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贈答品の件

ー/ー



 エリシア商事の会議。


 会議も終盤に差し掛かり、「先方への贈答品を何にするか」という議題が取り上げられた。

 社員たちは口々に高級品の案を出し合う。高級ワインや希少な果物など、様々なアイデアが飛び交う中、ある社員が提案した。



「松阪牛(まつさかうし)はどうでしょう。」



 その瞬間だった。



 ——ガタッ!



エリシア社長が突如として立ち上がった。



「えっ……」
「社長?」



 社員たちは一斉に困惑した表情を浮かべた。

 エリシアは無言のまま、発言した社員の元まで歩み寄ると、その顔のすぐ近くまで身を乗り出し、凄まじい圧力を放ちながら睨みつけた。



「え……」



 社員は恐る恐る視線を合わせる。会議室内は静まり返り、空気は凍りついていた。

 続くエリシアの一言に、全員が息を飲んだ。



 そして、エリシアは静かに口を開いた。





「まつざかぎゅう、でしょ?」





「えっ!?」

 社員たちは一瞬固まった。



 勇気を振り絞り、発言した社員が答える。



「いや!社長……その……正しくは『まつさかうし』でして……」



 ——ガン!



 エリシアの足が机を蹴り上げた音が会議室に響き渡る。社員たちはビクリと肩を震わせた。



「いや、まつざかぎゅう、ですわね……」



 その言葉には確固たる自信がみなぎっていた。



「ええええぇ?」



 会議室内は混乱と沈黙に包まれた。



 突然、エリシアは無言でホワイトボードの前に歩いて行き、水性ペンを手に取った。そして乱雑な字で大きく書き殴った。



 松阪牛(まつざかぎゅう)



 ——バンッ!



 ホワイトボードを叩き、社員たちを振り返ったエリシアが問いかける。



「え!?みなさん……もちろん『まつざかぎゅう』ですわよね?」



「えええぇ!?」
「いや、社長……」



 社員たちの動揺が広がる中、エリシアはさらに圧力を強めた。



 ——バン!



 今度はホワイトボードの枠を叩き、声を低くして言い放つ。



「私が『まつざかぎゅう』って言ってるのに……あらそう……皆様方はそうやって『まつさかうし』だなんて仰るとはねぇ……」



 その言葉には、妙な威圧感が漂っていた。



「……」



 社員たちは一切反論できず、沈黙が支配する会議室。エリシアの視線が一人一人に刺さる中、誰もが息を呑んでいた。



 ——その後。


 
 営業担当が先方に贈答品の件で電話をしていた。



「どうもお世話になります。えぇ……それはどうも……お気に召していただきましたか。」



 丁寧な口調でやり取りを続ける営業担当。



 しかし、ふと横を見ると、エリシア社長が何とも言えない表情でこちらをじっと睨んでいた。



「そうですか……『まつざかぎゅう』をお気に召していただいてありがとうございます。これからもぜひ……」



 ——グッ!



 電話を切る間際、エリシアが謎のサムズアップを見せた。



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 会議も終盤に差し掛かり、「先方への贈答品を何にするか」という議題が取り上げられた。
 社員たちは口々に高級品の案を出し合う。高級ワインや希少な果物など、様々なアイデアが飛び交う中、ある社員が提案した。
「松阪牛(まつさかうし)はどうでしょう。」
 その瞬間だった。
 ——ガタッ!
エリシア社長が突如として立ち上がった。
「えっ……」
「社長?」
 社員たちは一斉に困惑した表情を浮かべた。
 エリシアは無言のまま、発言した社員の元まで歩み寄ると、その顔のすぐ近くまで身を乗り出し、凄まじい圧力を放ちながら睨みつけた。
「え……」
 社員は恐る恐る視線を合わせる。会議室内は静まり返り、空気は凍りついていた。
 続くエリシアの一言に、全員が息を飲んだ。
 そして、エリシアは静かに口を開いた。
「まつざかぎゅう、でしょ?」
「えっ!?」
 社員たちは一瞬固まった。
 勇気を振り絞り、発言した社員が答える。
「いや!社長……その……正しくは『まつさかうし』でして……」
 ——ガン!
 エリシアの足が机を蹴り上げた音が会議室に響き渡る。社員たちはビクリと肩を震わせた。
「いや、まつざかぎゅう、ですわね……」
 その言葉には確固たる自信がみなぎっていた。
「ええええぇ?」
 会議室内は混乱と沈黙に包まれた。
 突然、エリシアは無言でホワイトボードの前に歩いて行き、水性ペンを手に取った。そして乱雑な字で大きく書き殴った。
 松阪牛(まつざかぎゅう)
 ——バンッ!
 ホワイトボードを叩き、社員たちを振り返ったエリシアが問いかける。
「え!?みなさん……もちろん『まつざかぎゅう』ですわよね?」
「えええぇ!?」
「いや、社長……」
 社員たちの動揺が広がる中、エリシアはさらに圧力を強めた。
 ——バン!
 今度はホワイトボードの枠を叩き、声を低くして言い放つ。
「私が『まつざかぎゅう』って言ってるのに……あらそう……皆様方はそうやって『まつさかうし』だなんて仰るとはねぇ……」
 その言葉には、妙な威圧感が漂っていた。
「……」
 社員たちは一切反論できず、沈黙が支配する会議室。エリシアの視線が一人一人に刺さる中、誰もが息を呑んでいた。
 ——その後。
 営業担当が先方に贈答品の件で電話をしていた。
「どうもお世話になります。えぇ……それはどうも……お気に召していただきましたか。」
 丁寧な口調でやり取りを続ける営業担当。
 しかし、ふと横を見ると、エリシア社長が何とも言えない表情でこちらをじっと睨んでいた。
「そうですか……『まつざかぎゅう』をお気に召していただいてありがとうございます。これからもぜひ……」
 ——グッ!
 電話を切る間際、エリシアが謎のサムズアップを見せた。