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鈍色の生

ー/ー



 鈍色の雲が低く垂れ込める空の下、高くそびえる建設用クレーンがゆっくりと旋回していた。

遠くで響く重機の低い唸りが、コンクリートの壁を伝って、古い団地の窓ガラスを微かに震わせている。その振動は規則的で、まるで鼓動のようだった。

冷え切った六畳間のベッドの上で、佐藤航は静かに目を開けた。

時計の針は、午前八時を回ったところだった。

「今日で、終わりにしよう」

 ぽつりとこぼれた声は、ひどく掠れていた。

いつもなら慌ててネクタイを締め、満員電車に駆け込んでいる時間だ。揺れる車内で、画面を見つめる顔の群れ。誰も航を見ない。航も誰も見ない。それが三年間、続いていた。

だが、今日はスマートフォンのアラームを切り、布団の中でじっと天井の木目を数え続けていた。節のひとつひとつが染みと埃を抱えて、古い染色画のように沈んでいる。三年前から、それを数えることが朝の習慣になっていた。

低賃金の事務職としてすり減らしてきた心身は、もはや悲鳴すら上げない。かつては深夜に求人サイトを眺めながら「もっとましな仕事を」と思っていたが、いつしかそのページを開く気力すら失われていた。

朝が来るたびに、また一日をやり過ごさなければならないという義務感だけが薄く胸の底に残っていた。その義務感も、今日でついに底を打った。

 三年前、たった一人の身内だった母をこの部屋で看取ってから、航の時間は止まったままだ。

色あせた畳の匂いと、線香の微かな香りが染み付いた部屋。母が最後に座っていた窓際の椅子は、今も動かしていない。陽光が差し込む角度が変わるたびに、椅子の上の埃がきらめく。それは、まるで母の気配のようで、航には片付けることができなかった。

航はのろのろと身を起こすと、机の引き出しから手付かずの睡眠薬を取り出し、テーブルの上に並べた。

会社からの着信を知らせる画面の光を伏せ、着慣れたウインドブレーカーを羽織る。

最後にもう一度だけ、見慣れたこの町を歩いておきたかった。

 玄関のドアを開けると、乾いた冬の風が容赦なく頬を刺した。

錆びた階段を降り、団地の敷地を抜けて駅へと向かう。

かつて母とよく通ったアーケード街は、シャッターが目立つようになって久しい。商店街の入り口に立つと、閉店してしまった花屋のことを思い出す。

母は花が好きで、週に一度は必ずここで季節の小花を買っていた。「一輪だけでも、飾ると明るい色が部屋に差すのよ」と言いながら、細い指で丁寧に花びらに触れていた。

たくさんの色があったその場所には、錆びたシャッターが下りている。その前に、錆びた自転車が一台無造作に置かれていた。

心の拠り所だった角の古びたそば屋は、いつの間にか真新しいガラス張りのコンビニエンスストアに変わっていた。

 町は少しずつ、確実に姿を変えている。

通り過ぎるベビーカーを押した若い夫婦の笑い声が、航の鼓膜を不愉快に揺らした。

誰もが未来に向かって歩いているのに、自分だけが過去の亡霊のように取り残されている。

透明なカプセルに閉じ込められたような、強烈な疎外感。

早く消えてしまいたいという衝動が、胃の奥からせり上がってきた。

 足早に通りを抜け、少し離れた公園へと逃げ込む。

枯れ葉が散る静かな敷地の片隅で、見覚えのある背中を見つけた。

ベンチに腰掛け、鳩を眺めている小柄な老人。

あの、コンビニに変わってしまったそば屋の元店主だった。七十を超えているはずだが、背筋はしゃんと伸びていた。鳩たちは老人の足元に慣れた様子で集まっては散り、また集まっていた。老人はそれをただ静かに眺めていた。追い払おうともしないし、餌をやろうともしない。ただ、そこにいるだけだった。

航は引き寄せられるように近づき、数歩離れた場所に立ち止まった。

「隣、いいですか」

航は、ためらいがちに声をかけた。

老人はゆっくりと顔を向け、目尻に深い皺を刻んで頷く。

言葉を交わすわけでもなく、ただ冷たい風の中、二人は並んで座っていた。老人は鳩を眺めながら、時折、鼻で小さく息をついた。その静かな存在感が、航の張り詰めた何かをわずかに緩めていく。

