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4話 ゲーム説明(2)

ー/ー




『それでは、基本ルールから説明します。皆さんの左手薬指に装着されてある、死の指輪。それは以下のルール違反を起こすと、爆発します』
「ばっ、爆発!」

 その言葉が出た途端、ざわつきは悲鳴へと変わり、教室中に殺伐とした空気が包み込む。
 その中でしっかりと聞こえてきたのは「指輪を外すな!」という、翔の張り詰めた声だった。
 それによって俺だけでなく、他の生徒達もギリギリのところで自分を抑えているようだ。

「はぁ、はぁ、はぁ……」

 息が切れ、額から汗が流れたのは、暑さのせいだけではない。
 爆発? まさか、本当に?
 次に聞こえてきたのは、オルゴールの音色。しかし癒しとかはなく、耳がざわつく不協和音だった。
 ざらついた声が飛び交う中、次に映し出されたのは、横文字で並べられた文面だった。


【指輪が爆発するルール違反】
1.学校の校舎外に出ること
2.自分の指輪を外すこと
3.他人の指輪を外すこと
4.
5.
6.
※その他三つのルール違反は、各々で考えてください。


「えっ? 待てよ? マジで爆発するの、この指輪ぁ!」
 教室の前方に座っていた西条寺さんが勢いよく立ち上がったかと思えば、指輪を引き抜こうとしている。

「外したら、ダメだって!」

 隣に座っていた神宮寺くんが止めようとするが。

「うるせぇ! お前に指図される筋合いとか、ないんですけどぉ!」

 突然の怒声に後ろにいた生徒全てが、ギョッと身を引く。
 それはいつも可愛い声を出している学校一人気の女子だったから、そのギャップに別の意味で引いてしまった。

「大丈夫だよぉ。少し落ち着こうね」

 彼氏の神宮寺くんだけは顔色一つ変えず関わる姿に、ただの傍観者である俺達はただ感心してしまうぐらいだった。
 隣にはその声に怯え切ってしまった小春が居て、俺はその手を強く握り締めた。
 恐怖と困惑に包まれた俺達に、相手は容赦なく画面を切り替えてきた。


【ゲーム説明】
1.このゲームはカップル対抗戦です。
2.これから一時間毎に、一組ずつカップルを指名します。呼び出された二人は教室の前方に立ち、死の指輪を互いに外してもらいます。
3.呼ばれなかった皆さんには立会人になってもらい、教室の後方で着席してください。指定されたカップルの、行く末を見守っていただきます。
4.無事に死の指輪を外せたらカップルは永遠の愛で繋がり、二人は校舎から出られます。


「それだけ?」

 先程の緊迫した空気はいつしかなくなり、あっけらかんとした声が響き渡る。

「これ、ドッキリじゃない? ほら今やってる、学校何とかっていう番組とか? 爆発なんて、本当にするわけないし」
「ありそう! ガチだったんだよ!」

 先程騒いでいた西条寺さんに話しかけるのは、同じクラスの女子二人。この三人がいつも一緒に居る女子グループで、クラスの中心だった。
 緩すぎるルールに、安堵に包まれる教室。しかしそれは、切り替わった映像によりまた張り詰めることになった。


【特記事項】
1.指定した時間以外、指定したカップル以外が相手の指輪を抜くと、ルール違反により指輪が爆発します。指輪を抜けるのは、主催者の指定があった時のみ。くれぐれも、お忘れなく。
2. カップルの指定は、直前の発表とさせていただいております。指定順は、主催者の独断と偏見で選出しております。苦情は一切受け入れておりませんので、悪しからず。
3.立会人の皆さんの中で、このカップルは永遠の愛で繋がるべきではないと思われる方がいれば、その理由を主催者に告げてください。その内容が受理された際はそれは暴露となり、お相手に伝えさせていただきます。

【密告のやり方】
1.情報提供は専用アプリのみで受け付けています。ただ情報だけでは信憑性に欠ける為、必ず証拠も送付してください。
2.一組のカップルに対して情報提供が出来るのは、一回のみです。
3.情報提供者は匿名です。ですから皆さん、気に入らないカップルの秘密を告げ口してください。


「暴露って、何!」
「私達が、友達カップルの告げ口をするってこと!」
「マジでクソみてーなルールだな!」

 三人が立ち上がり、罵詈雑言を言い放つ。
 皆、暴露の方に気が入っているようだけど、もっと問題なことがあるだろう?

「違反事項は、まだあるの……」

 握り締めていた小春の手が、ガタガタと震え上がる。
 そうだ。指輪の爆発する条件が全て提示されていない方が、問題だ。下手な行動は取れない。そうゆう意味なのか?

