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虎・前進

ー/ー



「んで……ちゃんと説明して貰えるんだろうな?」
「説明と言われても…………」


 あれから2日経った昼。

 事務所へ謝りに来たステルスへ雪之丞が問い掛ける。奴が普段以上にオドオドして見えるのは、気の所為じゃないだろう。加えて言うなら、まだ雪之丞にやられた部分が痛むのか時折顔を顰めることがある。


 流石のこいつでも、ダメージが深いか……?

 いや、他の人間なら入院必至なんだ。それをこの程度で済ませられるのは、やっぱりこいつのポテンシャルの高さ故だろうな。


「あの晩のことは、何も覚えとらんのジャあ……」
「何にもか?」
「厄介だな……」


 バツの悪そうな顔をするステルスに、俺達も “やれやれ” と言った感じで応じる。

 まぁ、予想はしてたけどな………記憶が残るくらい理性がありゃ、あそこまで暴れたりしねぇだろう。


「いつも通り森の中で瞑想していて気がついたら、エミさんの事務所で寝ていたんジャあ……皆は、雪之丞さんがワッシを事務所まで運んで来たって言うし、訳が解らないんジャあ…………横島さん、一体何がどうなっているんジャあ?」
 
「本当に、見事に抜け落ちてんなぁ……」
「それじゃあ、やり合ったお前(雪之丞)から話してやれよ」




    ◇◇◇


「そ……そげなことに…………!!?」
「本当に覚えてねぇのか?」


 雪之丞はステルスへ更に念を押すも、奴は首をかしげるばかり。

 ただ、話を聞いた後………いや、聞いてる最中からひたすら驚き捲ってて、嘘をついてるようには見えなかった。


 ちなみにだが、今まで興奮して吠えることはあっても意識を失ったのは初めてらしい。

 …………それも、それで糞迷惑だな。


「お、覚えてないんジャあ……あの日は、いつも通り瞑想をしてて………」


 また、それか……何で瞑想をしてて、ステルス暴走虎しちまうんだよ?

※しつこい男……


「 “何を考えて” 瞑想しておったんじゃ?」


 …………と、そこへ暇そうに茶を啜ってた、カオスの爺さんが口を挟んできた。マリアは俺達に茶を出した後、掃除に行ってる。


「は?瞑想ってのは、無心になることだろ?」


 ステルスに変わって雪之丞が答えるが、それを遮って爺さんは続ける。
 
 
「儂は、タイガーに聞いとる。そうじゃな、質問を変えよう。お主は、何の目的で瞑想をしていたんじゃ?瞑想とは、己の深層に眠る自分を掘り起こす行為じゃ。その目的意識が、お前の深層心理に影響を与えたのかもしれん」


 おお……何か、智者っぽいぞ!今日の爺さんは冴えてる方か?

 本当は普段から色々頼りたいんだけど、毎回丁半博打みたいに聞いてみないと解らない部分があるから、イマイチ信用出来ないんだよな…………本当に冴えてる時と呆けてる時の差が激しいと困る。
 

「…………また、無礼なこと考えとるな!」


 瞬時にジト目で睨んで来る爺さんを見て、俺は確信した。

 
「当たりだ!今日の爺さんはマトモだぞ♪ス……タイガー、何の目的だったんだ?」
「「「………………」」」


 若干場が変な空気になったが、気にしたら負けだ。俺は強引にステルスに話を促す。


「わ、ワッシは “理想の虎” を探してたんジャあ……」
「理想の虎?」


 そんな感じで爺さんと俺に促されたステルスは、辿々しく話し始めた。

 俺達との修業をしなくなったあと、ステルスは暇さえあれば、あの森に籠もっていたらしい。この辺は、予想通りだ。

 そこでしていたのが、瞑想による自己探索。そして、イメージトレーニングを併用した身体訓練だそうだ。


 幼少から憧れ続けて来た虎。

 瞑想を繰り返すことで自分の中にある虎の姿を呼び起こして、そのイメージを自分に重ね合わせようとしていたらしい。

 それって、つまり……


「精神感応を通して、自分を強者にしようとしたのか?」
「ウッス……」 

「自己暗示が強くなり過ぎたわけじゃな……満月の晩だったのも、悪い影響を与えたんじゃろう。月の魔力は時に人を狂わす。お主の言う、理想の虎とやらを追求する内に自分を見失ってしまったと言うわけじゃ」


