8話 人気カップルミーチュバーの秘密(1)
ー/ー『まもなく九時になります。皆さん、教室にお集まりください』
先程と同様に赤い三日月が勝手に映し出され、スマホを恐る恐る操作してみるがその映像は変わらず、電源すら切ることが出来なかった。
その異常さに呼びかけに抵抗する者は居らず、皆カップルと隣同士で座る。
すると聞こえてきたのは、テンションが高めの声だった。
教室前方より入室してきた女子は、グーにした手を頭にコツン当て、高い声を出しながらこちらに両手を振ってくる。それに合わせるように同じく手を振る男子。
教室内に放たれる甘い香りに、いつものように鼻を突かれる。
この二人は、小春と俺と同じ二年一組の生徒であり、学校一の人気者、神宮寺 翼くんと、西条寺愛莉さん。
カップルミーチューバを設立して、十代に人気の「あいりんandつばさ」として活動している。登録者数二十万人超えの人気者らしい。
爽やかイケメンの神宮寺くんは髪がふわふわで、眉も、目も、唇も、肌も、全てが整っている。
当然女子にモテるが、彼女が美人だからと羨むこともなく、目の保養にするぐらいだと女子同士が会話しているのを何度となく聞いてきた。
その彼女である西条寺さん。モデルのように顔が小さく美形であり、背中までの美しい茶髪の巻き髪を指でクルクルとさせている。
俺はあまり好きなタイプではないが、そんなの勝手な価値観であり、男子の中では可愛い、彼氏が神宮寺くんじゃなければという会話も当然聞いていた。
そんな二人が並ぶと絵になり、日常トーク、料理を作ってみた、踊ってみた、などの動画がバズる。西条寺さんは雑誌のモデルとして起用されるぐらいに、人気も知名度もある存在らしい。
あれ……?
前方を立つ二人に、どこか違和感を覚える。
いや、別に変わりなんかしない。
いつもみたいに華やかで、綺麗で、学年一目立つ存在。
だけど、何だろう。何かが違う、さっきと。
「じゃあまず、あいりんが外しまぁーす!」
俺の考えなんか当然置いていったまま、世界が回っていく。
上部に仕掛けられてあるカメラに向かって両手を振り、甘い声を出した西条寺さんは神宮寺くんの指に手をかけた時、その声は聞こえた。
『お待ちください。その前に暴露のお時間です』
「はぁ?」
主催者に水を差された西条寺さんの、不機嫌な舌打ちが漏れていた。
「……え?」
どこからか聞こえてくる声に不快感を覚えつつ、その心情には同意してしまう。
何でみんな、無反応なんだ? 小春も。
感情の乖離に、どこか俺だけ置いていかれた感覚が湧き出てくる。
「あー、何だろう? あいりん、ドジっ子だからなぁ~」
頭をコツンと小突き、首を傾げる。
いつもの西条寺さんの様子に、どこか救われてしまっている自分がいた。
『ふふふ、では発表します。西条寺愛莉は、彼氏をただの踏み台だと思っている』
あまりにも唐突な暴露に、教室中はざわめく。
「そんなわけないじゃん!」
「誰、いい加減なこと言ってー」
立ち上がって俺達を睨むのは、西条寺さんの友達である女子二人。
おそらく小田くんや内藤さん、俺達四人に言っているんだろうが、そんなこと知っているはずもなく。俺達四人はずっと一緒にいたんだから、密告なんて出来るわけないだろ?