『まあまあ、皆さん。暴露しなければ良い話ではないですか? それとも何か、暴露されては困る秘密でもあるのですか?』

 その問いかけに声を荒らげていた女子三人は口を噤み、そっと着席していく。
 暴露されたくない秘密。……それは俺にも、あった。


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『それでは、基本ルールから説明します。皆さんの左手薬指に装着されてある、死の指輪。それは以下のルール違反を起こすと、爆発します』
「ばっ、爆発!」
 その言葉が出た途端、ざわつきは悲鳴へと変わり、教室中に殺伐とした空気が包み込む。
 その中でしっかりと聞こえてきたのは「指輪を外すな!」という、翔の張り詰めた声だった。
 それによって俺だけでなく、他の生徒達もギリギリのところで自分を抑えているようだ。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
 息が切れ、額から汗が流れたのは、暑さのせいだけではない。
 爆発? まさか、本当に?
 次に聞こえてきたのは、オルゴールの音色。しかし癒しとかはなく、耳がざわつく不協和音だった。
 ざらついた声が飛び交う中、次に映し出されたのは、横文字で並べられた文面だった。
【指輪が爆発するルール違反】
1.学校の校舎外に出ること
2.自分の指輪を外すこと
3.他人の指輪を外すこと
4.
5.
6.
※その他三つのルール違反は、各々で考えてください。
「えっ? 待てよ? マジで爆発するの、この指輪ぁ!」
 教室の前方に座っていた西条寺さんが勢いよく立ち上がったかと思えば、指輪を引き抜こうとしている。
「外したら、ダメだって!」
 隣に座っていた神宮寺くんが止めようとするが。
「うるせぇ! お前に指図される筋合いとか、ないんですけどぉ!」
 突然の怒声に後ろにいた生徒全てが、ギョッと身を引く。
 それはいつも可愛い声を出している学校一人気の女子だったから、そのギャップに別の意味で引いてしまった。
「大丈夫だよぉ。少し落ち着こうね」
 彼氏の神宮寺くんだけは顔色一つ変えず関わる姿に、ただの傍観者である俺達はただ感心してしまうぐらいだった。
 隣にはその声に怯え切ってしまった小春が居て、俺はその手を強く握り締めた。
 恐怖と困惑に包まれた俺達に、相手は容赦なく画面を切り替えてきた。
【ゲーム説明】
1.このゲームはカップル対抗戦です。
2.これから一時間毎に、一組ずつカップルを指名します。呼び出された二人は教室の前方に立ち、死の指輪を互いに外してもらいます。
3.呼ばれなかった皆さんには立会人になってもらい、教室の後方で着席してください。指定されたカップルの、行く末を見守っていただきます。
4.無事に死の指輪を外せたらカップルは永遠の愛で繋がり、二人は校舎から出られます。
「それだけ?」
 先程の緊迫した空気はいつしかなくなり、あっけらかんとした声が響き渡る。
「これ、ドッキリじゃない? ほら今やってる、学校何とかっていう番組とか? 爆発なんて、本当にするわけないし」
「ありそう! ガチだったんだよ!」
 先程騒いでいた西条寺さんに話しかけるのは、同じクラスの女子二人。この三人がいつも一緒に居る女子グループで、クラスの中心だった。
 緩すぎるルールに、安堵に包まれる教室。しかしそれは、切り替わった映像によりまた張り詰めることになった。
【特記事項】
1.指定した時間以外、指定したカップル以外が相手の指輪を抜くと、ルール違反により指輪が爆発します。指輪を抜けるのは、主催者の指定があった時のみ。くれぐれも、お忘れなく。
2. カップルの指定は、直前の発表とさせていただいております。指定順は、主催者の独断と偏見で選出しております。苦情は一切受け入れておりませんので、悪しからず。
3.立会人の皆さんの中で、このカップルは永遠の愛で繋がるべきではないと思われる方がいれば、その理由を主催者に告げてください。その内容が受理された際はそれは暴露となり、お相手に伝えさせていただきます。
【密告のやり方】
1.情報提供は専用アプリのみで受け付けています。ただ情報だけでは信憑性に欠ける為、必ず証拠も送付してください。
2.一組のカップルに対して情報提供が出来るのは、一回のみです。
3.情報提供者は匿名です。ですから皆さん、気に入らないカップルの秘密を告げ口してください。
「暴露って、何!」
「私達が、友達カップルの告げ口をするってこと!」
「マジでクソみてーなルールだな!」
 三人が立ち上がり、罵詈雑言を言い放つ。
 皆、暴露の方に気が入っているようだけど、もっと問題なことがあるだろう?
「違反事項は、まだあるの……」
 握り締めていた小春の手が、ガタガタと震え上がる。
 そうだ。指輪の爆発する条件が全て提示されていない方が、問題だ。下手な行動は取れない。そうゆう意味なのか?
『まあまあ、皆さん。暴露しなければ良い話ではないですか? それとも何か、暴露されては困る秘密でもあるのですか?』
 その問いかけに声を荒らげていた女子三人は口を噤み、そっと着席していく。
 暴露されたくない秘密。……それは俺にも、あった。