 なるほどな……ステルスは元々、熱くなると周りが見えなくなる。あいつの人間性も含めて、全部悪い方に作用しちまったわけか。


「お主の中に眠る力を引き出したのは見事じゃが、ちょうど小僧共が近くにおって良かったのぉ。でなきゃ最悪、お主討伐されとったぞ」
「と、討伐……!?」


 ああ……それは、俺も思った。

 あんなのが街中で暴れたら、パニックもいいとこだからな。ステルスも事の重要さを理解したのか青ざめてる……


「ワッシは……ただ、強くありたいと思っただけジャったのに…………」
「闇雲に力を求めるのは危険じゃぞ……信念なき力は、ただの “暴力” と成り下がる。それで破滅した例は歴史が何度も証明しとるからな。お主が何故強さを求めたか……それを、もう一度よく考えてみることじゃ」
「……………………」

 
  
 その後、ステルスは黙りこくった。そして、他の誰もその話に触れることはなかった。

 爺さんは当然として、俺も雪之丞も下手な気休めなんか言ったところで逆効果と解っていたからだ。




    ◇◇◇



「やってしまったんジャあ……」
「まだ、言ってんのかよ。オメェは……(雪)」
「何も無かったんだし、良いだろ?(横)」


 いや、実際に森が破壊されたから割とヤバいんだが、これは触れない方がいいな。
 

 俺達は今、都内の焼肉屋の店内でロースターを囲んで座ってる。

 理由は、勿論ステルスの為だ。凹んでるこいつを元気付ける為に誘った訳だが、表情の方は優れない。

 肉のジュージュー焼ける音に、香ばしい香り……こんな条件なら普通なら食欲も唆るし、普段のこいつならそれこそ肉食獣の様に喰らいついたろう。

 だが、向かいの席に陣取るこいつは目を伏せがちにしてチョボチョボと口に運ぶのみだ。ありゃ、味も解ってねぇんじゃねぇか?

 ………………まぁ、仕方ないとは思うがな。


「奢りなんかだから、もっと食えよ。食える時に食い溜めしろ!」
「………………」


 そんなステルスに雪之丞が発破を掛けるが、それでも余り効果は見られなかった。

 まぁ、口で言って元気になるくらいなら端から落ち込みゃしねぇわな………


 そんな風に思ってると、相変わらず下を向いたままのステルスが誰にともなく口を開く。


「折角、理想を見つけたと思ったのに……」


 デカい身体をちいさく丸めて、これまた小さい声で呟くステルス。


 ………………縮こまりやがって。

 堂々とした出で立ちは、あの夜の方が全然良かったぞ。


「やり直せばいいじゃねぇか、何が悪かったかは爺さんが説明してくれたろう(雪)」
「そうだよ。一歩前進しただろ?(横)」
「ジャけど……また、暴走したら!」

「だから、それだって爺さんが言っただろ?闇雲に強さだけを求めるのが駄目だって、お前が強さを求める理由って何も無いのか?」
「そ、それは……ワッシは皆に置いてかれたくなくて…………」


 誰もお前を置いてってなんかいねぇよ……でも、今は黙ってよう。


「それだけなのか……?誰かの役に立ちたいとか、守りたいって気持ちは全く無かったのか?」
「そんなことはないんジャ!!」

「だったら、今度はそれを形にすりゃいいじゃねぇか?」
「形に……?」

「そうだよ。お前の役に立ちたい人達、守りたい人達の存在を目を閉じたらハッキリイメージ出来るくらいにな……あの夜のお前は、間違いなく強かった。強くて、気高い “虎” そのものだったよ」
「ワッシが “虎” ……」
「はっ、良いこと言うじゃねぇか♪」
 
「ああ、そうだ。こいつ(雪之丞)だって、お前の強さを認めてる。そこに太っとい信念が加わりや、 “鬼に金棒” だろ?」 
「ウッス……」

「別に急ぐ必要なんかない。お前のペースでやればいい出来ることがありゃ、俺達だった協力するよ」
「そうだよ。また、暴走したら俺が殴って止めてやっから♪」
「そ、それはちょっと……」


 そんな雪之丞の脳筋全開な激励に若干ステルスも引き気味になるが奴は止まらない。


「顔が変形して、イケメンなるかもしんねぇぜ♪」


 なるわけねぇだろ……!

