ミノタウロスがふと呟いた。
「なんか腰が痛くなりましたなぁ。」
その声に、エリシアはどうでも良さそうに返事をした。
「斧とか振りすぎじゃありませんの?だいたい、あなたは力任せなんですの。」
「いや、そうではないと思いますがねぇ。」
「いや絶対そうですわよ。そんな体の使い方してたら限界が来ますわよ。魔法でも練習してみたらどうですの?」
「うぅむ……」
渋々唸りながらも、ミノタウロスは黙り込んだ。しばらくして、彼が口を開く。
「時にエリシア殿……」
「なんですの!今いいところなの!」
——カン!
彼女が放った矢が見事的に命中した音が響く。
「ふふふ……これで優勝間違いなし!」
「エリシア殿……」
「なんですの!?」
「魔王様が仰ったのは乗馬コンテストですぞ。」
「ええ!だからこうやって練習を!」
エリシアが胸を張りながら答えたその瞬間、ミノタウロスは静かに言った。
「私は牛です。」
エリシアはふと下を見た。
今、彼女が馬乗りになっているのは、馬ではなくミノタウロス。
れっきとした牛の魔物だった。
「そう……でしたわね。」
エリシアは冷静な表情を保ちながらも、少しだけ視線を逸らした。