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「報復の始まり」第四節

ー/ー



「――あなたは」
「私は佐川かなた。お前の祖父母がしていた研究所の元副所長だ。定期的に機械の整備と掃除に来ている」

 祖父母を知っているみたいだし、敵ではないようである。

 湊は肩の力を抜いた。

「祖父母の時の?」
「私は高校生の時に、荒れていてね。治療のために、ここの療養所を使っていた。厄介だった私を、君の祖父母は引き取ってくれた。通信の大学まで通わせてくれてね。君がここにいるのは、原田孝への報復の材料探しか?」

「そうです。あとは、薬を作りたくて、入らせてもらいました」
「デザインズ・ベイビー用の薬か。下手したら、難しくて長期間かかるかもしれない。作る覚悟はあるか?」

「覚悟はあります」

 湊はかなたに怯える様子すら見せずに、返答する。湊はスマートフォンを、操作する様子を見ていた。
 
 ――二十人、そろっているか?
 ――十河孝への報復を考えているかわいそうな子供を、助けるつもりはないか?

 全員、順次既読になった。

 ――え?
 ――副所長、いつの間に結婚したの?
 
 ――違う。
 ――偶然、拾っただけだ。

  ――あの十河孝の第一子だ。  
  ――価値はあると思うがどうだ?

 ――面白そうだろう?   

 ――ふぅん。
 ――十河孝の子供ね。
 
 ――おもしろそうじゃないか。
 ――手は空いているし、研究所に向かうわ。

 ――所長のお願いを断る人はいない。

 湊にラインを見せた。 目を逸らすわけにはいかない。ラインのやり取りを、食いついて読んだ。

 同時にお腹が鳴る。 時計を見ると昼の一時少し過ぎていた。そういえば、朝から何も食べていなかった。ことり、と目の前にマグカップが置かれる。

 おいしそうな湯気が立っている。中身はインスタントの野菜スープだった。人参にたまねぎに、コーン、キャベツなどが入っている。猫舌のために息をかけながら、ゆっくりと飲んでいく。

  野菜の甘みが嬉しい。一息つけた気がした。ごちそうさまでした、と手を合わせて、マグカップを洗いに立ち上がる。

 洗うと再び先ほどのいすに座った。

「お前は私とともに、待っとけばいいだけだ。 一人では無理に決まっている。私たちを利用すれはいい」
「僕を助けた理由は何でしょうか?」

「いい目をしている。将来、いずれおまえは、化けると思ったからだ。未来への投資にもなる。奴らが来たな」

 外でオートバイの音がした。エンジンの音が止まる。ドアが開いた瞬間に、入ってきたメンバーに湊は圧倒された。二十人集まると威圧感がある。かなた以外集まったメンバーにも名前はある。

 名前ではなく、研究所に入った順の番号で呼ばれていた。名前で呼ばれないのも、研究にしか興味がないからだった。漂っている空気も、悪くはなかった。

 湊にはそう読み取れた。

 集まった研究者たちは優秀で、在籍していても数週間で研究終わらせて、それぞれ好きな場所へと散っていく。

 そんなジプシー的な存在だった。珍しい集団の登場に、どう呼ぼうかと頭を悩ませる。かなたからは好きな感性で、奴らを呼んでいいからと説得された。

「あなたが『かわいそうな子供』ね」
「よろしくお願いします」

 湊は頭を下げた。逃げている暇はない。研究所の部屋に緊急避難用の通路を作る。各研究員の部屋に呼び出しのコールボタンをつける。最新の指紋照合できる装置を各出入り口に設置する。