自分のことは、覚えていないのだろうな。そう思うと、少しだけもの悲しさを感じるが、仕方がないことだと航は思う。

 公園脇の駐車場に、ピカピカに磨かれた黒い大型の車が滑り込んでくる。

後部座席から元気よく飛び出してきた子どもたちの後ろから、立派なコートを着た同年代の男が降りてきた。

小学校時代の幼なじみである、健太だった。

 都会へ出て成功したという噂は、風の便りに聞いていた。

眩しいほどの生命力に溢れたその姿に、航は思わず顔を背け、立ち上がろうとした。

しかし、視線が交差する。

「おっ、航じゃないか!」

健太は、屈託のない大声で駆け寄ってきた。子どもたちが「パパー」と叫びながら後を追いかけてくる。

「久しぶりだな。まだこの町に住んでたのか」

「ああ……」

航は、自分の薄汚れたスニーカーを見つめながら、曖昧に頷いた。底のゴムがひび割れて、雨の日には水が染みてくる。買い替えようと思ったまま、もう二年が経っていた。

「お前こそ、こんなところで何してるんだよ」

「ちょっと、あの頃の景色が見たくて立ち寄ったんだ」

健太は、公園の周囲を見渡して目を細めた。

「変わらないな、ここは。なんだかホッとするよ」

 その言葉が、引き金になった。

ホッとするだと? ふざけるな。

航の内に溜め込んでいた黒い泥のような感情が、限界を超えて溢れ出す。

「お前には、わからないよ」

と、航は震える声で吐き捨てるように言った。

「えっ?」

「成功して、家族もいて……俺は、ずっとこの檻みたいな町に縛り付けられてる」

ギリッと奥歯を噛み締める。声の震えが止まらなかった。

「惨めなんだ。もう、生きてる価値なんてない」

 初めて口に出した言葉は、鋭い刃となって自分自身の胸を深く切り裂いた。

目の奥が熱くなった。泣くつもりなどなかったのに、鼻の奥がつんと痛んだ。

健太は目を見開き、返す言葉を失っている。

気まずい沈黙が降りた。

カサカサと、乾いた落ち葉が風に舞う音だけが響く。

「私は、ここで十分だ」

 ぽつりと、隣に座っていた老人が口を開いた。

しわがれた、しかし芯のある確かな声だった。

航と健太が、同時に老人を見る。

「新しい場所で、新しい幸せを探す気力はもうないがね」

老人は穏やかな目で、遠くのクレーンを見つめた。クレーンはあいかわらず、ゆっくりと空を旋回していた。

「ここには、過去の幸せがぎっしり詰まってる。息子が初めて自転車に乗れた場所も、家内と散歩した道も。店をやってた頃の常連さんたちの顔も、みんなここに残ってる」

老人は、ゆっくりと息を吸った。

「それだけで、生きていけるもんさ。それに、時々こうして懐かしい顔にも合えるしね」

老人は航と健太に微笑みを向ける。

「ふたりとも、すっかりおじさんだな」

 航の胸の奥で、何かが小さく弾けた。

不幸の象徴だと思い込み、呪っていたこの古ぼけた団地と町。

しかし、目の前の旧友にとっては景色が見たくて立ち寄る場所であり、老人にとっては幸せが詰まった場所だったのだ。同じ場所が、人によってこれほどちがって見える。

景色が色を失っていたのは、町が変わったからではない。

自分自身が、目を閉じていただけだった。

健太は何も言わなかった。ただ、航の隣にしゃがみ込み、子どもたちが砂場で遊ぶ様子を一緒に眺めた。しばらくして、健太が「飯でも食うか」と小さく言った。航は少しだけ迷ってから、頷いた。

 日が傾き、団地の無機質なコンクリートが、柔らかなオレンジ色に染まり始めていた。

部屋に戻った航は、テーブルの上に並べていた睡眠薬を手のひらに集める。

ザラリとした感触を確かめ、それを再び引き出しの奥深くへとしまった。ゆっくりと引き出しを閉める。かちりという音が、静かな部屋に響いた。しまった瞬間、今日ではないと思った。

夕飯は健太と近くの定食屋で食べた。たいした話はしなかったが、それだけで、少しだけ楽になった。

帰り際、健太が「また連絡する」と言った。航は「ああ」とだけ答えた。連絡が来るかどうかはわからない。それでもよかった。今日、誰かと言葉を交わした。それだけで十分だった。

「一年後に死んでもいい。でも、今日は死なない」

 一人きりの冷たい部屋で、静かに呟く。

窓辺に立つと、車のライトが、光の帯となって絶え間なく流れているのが見えた。それぞれに行き先がある。それぞれに帰る場所がある。その当たり前のことが、今夜だけは妙に温かく感じられた。明日のことは、明日でいい。来週のことも、来月のことも、まだ考えなくていい。

