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受難

ー/ー



「退屈ね……」

 
 いつも通り、窓を見ながら黄昏る愛子…………

 ただ、それだけでも(本体)に頬杖を付いて、憂いの表情を浮かべる美少女と言うのは、絵になってしまうから不思議だ。

 
「授業は退屈だよ……」


 そして、その愛子の言葉にに気怠く返す俺……4月の陽気は、心地良くて自然と眠くなる。

 傍から見れば、こっちはくたびれた野郎が、だらし無く椅子の背もたれにの寄り掛かってるだけで絵にも何もなったもんじゃねぇ……
 

「それは、あなたの話でしょ?」
「授業じゃないなら、何が退屈なんだよ?」


 心外だと言わんばかりに、こっちを向く愛子に更に聞き返す。へいへい、どうせ毎回赤点ギリギリの人間ですよ。
 

「何かイベント的なものはない?」
「イベント?いや……花見とかは、お前達だけで行ったんだろ?」


 お前達が楽しんでる間、俺達は妖樹『血桜』相手に意味不明の散髪劇を演じてたんだ。

※『血桜』参照


「それは……まぁ、行ってきたけど」
 

 ん……?何か、歯切れが悪いな。

 
「楽しくなかったのか?」
「楽しかったわよ。何のトラブルも無く、皆でワイワイ喋って、美味しい物も沢山食べて」
「じゃあ、いいじゃねぇか……」

 
 羨ましい話だな。そりゃ……


「でも……」
「何?」
 

 再び、顔に憂いの色を滲ませる愛子……何か引っかかるのか?

 そんな風に思っていると、その数秒後に拳を握り意を決したように言い放った。
 

「何も起きなかったのよ!」
「…………何を期待してたんだよ?」


 何も起きないって、何だよ……意味が解らん。
 

「何かこう……違うのよ。楽しいとか、嬉しい……そう言う『青春』の1ページって、何かしらトラブルとか障害を乗り越えた先にあるもんじゃない?」
「何もせず楽しめんなら、問題ねぇだろ……」


 そこで悪霊とか、妖怪でも騒ぎ出したら花見どころじゃなくなるぞ。


「つれないわね!『青春』には、もっとこう……変わったエッセンスが必要と思わない?」
「…………つまり、何?花見が台無しになるくらいのトラブルは要らないけど、ちょっと皆で協力すれば解決出来そうな “何か” が欲しかったわけ?」


 ぶっちゃけ苦労せずに美味いもん食えて、楽しめりゃ、何も文句はねぇけどな……


「そうそう!皆で力を合わせたり、知恵を出し合って障害を乗り越える!それによって皆の絆が更に深まる……ああ、『青春』だわ♪」


 上を見上げて、うっとりした顔で話す愛子…………


「残念だったな。何も無くて」
 

 机妖怪(付喪神)にヴァンパイア・ハーフ。そこに獣人モドキまで加わって、一箇所に集まったんだから、相当 “非日常” だったと思うぞ。傍から見りゃ、物凄ぇ濃すぎる面子だし……

 本人達が気付かないだけで、周りは軽くパニクってたんじゃないか?

 まぁ、こいつは軽いトラブルが欲しいだけで、自分がトラブルになりたいわけじゃないだろうけどな……


「ふぅ…………4月……始まりの季節なのに、少し寂しいわ。他に何かイベントとかないかしら?」
「入学式はとっくに終わって、花見も行ったんなら、もう無いだろ」

「本当にイベントじゃなくてもいいわ。皆で、力を合わせて立ち向かえるような “何か” はないかしら?」
「立ち向かうねぇ……」


 俺達は、いつも悪霊や妖怪相手に色々やりあってるけど……あれも、 “立ち向かう” ことになんのかな?