 何言ってんだ、こいつは?


「本当ですカイ!?どの辺が??」


 …………って、反応すんのか!?


「ああっ!?んなもん、全部に決まってんだろ!西条の旦那みたいなイケメンの虎に生まれ変わるんだ」
「イ……イケメン………!?」


 馬鹿なのか?

 いや、こいつら馬鹿だったな。馬鹿なチビと馬鹿な虎………世界一お似合いのコンビになりそうだ。


「そ、その通りですジャ!こんな所で、いちいち止まってはいられないんジャ!!」


 おっ……何か元気出てきたか?

 お前、間違えてクリーチャーに生まれ変わる可能性が高いんだからな。


  “グロテスク・タイガー” になっちまうぞ……



 ………………まぁ、いいか。そん時ゃ、そん時だ。←ヒデェ


「ワッシは虎になる!虎になるんじゃーーーーー!!!グァアラアァァァーーーーーー!!!!」
「「…………………………」」


 だから、うるせぇよ………

 席から立ち上がると、天井に向かって力強く(鬱陶しく)吠えるステルス…………迷惑極まりねぇな。

 ってか、個室じゃねぇんだぞ。周りの視線が痛すぎる……


 でも、いつも通り元気(ウザく)になったし良いか。オドオドして悄気てるより何倍もマシだ。


「クハハハハッ!いいねぇ♪凹んでんのは、お前らしくないぜ♪」
「ああ、その意気だ。頑張れ! “ステルス・タイガー” !!」
「ワッシは “影のうっすい虎” ジャないんジャい!!」

 