 一つ一つ意見を出し合っていく。 孝への対抗策は、お金のかかる意見ばかりだった。

 けれど祖父母時代の使っていないお金がまとまって、手元に残っているのだと話した。管理をかなたがしていた。通帳が入った封筒を渡される。

 封筒からだして通帳を見た。
 金額の大きさに目を見開く。

 通帳を戻すと唇を結んだ。

 今回はありがたく使わせてもらおうと決めた。研究用の資材も整っている。残ったお金は何かあった時のために、手を付けないと確認をした。

 もちろん、次期研究所所長は、湊にとの提案を受け入れた。湊は都が書いた文字の紙を、もらった写真入れに入れた。

  机の上に飾る。

 ――さぁ、報復を始めよう。

 湊の孝に対する報復と倒すための計画は、始まったばかりだった。











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「――あなたは」
「私は佐川かなた。お前の祖父母がしていた研究所の元副所長だ。定期的に機械の整備と掃除に来ている」
 祖父母を知っているみたいだし、敵ではないようである。
 湊は肩の力を抜いた。
「祖父母の時の?」
「私は高校生の時に、荒れていてね。治療のために、ここの療養所を使っていた。厄介だった私を、君の祖父母は引き取ってくれた。通信の大学まで通わせてくれてね。君がここにいるのは、原田孝への報復の材料探しか?」
「そうです。あとは、薬を作りたくて、入らせてもらいました」
「デザインズ・ベイビー用の薬か。下手したら、難しくて長期間かかるかもしれない。作る覚悟はあるか?」
「覚悟はあります」
 湊はかなたに怯える様子すら見せずに、返答する。湊はスマートフォンを、操作する様子を見ていた。
 ――二十人、そろっているか?
 ――十河孝への報復を考えているかわいそうな子供を、助けるつもりはないか?
 全員、順次既読になった。
 ――え?
 ――副所長、いつの間に結婚したの?
 ――違う。
 ――偶然、拾っただけだ。
  ――あの十河孝の第一子だ。  
  ――価値はあると思うがどうだ?
 ――面白そうだろう?   
 ――ふぅん。
 ――十河孝の子供ね。
 ――おもしろそうじゃないか。
 ――手は空いているし、研究所に向かうわ。
 ――所長のお願いを断る人はいない。
 湊にラインを見せた。 目を逸らすわけにはいかない。ラインのやり取りを、食いついて読んだ。
 同時にお腹が鳴る。 時計を見ると昼の一時少し過ぎていた。そういえば、朝から何も食べていなかった。ことり、と目の前にマグカップが置かれる。
 おいしそうな湯気が立っている。中身はインスタントの野菜スープだった。人参にたまねぎに、コーン、キャベツなどが入っている。猫舌のために息をかけながら、ゆっくりと飲んでいく。
  野菜の甘みが嬉しい。一息つけた気がした。ごちそうさまでした、と手を合わせて、マグカップを洗いに立ち上がる。
 洗うと再び先ほどのいすに座った。
「お前は私とともに、待っとけばいいだけだ。 一人では無理に決まっている。私たちを利用すれはいい」
「僕を助けた理由は何でしょうか?」
「いい目をしている。将来、いずれおまえは、化けると思ったからだ。未来への投資にもなる。奴らが来たな」
 外でオートバイの音がした。エンジンの音が止まる。ドアが開いた瞬間に、入ってきたメンバーに湊は圧倒された。二十人集まると威圧感がある。かなた以外集まったメンバーにも名前はある。
 名前ではなく、研究所に入った順の番号で呼ばれていた。名前で呼ばれないのも、研究にしか興味がないからだった。漂っている空気も、悪くはなかった。
 湊にはそう読み取れた。
 集まった研究者たちは優秀で、在籍していても数週間で研究終わらせて、それぞれ好きな場所へと散っていく。
 そんなジプシー的な存在だった。珍しい集団の登場に、どう呼ぼうかと頭を悩ませる。かなたからは好きな感性で、奴らを呼んでいいからと説得された。
「あなたが『かわいそうな子供』ね」
「よろしくお願いします」
 湊は頭を下げた。逃げている暇はない。研究所の部屋に緊急避難用の通路を作る。各研究員の部屋に呼び出しのコールボタンをつける。最新の指紋照合できる装置を各出入り口に設置する。
 一つ一つ意見を出し合っていく。 孝への対抗策は、お金のかかる意見ばかりだった。
 けれど祖父母時代の使っていないお金がまとまって、手元に残っているのだと話した。管理をかなたがしていた。通帳が入った封筒を渡される。
 封筒からだして通帳を見た。
 金額の大きさに目を見開く。
 通帳を戻すと唇を結んだ。
 今回はありがたく使わせてもらおうと決めた。研究用の資材も整っている。残ったお金は何かあった時のために、手を付けないと確認をした。
 もちろん、次期研究所所長は、湊にとの提案を受け入れた。湊は都が書いた文字の紙を、もらった写真入れに入れた。
  机の上に飾る。
 ――さぁ、報復を始めよう。
 湊の孝に対する報復と倒すための計画は、始まったばかりだった。