机の上の目覚まし時計を手に取り、明日の朝七時にアラームをセットする。

カチッという小さな音が、静寂の部屋に響いた。

 明日を迎えるための小さな準備。

母の椅子に、薄く夜の光が当たっていた。航はそれをしばらく眺めてから、そっと目を逸らした。片付けるのは、もう少し先でいい。

航は少しだけ軽くなった胸から息を吐き、夜の帳が下りる町を静かに見つめていた。


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 鈍色の雲が低く垂れ込める空の下、高くそびえる建設用クレーンがゆっくりと旋回していた。
遠くで響く重機の低い唸りが、コンクリートの壁を伝って、古い団地の窓ガラスを微かに震わせている。その振動は規則的で、まるで鼓動のようだった。
冷え切った六畳間のベッドの上で、佐藤航は静かに目を開けた。
時計の針は、午前八時を回ったところだった。
「今日で、終わりにしよう」
 ぽつりとこぼれた声は、ひどく掠れていた。
いつもなら慌ててネクタイを締め、満員電車に駆け込んでいる時間だ。揺れる車内で、画面を見つめる顔の群れ。誰も航を見ない。航も誰も見ない。それが三年間、続いていた。
だが、今日はスマートフォンのアラームを切り、布団の中でじっと天井の木目を数え続けていた。節のひとつひとつが染みと埃を抱えて、古い染色画のように沈んでいる。三年前から、それを数えることが朝の習慣になっていた。
低賃金の事務職としてすり減らしてきた心身は、もはや悲鳴すら上げない。かつては深夜に求人サイトを眺めながら「もっとましな仕事を」と思っていたが、いつしかそのページを開く気力すら失われていた。
朝が来るたびに、また一日をやり過ごさなければならないという義務感だけが薄く胸の底に残っていた。その義務感も、今日でついに底を打った。
 三年前、たった一人の身内だった母をこの部屋で看取ってから、航の時間は止まったままだ。
色あせた畳の匂いと、線香の微かな香りが染み付いた部屋。母が最後に座っていた窓際の椅子は、今も動かしていない。陽光が差し込む角度が変わるたびに、椅子の上の埃がきらめく。それは、まるで母の気配のようで、航には片付けることができなかった。
航はのろのろと身を起こすと、机の引き出しから手付かずの睡眠薬を取り出し、テーブルの上に並べた。
会社からの着信を知らせる画面の光を伏せ、着慣れたウインドブレーカーを羽織る。
最後にもう一度だけ、見慣れたこの町を歩いておきたかった。
 玄関のドアを開けると、乾いた冬の風が容赦なく頬を刺した。
錆びた階段を降り、団地の敷地を抜けて駅へと向かう。
かつて母とよく通ったアーケード街は、シャッターが目立つようになって久しい。商店街の入り口に立つと、閉店してしまった花屋のことを思い出す。
母は花が好きで、週に一度は必ずここで季節の小花を買っていた。「一輪だけでも、飾ると明るい色が部屋に差すのよ」と言いながら、細い指で丁寧に花びらに触れていた。
たくさんの色があったその場所には、錆びたシャッターが下りている。その前に、錆びた自転車が一台無造作に置かれていた。
心の拠り所だった角の古びたそば屋は、いつの間にか真新しいガラス張りのコンビニエンスストアに変わっていた。
 町は少しずつ、確実に姿を変えている。
通り過ぎるベビーカーを押した若い夫婦の笑い声が、航の鼓膜を不愉快に揺らした。
誰もが未来に向かって歩いているのに、自分だけが過去の亡霊のように取り残されている。
透明なカプセルに閉じ込められたような、強烈な疎外感。
早く消えてしまいたいという衝動が、胃の奥からせり上がってきた。
 足早に通りを抜け、少し離れた公園へと逃げ込む。
枯れ葉が散る静かな敷地の片隅で、見覚えのある背中を見つけた。
ベンチに腰掛け、鳩を眺めている小柄な老人。
あの、コンビニに変わってしまったそば屋の元店主だった。七十を超えているはずだが、背筋はしゃんと伸びていた。鳩たちは老人の足元に慣れた様子で集まっては散り、また集まっていた。老人はそれをただ静かに眺めていた。追い払おうともしないし、餌をやろうともしない。ただ、そこにいるだけだった。
航は引き寄せられるように近づき、数歩離れた場所に立ち止まった。
「隣、いいですか」
航は、ためらいがちに声をかけた。
老人はゆっくりと顔を向け、目尻に深い皺を刻んで頷く。
言葉を交わすわけでもなく、ただ冷たい風の中、二人は並んで座っていた。老人は鳩を眺めながら、時折、鼻で小さく息をついた。その静かな存在感が、航の張り詰めた何かをわずかに緩めていく。
自分のことは、覚えていないのだろうな。そう思うと、少しだけもの悲しさを感じるが、仕方がないことだと航は思う。