「除霊とか手伝える?」
「除霊?」


 キョトンとする愛子に続ける。
 

「悪霊や妖怪に立ち向かうんだよ」
「無茶言わないで……」

「無理?」
「寧ろ、どうして出来ると思ったわけ?」

「だって、お前色々凄い能力持ってるじゃん。何か、除霊に活かせるものはないか?」
「中(本体)に大勢入って貰って現場まで行くとか、逆に現場にいる人達を非難させてあげることは出来るけど……」

「余り、そういう機会は無さそうだなぁ……悪霊とか吸い込めない?掃除機みたいに」
「掃除機って……出来るわけないでしょ!」

「やっぱ無理か……」
「あなた、私を何だと思ってるの……?」


 “悪霊を消化吸収出来そう”………なんて、言ったらキレそうだから言わない(既に若干顔が引きつってるけど……)勿論、本気で思っちゃいないがな。
 
 

「退屈ね……」


 話が一段落すると、始めと同じように窓を向く愛子……

 退屈ねぇ……何も起きないってことは、平和って事なんだから。喜ばしいことだろうに。まぁ、そう言っても今のコイツには効果なさそうだし…………どうするか?
 
 
「だったら、何か起きるのばかり期待しないで、自分から何か起こしてみたらどうだ?」


 そう言うと、再び俺の方に顔を向ける愛子。それなりに興味はありそうだな。
 

「自分で……起こす?」
「そうだよ。待ってるだけじゃ、何も変わらねぇぜ。何でも良いから “何か” を起こして、それから広がる “何か” に期待するのも一つの手だと思う」

「そうすれば、私の望む『青春』に辿り着けるって言うの?」
「保証は出来ねぇよ……でも、廻り廻って “何か” が来る。そんな希望は、持てるんじゃないか?」


 あれ?何か思ったより上手く決まったんじゃねぇか……?
 

「…………何をすればいいのよ?」


 俺の言葉に俄然食いつく愛子……だけど、


 
「えっと…………」

 

 ………………参ったな……流れと勢いに任せて、何となく言ってみたけど…………どうすりゃ、いいんだ?

 でも、今更中途半端なこと言った所でシラケるだけだし、それなりにインパクトのある事を…………


「ねぇ……?」
「……………………」


 
 う〜〜〜〜ん……………………

 

「横島君……?」 
「…………全裸にでもなっちゃうとか……?皆、大盛り上がりで、大さわ__」


 ゴスッ!!


「おおおおおおぉぉぉ〜〜〜っ!!!」


 い、い、いきなり、何てことしてくれるんじゃ〜〜〜っ!!
 
 脳天に思い切り机の角を打ち付けられて、絶叫しながら床に激しくのたうち回る俺……

 角!角だよ、角!?

 この娘、面じゃなくて角で殴ったよ!!人の頭を!?ちょっと、容赦なくね!?一歩間違えたら、死んじゃうよ俺!!?

 ただ、教室でそんな異様な光景を繰り広げてても、周りに騒いでる様子がない。

 酷くね?

 もうちょっと気にしてくれてもいいんじゃない!?それとも、のたうち回ってんのが俺だから放置!?確かに頑丈さだけが取り柄だけどさ……


「どうしたんでしょう?横島さん」
「きっと、愛子ちゃんに失礼な事でも言ったんだよ」


 ピート!萩原!聴こえてんだよ!!冷静に話してねぇで、もっと心配しろ!


「私に痴女になれって言うの!!?」
「ちょ……ちょ、それ(本体)取り敢えず下ろして…………」


 怒った愛子を宥めながら、何とか這々の体で机に復帰する。脳天には、まだ衝撃が残ってる…………


「全く……!それ、あなたが見たいだけでしょ!!」
「いや、お前なら皆も見たかったと__」


 ガスッ!!


「ぬぉおおおおおおぉぉ〜〜〜〜!!!」


 再び、床を転げ回る俺。ちょっと……同じ箇所を集中攻撃すんの止めて!本当、頭蓋砕けて死んじゃうから!!?