いつもなら翔が俺達の代表で言い返してくれそうだが今日は黙って聞いていて、女子二人はよりヒートアップしていく。
「……あっ」
口元を抑えて俯いている小春の姿に、俺は立ちあがろうとした時。その声は聞こえた。
「え~。何、それ~? またいつもの僻み? 怖いんですけどぉ」
西条寺さんは口は笑っているけど、目は笑ってない。
本当にそのような表情があるのだと、唖然としてしまった。
「あ、大丈夫だよ! 私達は信じてるしぃ!」
「そうそう! 愛莉が言ってる通り、ただの僻みだから!」
「私も西条寺さんを信じてるからぁー!」
いつもと声の数が違うと思いつつ、矛先が逸れてくれて、俺は椅子に深く座り直す。
『それでは、暴露開始といきましょうか? これは私の元に送られてきた、メッセージアプリのスクショです』
その音声と共に、スマホの画面は切り替わる。主催者が言う通り、表示されたのはメッセージアプリのやり取りだった。
先程と同様に赤い三日月が勝手に映し出され、スマホを恐る恐る操作してみるがその映像は変わらず、電源すら切ることが出来なかった。
その異常さに呼びかけに抵抗する者は居らず、皆カップルと隣同士で座る。
すると聞こえてきたのは、テンションが高めの声だった。
教室前方より入室してきた女子は、グーにした手を頭にコツン当て、高い声を出しながらこちらに両手を振ってくる。それに合わせるように同じく手を振る男子。
教室内に放たれる甘い香りに、いつものように鼻を突かれる。
この二人は、小春と俺と同じ二年一組の生徒であり、学校一の人気者、神宮寺 翼くんと、西条寺愛莉さん。
カップルミーチューバを設立して、十代に人気の「あいりんandつばさ」として活動している。登録者数二十万人超えの人気者らしい。
爽やかイケメンの神宮寺くんは髪がふわふわで、眉も、目も、唇も、肌も、全てが整っている。
当然女子にモテるが、彼女が美人だからと羨むこともなく、目の保養にするぐらいだと女子同士が会話しているのを何度となく聞いてきた。
その彼女である西条寺さん。モデルのように顔が小さく美形であり、背中までの美しい茶髪の巻き髪を指でクルクルとさせている。
俺はあまり好きなタイプではないが、そんなの勝手な価値観であり、男子の中では可愛い、彼氏が神宮寺くんじゃなければという会話も当然聞いていた。
そんな二人が並ぶと絵になり、日常トーク、料理を作ってみた、踊ってみた、などの動画がバズる。西条寺さんは雑誌のモデルとして起用されるぐらいに、人気も知名度もある存在らしい。
あれ……?
前方を立つ二人に、どこか違和感を覚える。
いや、別に変わりなんかしない。
いつもみたいに華やかで、綺麗で、学年一目立つ存在。
だけど、何だろう。何かが違う、さっきと。
「じゃあまず、あいりんが外しまぁーす!」
俺の考えなんか当然置いていったまま、世界が回っていく。
上部に仕掛けられてあるカメラに向かって両手を振り、甘い声を出した西条寺さんは神宮寺くんの指に手をかけた時、その声は聞こえた。
『お待ちください。その前に暴露のお時間です』
「はぁ?」
主催者に水を差された西条寺さんの、不機嫌な舌打ちが漏れていた。
「……え?」
どこからか聞こえてくる声に不快感を覚えつつ、その心情には同意してしまう。
何でみんな、無反応なんだ? 小春も。
感情の乖離に、どこか俺だけ置いていかれた感覚が湧き出てくる。
「あー、何だろう? あいりん、ドジっ子だからなぁ~」
頭をコツンと小突き、首を傾げる。
いつもの西条寺さんの様子に、どこか救われてしまっている自分がいた。
『ふふふ、では発表します。西条寺愛莉は、彼氏をただの踏み台だと思っている』
あまりにも唐突な暴露に、教室中はざわめく。
「そんなわけないじゃん!」
「誰、いい加減なこと言ってー」
立ち上がって俺達を睨むのは、西条寺さんの友達である女子二人。
おそらく小田くんや内藤さん、俺達四人に言っているんだろうが、そんなこと知っているはずもなく。俺達四人はずっと一緒にいたんだから、密告なんて出来るわけないだろ?
いつもなら翔が俺達の代表で言い返してくれそうだが今日は黙って聞いていて、女子二人はよりヒートアップしていく。
「……あっ」
口元を抑えて俯いている小春の姿に、俺は立ちあがろうとした時。その声は聞こえた。
「え~。何、それ~? またいつもの僻み? 怖いんですけどぉ」
西条寺さんは口は笑っているけど、目は笑ってない。
本当にそのような表情があるのだと、唖然としてしまった。
「あ、大丈夫だよ! 私達は信じてるしぃ!」
「そうそう! 愛莉が言ってる通り、ただの僻みだから!」
「私も西条寺さんを信じてるからぁー!」
いつもと声の数が違うと思いつつ、矛先が逸れてくれて、俺は椅子に深く座り直す。
『それでは、暴露開始といきましょうか? これは私の元に送られてきた、メッセージアプリのスクショです』
その音声と共に、スマホの画面は切り替わる。主催者が言う通り、表示されたのはメッセージアプリのやり取りだった。
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