 公園脇の駐車場に、ピカピカに磨かれた黒い大型の車が滑り込んでくる。
後部座席から元気よく飛び出してきた子どもたちの後ろから、立派なコートを着た同年代の男が降りてきた。
小学校時代の幼なじみである、健太だった。
 都会へ出て成功したという噂は、風の便りに聞いていた。
眩しいほどの生命力に溢れたその姿に、航は思わず顔を背け、立ち上がろうとした。
しかし、視線が交差する。
「おっ、航じゃないか!」
健太は、屈託のない大声で駆け寄ってきた。子どもたちが「パパー」と叫びながら後を追いかけてくる。
「久しぶりだな。まだこの町に住んでたのか」
「ああ……」
航は、自分の薄汚れたスニーカーを見つめながら、曖昧に頷いた。底のゴムがひび割れて、雨の日には水が染みてくる。買い替えようと思ったまま、もう二年が経っていた。
「お前こそ、こんなところで何してるんだよ」
「ちょっと、あの頃の景色が見たくて立ち寄ったんだ」
健太は、公園の周囲を見渡して目を細めた。
「変わらないな、ここは。なんだかホッとするよ」
 その言葉が、引き金になった。
ホッとするだと? ふざけるな。
航の内に溜め込んでいた黒い泥のような感情が、限界を超えて溢れ出す。
「お前には、わからないよ」
と、航は震える声で吐き捨てるように言った。
「えっ?」
「成功して、家族もいて……俺は、ずっとこの檻みたいな町に縛り付けられてる」
ギリッと奥歯を噛み締める。声の震えが止まらなかった。
「惨めなんだ。もう、生きてる価値なんてない」
 初めて口に出した言葉は、鋭い刃となって自分自身の胸を深く切り裂いた。
目の奥が熱くなった。泣くつもりなどなかったのに、鼻の奥がつんと痛んだ。
健太は目を見開き、返す言葉を失っている。
気まずい沈黙が降りた。
カサカサと、乾いた落ち葉が風に舞う音だけが響く。
「私は、ここで十分だ」
 ぽつりと、隣に座っていた老人が口を開いた。
しわがれた、しかし芯のある確かな声だった。
航と健太が、同時に老人を見る。
「新しい場所で、新しい幸せを探す気力はもうないがね」
老人は穏やかな目で、遠くのクレーンを見つめた。クレーンはあいかわらず、ゆっくりと空を旋回していた。
「ここには、過去の幸せがぎっしり詰まってる。息子が初めて自転車に乗れた場所も、家内と散歩した道も。店をやってた頃の常連さんたちの顔も、みんなここに残ってる」
老人は、ゆっくりと息を吸った。
「それだけで、生きていけるもんさ。それに、時々こうして懐かしい顔にも合えるしね」
老人は航と健太に微笑みを向ける。
「ふたりとも、すっかりおじさんだな」
 航の胸の奥で、何かが小さく弾けた。
不幸の象徴だと思い込み、呪っていたこの古ぼけた団地と町。
しかし、目の前の旧友にとっては景色が見たくて立ち寄る場所であり、老人にとっては幸せが詰まった場所だったのだ。同じ場所が、人によってこれほどちがって見える。
景色が色を失っていたのは、町が変わったからではない。
自分自身が、目を閉じていただけだった。
健太は何も言わなかった。ただ、航の隣にしゃがみ込み、子どもたちが砂場で遊ぶ様子を一緒に眺めた。しばらくして、健太が「飯でも食うか」と小さく言った。航は少しだけ迷ってから、頷いた。
 日が傾き、団地の無機質なコンクリートが、柔らかなオレンジ色に染まり始めていた。
部屋に戻った航は、テーブルの上に並べていた睡眠薬を手のひらに集める。
ザラリとした感触を確かめ、それを再び引き出しの奥深くへとしまった。ゆっくりと引き出しを閉める。かちりという音が、静かな部屋に響いた。しまった瞬間、今日ではないと思った。
夕飯は健太と近くの定食屋で食べた。たいした話はしなかったが、それだけで、少しだけ楽になった。
帰り際、健太が「また連絡する」と言った。航は「ああ」とだけ答えた。連絡が来るかどうかはわからない。それでもよかった。今日、誰かと言葉を交わした。それだけで十分だった。
「一年後に死んでもいい。でも、今日は死なない」
 一人きりの冷たい部屋で、静かに呟く。
窓辺に立つと、車のライトが、光の帯となって絶え間なく流れているのが見えた。それぞれに行き先がある。それぞれに帰る場所がある。その当たり前のことが、今夜だけは妙に温かく感じられた。明日のことは、明日でいい。来週のことも、来月のことも、まだ考えなくていい。
机の上の目覚まし時計を手に取り、明日の朝七時にアラームをセットする。
カチッという小さな音が、静寂の部屋に響いた。
 明日を迎えるための小さな準備。
母の椅子に、薄く夜の光が当たっていた。航はそれをしばらく眺めてから、そっと目を逸らした。片付けるのは、もう少し先でいい。
航は少しだけ軽くなった胸から息を吐き、夜の帳が下りる町を静かに見つめていた。