「横島さん、今日も元気ジャのぉ……」
「横島君だからね……」


 ステルス!萩原!テメェ等__以下略


「あなたは、懲りるって言葉知らないの……!?」
「ぜ、全裸が嫌なら、前みたいにレオター__」


 ゴスッ!ガスッ!…………


「脱ぐことから離れて!それと、レオタードは恥ずかしいから思い出させないで!!」

{IMG217638}
↑↑横島の希望

「着るなら、ピンクとか水色みたいな淡い色で……」


 しめ鯖バーガーの時は、グレーなんて色気もへったくれもなかったし……
 
 
「着・な・い・って!!言ってるでしょ〜〜〜!!!」


 ゴスッ!ガスッ!ゴスッ!バコッ…………

 
「いや!もう、死ぬ死ぬ!!?止めて、止めて、止めて、許して!!」


 んな、顔を真っ赤にするほどのことか!?いや、恥ずかしいのと怒りが一気に来てるのか!?

 ってか、あの細腕の何処にあんな力が…………いや、あれは妖気で作り出した分身だから、普通とは違うか。

 
「愛子さん。もう、授業始まるから落ち着いて下さい」
「そうだよ。横島君のせいで、愛子ちゃんまで怒られちゃうよ」


 未だ、肩で息をする愛子(さっきも言ったが、こいつの姿は本体が妖気で作り出した分身なんで、息をすることなんてないんだが、要は感情表現の一種だ)だったが、ピートと萩原の2人に宥められて何とか収まる。

 ってか、2人とも俺の心配はなしかよ………いや、今はそんなことより……


 俺は、床に仰向けになったまま口を開く。

 
「悪かったよ。もう、脱げとか言わねぇから……」
「その発言も既に通報レベルだからね」

「いや、さっき通報レベルの暴行受けて死にかかったんだけど……いや、何でもないです。机は勉強の為に使うんだから、いちいち振りかぶらないで」
「じゃあ、もう振り被らせないで!!」
「はい……」 


 俺がそうに言うと、流石に愛子も本体を元の位置へ戻す。

 
 ………………何にしても、やっと終わったか。


 一気に気の抜けた俺は、すぐに立ち上がる気にもなれず天井を見続ける。授業受けるのも面倒になってきた。このまま寝ちまうか……
 
 そこへ近づいて来る、ピート達。


「やってしまいましたね……」
「やっちまったよ……」


 何とも言えない微妙な表情を浮かべるピートに、自虐的に返す俺。畜生、一体どこで間違ったんだ……?


「大丈夫ですカイ?」
「大丈夫に見えるか?」


 ステルスの質問(気遣い?)に皮肉っぽく返す。さっきの一撃なら、お前でもキツイぞ。

 すると、最後は萩原が呆れたように呟きながら来た。
  

「もぅ……最近、割とマトモになって来たと思ってたのに、やっぱり横島君は、横島君だね」
「俺は横島だよ……」


 どういう意味だ?そりゃ…………だが、萩原はそんな俺の心情、お構い無しに続けてくる。


「私達、もう3年なんだし、何時までも子供みたいなことしてると周りから笑われちゃうよ」
「……3年にもなって、ピンクのストライプなんか履いてる奴に言われたくねぇよ。もっと、大人っぽいもんで__」


 ドグチャッ!!!


「ぬぉおおおおぉぉぉぉ〜〜〜〜〜〜!!!!!!鼻がぁ!!鼻があぁぁぁ〜〜〜〜!!!!」


 い、い、いきなり、何てことしてくれるんじゃ〜〜〜っ!!(本日2回目) 

 このアマ!!鼻を思い切り踏み付けやがった!!!今日一番の大ダメージじゃねぇか!!!!

{IMG217404}
 
「サイッテェーー!!!」
「テメェ〜!鼻が潰れたら、どうしてくれるんじゃ〜〜!!」


 三度、床に転げ回る俺。巫山戯んな〜!!仰向けに寝てんのに、スカートで無防備に来りゃ見えるに決まってんだろうがぁ〜〜〜!!


「潰れちゃえば良いんだよ!変態!!」
「のおぉぉぉ〜〜〜〜〜〜っ!!!」
 
  
「よ、横島さん!?ち、血が……!」
「横島さん……アンタ、何で言わんでいい事を……?」
「天罰よ……」


 その後も教室内に、虚しく響き渡る俺の絶叫……
 

 糞ったれが!

