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講習会

ー/ー



 魔王城の一室で、エリシアがAEDの講習会を開いていた。



「例えば、生け捕りにしたい人間がいて、『やべえ!やり過ぎた!』ってなる時ってありますわね〜。」



 集まった魔族たちは黙ってエリシアの言葉を聞いている。



「心臓が止まっていても、AEDを使えば生き返る可能性がありますわ!」



「おおぉ〜!」
「おおぉ〜!」



 感嘆の声が上がる。魔族たちは目を輝かせながら、エリシアの話に耳を傾けていた。



「では、次にAEDの使い方ですわね。まず、カバーを外して電極パッドを取り出します。そして——」



 エリシアの指導が進む中、魔族たちは真剣な表情でメモを取ったり、実演用のマネキンに手を伸ばしたりしていた。



 エリシアがAEDのスイッチを入れると——。



 ——パンパンパンパン。



 どこからともなく、手拍子が響き渡った。



「ちょっと!」



 エリシアは苛立った声を上げて振り返る。見ると、魔族の誰かが楽しそうに手拍子をしている。



「何を勘違いしてますの!?ヒーローショーじゃありませんの!手拍子とかいりませんわよ!」



 ——シーン。



 その場の空気が一瞬で静まり返る。魔族たちは申し訳なさそうに俯いた。



「おほん!気を取り直して。」



 エリシアは咳払いを一つすると、再び操作を始めた。



 ——ポチ。



 再びAEDが起動する音が響き、講習会は淡々と進行していった。魔族たちは今度こそ真剣に、エリシアの指導を見つめていた。



 だが、やっぱり——。



 ——パンパンパンパン!



 どこからともなく再び手拍子が響き渡り、さらに——。





 ——がんばれ!がんばれ!がんば……





「ちょっとお待ちなさい!」



 エリシアが鋭い声で制止する。



「だから!ヒーローショーかって!違うでしょ!なんか勘違いしてる奴がいますわね!」



 怒りを含んだ視線が会場を巡ると、魔族たちは縮こまり、さっと目を逸らした。



「AEDの講習会ですわよ!手拍子も声援もいりませんの!生死がかかってるんですからね!」



 エリシアのピシャリとした言葉に、場の空気は一気に引き締まった。再び静寂が戻り、魔族たちは今度こそ真剣な面持ちで話を聞く体勢を取った。



「よろしいですわね……。では気を取り直して、再開しますわよ。」


 
 エリシアは深く息を吸うと、再びAEDの操作に手を伸ばした。



 おわり



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 魔王城の一室で、エリシアがAEDの講習会を開いていた。
「例えば、生け捕りにしたい人間がいて、『やべえ!やり過ぎた!』ってなる時ってありますわね〜。」
 集まった魔族たちは黙ってエリシアの言葉を聞いている。
「心臓が止まっていても、AEDを使えば生き返る可能性がありますわ!」
「おおぉ〜!」
「おおぉ〜!」
 感嘆の声が上がる。魔族たちは目を輝かせながら、エリシアの話に耳を傾けていた。
「では、次にAEDの使い方ですわね。まず、カバーを外して電極パッドを取り出します。そして——」
 エリシアの指導が進む中、魔族たちは真剣な表情でメモを取ったり、実演用のマネキンに手を伸ばしたりしていた。
 エリシアがAEDのスイッチを入れると——。
 ——パンパンパンパン。
 どこからともなく、手拍子が響き渡った。
「ちょっと!」
 エリシアは苛立った声を上げて振り返る。見ると、魔族の誰かが楽しそうに手拍子をしている。
「何を勘違いしてますの!?ヒーローショーじゃありませんの!手拍子とかいりませんわよ!」
 ——シーン。
 その場の空気が一瞬で静まり返る。魔族たちは申し訳なさそうに俯いた。
「おほん!気を取り直して。」
 エリシアは咳払いを一つすると、再び操作を始めた。
 ——ポチ。
 再びAEDが起動する音が響き、講習会は淡々と進行していった。魔族たちは今度こそ真剣に、エリシアの指導を見つめていた。
 だが、やっぱり——。
 ——パンパンパンパン!
 どこからともなく再び手拍子が響き渡り、さらに——。
 ——がんばれ!がんばれ!がんば……
「ちょっとお待ちなさい!」
 エリシアが鋭い声で制止する。
「だから!ヒーローショーかって!違うでしょ!なんか勘違いしてる奴がいますわね!」
 怒りを含んだ視線が会場を巡ると、魔族たちは縮こまり、さっと目を逸らした。
「AEDの講習会ですわよ!手拍子も声援もいりませんの!生死がかかってるんですからね!」
 エリシアのピシャリとした言葉に、場の空気は一気に引き締まった。再び静寂が戻り、魔族たちは今度こそ真剣な面持ちで話を聞く体勢を取った。
「よろしいですわね……。では気を取り直して、再開しますわよ。」
 エリシアは深く息を吸うと、再びAEDの操作に手を伸ばした。
 おわり