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 あれから2日経った昼。
 事務所へ謝りに来たステルスへ雪之丞が問い掛ける。奴が普段以上にオドオドして見えるのは、気の所為じゃないだろう。加えて言うなら、まだ雪之丞にやられた部分が痛むのか時折顔を顰めることがある。
 流石のこいつでも、ダメージが深いか……?
 いや、他の人間なら入院必至なんだ。それをこの程度で済ませられるのは、やっぱりこいつのポテンシャルの高さ故だろうな。
「あの晩のことは、何も覚えとらんのジャあ……」
「何にもか?」
「厄介だな……」
 バツの悪そうな顔をするステルスに、俺達も “やれやれ” と言った感じで応じる。
 まぁ、予想はしてたけどな………記憶が残るくらい理性がありゃ、あそこまで暴れたりしねぇだろう。
「いつも通り森の中で瞑想していて気がついたら、エミさんの事務所で寝ていたんジャあ……皆は、雪之丞さんがワッシを事務所まで運んで来たって言うし、訳が解らないんジャあ…………横島さん、一体何がどうなっているんジャあ?」
「本当に、見事に抜け落ちてんなぁ……」
「それじゃあ、やり合った|お前《雪之丞》から話してやれよ」
    ◇◇◇
「そ……そげなことに…………!!?」
「本当に覚えてねぇのか?」
 雪之丞はステルスへ更に念を押すも、奴は首をかしげるばかり。
 ただ、話を聞いた後………いや、聞いてる最中からひたすら驚き捲ってて、嘘をついてるようには見えなかった。
 ちなみにだが、今まで興奮して吠えることはあっても意識を失ったのは初めてらしい。
 …………それも、それで糞迷惑だな。
「お、覚えてないんジャあ……あの日は、いつも通り瞑想をしてて………」
 また、それか……何で瞑想をしてて、ステルス暴走虎しちまうんだよ?
※しつこい男……
「 “何を考えて” 瞑想しておったんじゃ?」
 …………と、そこへ暇そうに茶を啜ってた、カオスの爺さんが口を挟んできた。マリアは俺達に茶を出した後、掃除に行ってる。
「は?瞑想ってのは、無心になることだろ?」
 ステルスに変わって雪之丞が答えるが、それを遮って爺さんは続ける。
「儂は、タイガーに聞いとる。そうじゃな、質問を変えよう。お主は、何の目的で瞑想をしていたんじゃ?瞑想とは、己の深層に眠る自分を掘り起こす行為じゃ。その目的意識が、お前の深層心理に影響を与えたのかもしれん」
 おお……何か、智者っぽいぞ!今日の爺さんは冴えてる方か?
 本当は普段から色々頼りたいんだけど、毎回丁半博打みたいに聞いてみないと解らない部分があるから、イマイチ信用出来ないんだよな…………本当に冴えてる時と呆けてる時の差が激しいと困る。
「…………また、無礼なこと考えとるな!」
 瞬時にジト目で睨んで来る爺さんを見て、俺は確信した。
「当たりだ!今日の爺さんはマトモだぞ♪ス……タイガー、何の目的だったんだ?」
「「「………………」」」
 若干場が変な空気になったが、気にしたら負けだ。俺は強引にステルスに話を促す。
「わ、ワッシは “理想の虎” を探してたんジャあ……」
「理想の虎?」
 そんな感じで爺さんと俺に促されたステルスは、辿々しく話し始めた。
 俺達との修業をしなくなったあと、ステルスは暇さえあれば、あの森に籠もっていたらしい。この辺は、予想通りだ。
 そこでしていたのが、瞑想による自己探索。そして、イメージトレーニングを併用した身体訓練だそうだ。
 幼少から憧れ続けて来た虎。
 瞑想を繰り返すことで自分の中にある虎の姿を呼び起こして、そのイメージを自分に重ね合わせようとしていたらしい。
 それって、つまり……
「精神感応を通して、自分を強者にしようとしたのか?」
「ウッス……」 
「自己暗示が強くなり過ぎたわけじゃな……満月の晩だったのも、悪い影響を与えたんじゃろう。月の魔力は時に人を狂わす。お主の言う、理想の虎とやらを追求する内に自分を見失ってしまったと言うわけじゃ」
 なるほどな……ステルスは元々、熱くなると周りが見えなくなる。あいつの人間性も含めて、全部悪い方に作用しちまったわけか。
「お主の中に眠る力を引き出したのは見事じゃが、ちょうど小僧共が近くにおって良かったのぉ。でなきゃ最悪、お主討伐されとったぞ」
「と、討伐……!?」
 ああ……それは、俺も思った。
 あんなのが街中で暴れたら、パニックもいいとこだからな。ステルスも事の重要さを理解したのか青ざめてる……
「ワッシは……ただ、強くありたいと思っただけジャったのに…………」
「闇雲に力を求めるのは危険じゃぞ……信念なき力は、ただの “暴力” と成り下がる。それで破滅した例は歴史が何度も証明しとるからな。お主が何故強さを求めたか……それを、もう一度よく考えてみることじゃ」