 今日は厄日かよ…………でも、最後はガッツリ見えたから、それでプラマイ0なのか?
 


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「退屈ね……」
 いつも通り、窓を見ながら黄昏る愛子…………
 ただ、それだけでも|机《本体》に頬杖を付いて、憂いの表情を浮かべる美少女と言うのは、絵になってしまうから不思議だ。
「授業は退屈だよ……」
 そして、その愛子の言葉にに気怠く返す俺……4月の陽気は、心地良くて自然と眠くなる。
 傍から見れば、こっちはくたびれた野郎が、だらし無く椅子の背もたれにの寄り掛かってるだけで絵にも何もなったもんじゃねぇ……
「それは、あなたの話でしょ?」
「授業じゃないなら、何が退屈なんだよ?」
 心外だと言わんばかりに、こっちを向く愛子に更に聞き返す。へいへい、どうせ毎回赤点ギリギリの人間ですよ。
「何かイベント的なものはない?」
「イベント?いや……花見とかは、お前達だけで行ったんだろ?」
 お前達が楽しんでる間、俺達は妖樹『血桜』相手に意味不明の散髪劇を演じてたんだ。
※『血桜』参照
「それは……まぁ、行ってきたけど」
 ん……?何か、歯切れが悪いな。
「楽しくなかったのか?」
「楽しかったわよ。何のトラブルも無く、皆でワイワイ喋って、美味しい物も沢山食べて」
「じゃあ、いいじゃねぇか……」
 羨ましい話だな。そりゃ……
「でも……」
「何?」
 再び、顔に憂いの色を滲ませる愛子……何か引っかかるのか?
 そんな風に思っていると、その数秒後に拳を握り意を決したように言い放った。
「何も起きなかったのよ!」
「…………何を期待してたんだよ?」
 何も起きないって、何だよ……意味が解らん。
「何かこう……違うのよ。楽しいとか、嬉しい……そう言う『青春』の1ページって、何かしらトラブルとか障害を乗り越えた先にあるもんじゃない?」
「何もせず楽しめんなら、問題ねぇだろ……」
 そこで悪霊とか、妖怪でも騒ぎ出したら花見どころじゃなくなるぞ。
「つれないわね!『青春』には、もっとこう……変わったエッセンスが必要と思わない?」
「…………つまり、何?花見が台無しになるくらいのトラブルは要らないけど、ちょっと皆で協力すれば解決出来そうな “何か” が欲しかったわけ?」
 ぶっちゃけ苦労せずに美味いもん食えて、楽しめりゃ、何も文句はねぇけどな……
「そうそう!皆で力を合わせたり、知恵を出し合って障害を乗り越える!それによって皆の絆が更に深まる……ああ、『青春』だわ♪」
 上を見上げて、うっとりした顔で話す愛子…………
「残念だったな。何も無くて」
 |机妖怪《付喪神》にヴァンパイア・ハーフ。そこに獣人モドキまで加わって、一箇所に集まったんだから、相当 “非日常” だったと思うぞ。傍から見りゃ、物凄ぇ濃すぎる面子だし……
 本人達が気付かないだけで、周りは軽くパニクってたんじゃないか?
 まぁ、こいつは軽いトラブルが欲しいだけで、自分がトラブルになりたいわけじゃないだろうけどな……
「ふぅ…………4月……始まりの季節なのに、少し寂しいわ。他に何かイベントとかないかしら?」
「入学式はとっくに終わって、花見も行ったんなら、もう無いだろ」
「本当にイベントじゃなくてもいいわ。皆で、力を合わせて立ち向かえるような “何か” はないかしら?」
「立ち向かうねぇ……」
 俺達は、いつも悪霊や妖怪相手に色々やりあってるけど……あれも、 “立ち向かう” ことになんのかな?
「除霊とか手伝える?」
「除霊?」
 キョトンとする愛子に続ける。
「悪霊や妖怪に立ち向かうんだよ」
「無茶言わないで……」
「無理?」
