉片は床へと落ちてきて、教室中はこの世のものとは思えないほどの、阿鼻叫喚に包まれた。
 断末魔と同様に聞いたことのない悲痛な叫び声、指輪を外そうとする者を取り押さえる怒声、跪きゼイゼイと呼吸がままならなくなった過呼吸音。
 そして俺は喉が切れるぐらいに叫び、空っぽのはずの胃からは吐瀉物が溢れ、今までしていた呼吸の仕方を忘れたのかと思うぐらい酸素を上手く取り入れられなかった。
 それは俺だけではなかったようで、小春も口元を抑えハァハァと呼吸を荒くしていた。
「……り、凛が……。凛がぁ……」
 小春の、声にならない息遣いに気付く。
 そうだ。衝撃の光景が広がる前、凛が二人の側にいたんだ!
 まさか、巻き込まれて……!