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「暗闇」第二節

ー/ー



「私は都が思っているよりも、しつこいわよ。本心を 聞くまで諦めないからね。覚悟をしておきなさい」

 宣戦布告をして美和は部屋に戻る。彼女は真正面からぶつかってきた。全力で言葉をぶつけてきた。

 彼女は何て真っすぐなのだろうか。
 自分の気持ちに正直なのだろうか。

 今回、美和と話してみて感じとった。都が思っているよりも、美和は強い。

 自分よりもきちんと、血の通った人間だ。困難にあったとしても、跳ね返せるポテンシャルは持っている。心配しなくても、立ち直る力を秘めている。

 都はリビングのカーテンを開けた。 結局、朝が来てしまった。明るくなって、太陽が登り始める。空の支配者が変わる――交代をする瞬間だった。

 あと、何回、夜明けの瞬間を、体験できるのだろうか。

 でも、時間は残酷で『今』を――現在を刻み続ける。針は進み続ける。誰にも止める権利はない。

 都は夜明けの空を見つめた。

 翌日――。

 都はペンを置いた。
 
 思い。
 願い。
 
 祈り。

 全ての気持ちを手紙に書いた。精神世界――夢の中ではなく、自分の肉声で手紙を書きたかった。不器用すぎて、言葉にはできない。口で言うと、美和とけんかになってしまいになりそうだった。

 けんかを回避するために、手紙を書いたのである。 渡すとなれば、自分が死んだあとになるはずだ。美波と美和、湊に書いた手紙を封筒に入れて、丁寧にかばんにしまった。

 いずれ、誰かに託す時が来る。預けても大丈夫と 思える人物が現れる。 今の都は勘が鋭く、予想は外れない。

 預ける人に出会うまで、大切に保管をしておかなければいけない。鍵付きのボックスを買っていて、クローゼットの奥に用意してある。

 ――眩しい。

 図書館から出た都は太陽の光に瞳を細める。都が歩いていると、買い物を終わらせてきた美波がいた。

 彼は荷物を受け取る。

「図書館にいるなんて珍しいわね」
「そうですか?」

「都。大丈夫? 無理をしていないかしら?」
「僕は大丈夫です」

「何かあったら言ってね」
「美波さん。もしですよ? 遺伝子操作を受けて誕生した人間だとしたら、何を思いますか?」

「都は都だわ。たった一つの命よ」
「突然、聞いてごめんなさい」

「ねぇ、都」
「はい」

「何があっても、都は私たちの家族だからね。忘れないでほしいの」

 その後の会話は続かずに、二人は無言で家まで歩いた。




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「私は都が思っているよりも、しつこいわよ。本心を 聞くまで諦めないからね。覚悟をしておきなさい」
 宣戦布告をして美和は部屋に戻る。彼女は真正面からぶつかってきた。全力で言葉をぶつけてきた。
 彼女は何て真っすぐなのだろうか。
 自分の気持ちに正直なのだろうか。
 今回、美和と話してみて感じとった。都が思っているよりも、美和は強い。
 自分よりもきちんと、血の通った人間だ。困難にあったとしても、跳ね返せるポテンシャルは持っている。心配しなくても、立ち直る力を秘めている。
 都はリビングのカーテンを開けた。 結局、朝が来てしまった。明るくなって、太陽が登り始める。空の支配者が変わる――交代をする瞬間だった。
 あと、何回、夜明けの瞬間を、体験できるのだろうか。
 でも、時間は残酷で『今』を――現在を刻み続ける。針は進み続ける。誰にも止める権利はない。
 都は夜明けの空を見つめた。
 翌日――。
 都はペンを置いた。
 思い。
 願い。
 祈り。
 全ての気持ちを手紙に書いた。精神世界――夢の中ではなく、自分の肉声で手紙を書きたかった。不器用すぎて、言葉にはできない。口で言うと、美和とけんかになってしまいになりそうだった。
 けんかを回避するために、手紙を書いたのである。 渡すとなれば、自分が死んだあとになるはずだ。美波と美和、湊に書いた手紙を封筒に入れて、丁寧にかばんにしまった。
 いずれ、誰かに託す時が来る。預けても大丈夫と 思える人物が現れる。 今の都は勘が鋭く、予想は外れない。
 預ける人に出会うまで、大切に保管をしておかなければいけない。鍵付きのボックスを買っていて、クローゼットの奥に用意してある。
 ――眩しい。
 図書館から出た都は太陽の光に瞳を細める。都が歩いていると、買い物を終わらせてきた美波がいた。
 彼は荷物を受け取る。
「図書館にいるなんて珍しいわね」
「そうですか?」
「都。大丈夫? 無理をしていないかしら?」
「僕は大丈夫です」
「何かあったら言ってね」
「美波さん。もしですよ? 遺伝子操作を受けて誕生した人間だとしたら、何を思いますか?」
「都は都だわ。たった一つの命よ」
「突然、聞いてごめんなさい」
「ねぇ、都」
「はい」
「何があっても、都は私たちの家族だからね。忘れないでほしいの」
 その後の会話は続かずに、二人は無言で家まで歩いた。