「寧ろ、どうして出来ると思ったわけ?」
「だって、お前色々凄い能力持ってるじゃん。何か、除霊に活かせるものはないか?」
「中(本体)に大勢入って貰って現場まで行くとか、逆に現場にいる人達を非難させてあげることは出来るけど……」
「余り、そういう機会は無さそうだなぁ……悪霊とか吸い込めない?掃除機みたいに」
「掃除機って……出来るわけないでしょ!」
「やっぱ無理か……」
「あなた、私を何だと思ってるの……?」
 “悪霊を消化吸収出来そう”………なんて、言ったらキレそうだから言わない(既に若干顔が引きつってるけど……)勿論、本気で思っちゃいないがな。
「退屈ね……」
 話が一段落すると、始めと同じように窓を向く愛子……
 退屈ねぇ……何も起きないってことは、平和って事なんだから。喜ばしいことだろうに。まぁ、そう言っても今のコイツには効果なさそうだし…………どうするか?
「だったら、何か起きるのばかり期待しないで、自分から何か起こしてみたらどうだ?」
 そう言うと、再び俺の方に顔を向ける愛子。それなりに興味はありそうだな。
「自分で……起こす?」
「そうだよ。待ってるだけじゃ、何も変わらねぇぜ。何でも良いから “何か” を起こして、それから広がる “何か” に期待するのも一つの手だと思う」
「そうすれば、私の望む『青春』に辿り着けるって言うの?」
「保証は出来ねぇよ……でも、廻り廻って “何か” が来る。そんな希望は、持てるんじゃないか?」
 あれ?何か思ったより上手く決まったんじゃねぇか……?
「…………何をすればいいのよ?」
 俺の言葉に俄然食いつく愛子……だけど、
「えっと…………」
 ………………参ったな……流れと勢いに任せて、何となく言ってみたけど…………どうすりゃ、いいんだ?
 でも、今更中途半端なこと言った所でシラケるだけだし、それなりにインパクトのある事を…………
「ねぇ……?」
「……………………」
 う〜〜〜〜ん……………………
「横島君……?」 
「…………全裸にでもなっちゃうとか……?皆、大盛り上がりで、大さわ__」
 ゴスッ!!
「おおおおおおぉぉぉ〜〜〜っ!!!」
 い、い、いきなり、何てことしてくれるんじゃ〜〜〜っ!!
 脳天に思い切り机の角を打ち付けられて、絶叫しながら床に激しくのたうち回る俺……
 角!角だよ、角!?
 この娘、面じゃなくて角で殴ったよ!!人の頭を!?ちょっと、容赦なくね!?一歩間違えたら、死んじゃうよ俺!!?
 ただ、教室でそんな異様な光景を繰り広げてても、周りに騒いでる様子がない。
 酷くね?
 もうちょっと気にしてくれてもいいんじゃない!?それとも、のたうち回ってんのが俺だから放置!?確かに頑丈さだけが取り柄だけどさ……
「どうしたんでしょう?横島さん」
「きっと、愛子ちゃんに失礼な事でも言ったんだよ」
 ピート!萩原!聴こえてんだよ!!冷静に話してねぇで、もっと心配しろ!
「私に痴女になれって言うの!!?」
「ちょ……ちょ、|それ《本体》取り敢えず下ろして…………」
 怒った愛子を宥めながら、何とか這々の体で机に復帰する。脳天には、まだ衝撃が残ってる…………
「全く……!それ、あなたが見たいだけでしょ!!」
「いや、お前なら皆も見たかったと__」
 ガスッ!!
「ぬぉおおおおおおぉぉ〜〜〜〜!!!」
 再び、床を転げ回る俺。ちょっと……同じ箇所を集中攻撃すんの止めて!本当、頭蓋砕けて死んじゃうから!!?
「横島さん、今日も元気ジャのぉ……」
「横島君だからね……」
 ステルス!萩原!テメェ等__以下略
「あなたは、懲りるって言葉知らないの……!?」
「ぜ、全裸が嫌なら、前みたいにレオター__」