「……………………」
 その後、ステルスは黙りこくった。そして、他の誰もその話に触れることはなかった。
 爺さんは当然として、俺も雪之丞も下手な気休めなんか言ったところで逆効果と解っていたからだ。
    ◇◇◇
「やってしまったんジャあ……」
「まだ、言ってんのかよ。オメェは……(雪)」
「何も無かったんだし、良いだろ?(横)」
 いや、実際に森が破壊されたから割とヤバいんだが、これは触れない方がいいな。
 俺達は今、都内の焼肉屋の店内でロースターを囲んで座ってる。
 理由は、勿論ステルスの為だ。凹んでるこいつを元気付ける為に誘った訳だが、表情の方は優れない。
 肉のジュージュー焼ける音に、香ばしい香り……こんな条件なら普通なら食欲も唆るし、普段のこいつならそれこそ肉食獣の様に喰らいついたろう。
 だが、向かいの席に陣取るこいつは目を伏せがちにしてチョボチョボと口に運ぶのみだ。ありゃ、味も解ってねぇんじゃねぇか?
 ………………まぁ、仕方ないとは思うがな。
「奢りなんかだから、もっと食えよ。食える時に食い溜めしろ!」
「………………」
 そんなステルスに雪之丞が発破を掛けるが、それでも余り効果は見られなかった。
 まぁ、口で言って元気になるくらいなら端から落ち込みゃしねぇわな………
 そんな風に思ってると、相変わらず下を向いたままのステルスが誰にともなく口を開く。
「折角、理想を見つけたと思ったのに……」
 デカい身体をちいさく丸めて、これまた小さい声で呟くステルス。
 ………………縮こまりやがって。
 堂々とした出で立ちは、あの夜の方が全然良かったぞ。
「やり直せばいいじゃねぇか、何が悪かったかは爺さんが説明してくれたろう(雪)」
「そうだよ。一歩前進しただろ?(横)」
「ジャけど……また、暴走したら!」
「だから、それだって爺さんが言っただろ?闇雲に強さだけを求めるのが駄目だって、お前が強さを求める理由って何も無いのか?」
「そ、それは……ワッシは皆に置いてかれたくなくて…………」
 誰もお前を置いてってなんかいねぇよ……でも、今は黙ってよう。
「それだけなのか……?誰かの役に立ちたいとか、守りたいって気持ちは全く無かったのか?」
「そんなことはないんジャ!!」
「だったら、今度はそれを形にすりゃいいじゃねぇか?」
「形に……?」
「そうだよ。お前の役に立ちたい人達、守りたい人達の存在を目を閉じたらハッキリイメージ出来るくらいにな……あの夜のお前は、間違いなく強かった。強くて、気高い “虎” そのものだったよ」
「ワッシが “虎” ……」
「はっ、良いこと言うじゃねぇか♪」
「ああ、そうだ。|こいつ《雪之丞》だって、お前の強さを認めてる。そこに太っとい信念が加わりや、 “鬼に金棒” だろ?」 
「ウッス……」
「別に急ぐ必要なんかない。お前のペースでやればいい出来ることがありゃ、俺達だった協力するよ」
「そうだよ。また、暴走したら俺が殴って止めてやっから♪」
「そ、それはちょっと……」
 そんな雪之丞の脳筋全開な激励に若干ステルスも引き気味になるが奴は止まらない。
「顔が変形して、イケメンなるかもしんねぇぜ♪」
 なるわけねぇだろ……!
 何言ってんだ、こいつは?
「本当ですカイ!?どの辺が??」
 …………って、反応すんのか!?
「ああっ!?んなもん、全部に決まってんだろ!西条の旦那みたいなイケメンの虎に生まれ変わるんだ」
「イ……イケメン………!?」
 馬鹿なのか?
 いや、こいつら馬鹿だったな。馬鹿なチビと馬鹿な虎………世界一お似合いのコンビになりそうだ。
「そ、その通りですジャ!こんな所で、いちいち止まってはいられないんジャ!!」
 おっ……何か元気出てきたか?
 お前、間違えてクリーチャーに生まれ変わる可能性が高いんだからな。
  “グロテスク・タイガー” になっちまうぞ……
 ………………まぁ、いいか。そん時ゃ、そん時だ。←ヒデェ
「ワッシは虎になる!虎になるんじゃーーーーー!!!グァアラアァァァーーーーーー!!!!」
「「…………………………」」
 だから、うるせぇよ………
 席から立ち上がると、天井に向かって力強く(鬱陶しく)吠えるステルス…………迷惑極まりねぇな。
 ってか、個室じゃねぇんだぞ。周りの視線が痛すぎる……
 でも、いつも通り|元気《ウザく》になったし良いか。オドオドして悄気てるより何倍もマシだ。
「クハハハハッ!いいねぇ♪凹んでんのは、お前らしくないぜ♪」
「ああ、その意気だ。頑張れ! “ステルス・タイガー” !!」
「ワッシは “影のうっすい虎” ジャないんジャい!!」