 ゴスッ!ガスッ!…………
「脱ぐことから離れて!それと、レオタードは恥ずかしいから思い出させないで!!」
{IMG217638}
↑↑横島の希望
「着るなら、ピンクとか水色みたいな淡い色で……」
 しめ鯖バーガーの時は、グレーなんて色気もへったくれもなかったし……
「着・な・い・って!!言ってるでしょ〜〜〜!!!」
 ゴスッ!ガスッ!ゴスッ!バコッ…………
「いや!もう、死ぬ死ぬ!!?止めて、止めて、止めて、許して!!」
 んな、顔を真っ赤にするほどのことか!?いや、恥ずかしいのと怒りが一気に来てるのか!?
 ってか、あの細腕の何処にあんな力が…………いや、あれは妖気で作り出した分身だから、普通とは違うか。
「愛子さん。もう、授業始まるから落ち着いて下さい」
「そうだよ。横島君のせいで、愛子ちゃんまで怒られちゃうよ」
 未だ、肩で息をする愛子(さっきも言ったが、こいつの姿は本体が妖気で作り出した分身なんで、息をすることなんてないんだが、要は感情表現の一種だ)だったが、ピートと萩原の2人に宥められて何とか収まる。
 ってか、2人とも俺の心配はなしかよ………いや、今はそんなことより……
 俺は、床に仰向けになったまま口を開く。
「悪かったよ。もう、脱げとか言わねぇから……」
「その発言も既に通報レベルだからね」
「いや、さっき通報レベルの暴行受けて死にかかったんだけど……いや、何でもないです。机は勉強の為に使うんだから、いちいち振りかぶらないで」
「じゃあ、もう振り被らせないで!!」
「はい……」 
 俺がそうに言うと、流石に愛子も本体を元の位置へ戻す。
 ………………何にしても、やっと終わったか。
 一気に気の抜けた俺は、すぐに立ち上がる気にもなれず天井を見続ける。授業受けるのも面倒になってきた。このまま寝ちまうか……
 そこへ近づいて来る、ピート達。
「やってしまいましたね……」
「やっちまったよ……」
 何とも言えない微妙な表情を浮かべるピートに、自虐的に返す俺。畜生、一体どこで間違ったんだ……?
「大丈夫ですカイ?」
「大丈夫に見えるか?」
 ステルスの質問(気遣い?)に皮肉っぽく返す。さっきの一撃なら、お前でもキツイぞ。
 すると、最後は萩原が呆れたように呟きながら来た。
「もぅ……最近、割とマトモになって来たと思ってたのに、やっぱり横島君は、横島君だね」
「俺は横島だよ……」
 どういう意味だ?そりゃ…………だが、萩原はそんな俺の心情、お構い無しに続けてくる。
「私達、もう3年なんだし、何時までも子供みたいなことしてると周りから笑われちゃうよ」
「……3年にもなって、ピンクのストライプなんか履いてる奴に言われたくねぇよ。もっと、大人っぽいもんで__」
 ドグチャッ!!!
「ぬぉおおおおぉぉぉぉ〜〜〜〜〜〜!!!!!!鼻がぁ!!鼻があぁぁぁ〜〜〜〜!!!!」
 い、い、いきなり、何てことしてくれるんじゃ〜〜〜っ!!(本日2回目) 
 このアマ!!鼻を思い切り踏み付けやがった!!!今日一番の大ダメージじゃねぇか!!!!
{IMG217404}
「サイッテェーー!!!」
「テメェ〜!鼻が潰れたら、どうしてくれるんじゃ〜〜!!」
 三度、床に転げ回る俺。巫山戯んな〜!!仰向けに寝てんのに、スカートで無防備に来りゃ見えるに決まってんだろうがぁ〜〜〜!!
「潰れちゃえば良いんだよ!変態!!」
「のおぉぉぉ〜〜〜〜〜〜っ!!!」
「よ、横島さん!?ち、血が……!」
「横島さん……アンタ、何で言わんでいい事を……?」
「天罰よ……」
 その後も教室内に、虚しく響き渡る俺の絶叫……
 糞ったれが!
 今日は厄日かよ…………でも、最後はガッツリ見えたから、それでプラマイ0なのか?