第2話:古代の通信術と恋文の行方
ー/ー I. 新たな危機と叡智の応用
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王都に蔓延した疫病を、酸っぱい雨と手洗い指導という奇策で収束させたカーシャの威厳は、かつてないほど高まっていた。しかし、その裏で、彼女の頭は常にフル回転していた。
(カーシャの内心: やばい、知識が尽きてきた。オフラインの医学事典はもうペラペラ。次は王都の運営に関する質問が来るはず。早く新しい知識を仕入れないと!)
そんな中、王宮から新たな依頼が入った。
「賢者カーシャ様。隣国の要塞が急襲され、至急、王命を伝える必要があります。しかし伝令は敵に阻まれ、最も速い伝書鳩でも往復に三日かかる…どうか、古代の超高速通信術をお示しください!」
三日。カーシャは内心で舌打ちした。
(カーシャの内心: 無理じゃん! スマホは電波通じないし、光通信なんてこの時代、どうやっても無理! ……いや、待てよ。)
カーシャはスマホの奥深くにあった、昔、趣味で小説のネタとして保存していた『モールス信号一覧の画像データ』を開いた。
「陛下。この術は『音律転写術』と申します。既に王国の魔導具、『魔導共鳴石』によって微細な音を遠隔地に送る技術は存在します。しかし、この古代の呪文律を用いることで、敵に悟られることなく、情報伝達の速度を百倍に高めることが可能です」
カーシャは、モールス符号の長短のリズムを「古代の呪文律」として発表した。
(カーシャの内心: モールス信号って名前は知ってるけど、実際使うのはこれが初めてなんだよね。頼む、たまたまオフラインで残ってた画像データよ、合っててくれ!)
その話を聞きつけたセシリアが、いよいよ我慢の限界だとばかりに飛び出してきた。
「愚かな!音律転写術など、この国の魔術体系に存在しません! まさか、賢者様はただの指パッチンで通信できるとでも? 私との通信速度での公開対決を要求しますわ!」
セシリアは伝統的な魔法による伝令術でカーシャを打ち負かし、地位を取り戻そうと企んだ。
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II. 恋と誤解の連鎖
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カーシャはセシリアを無視し、エリスを呼び出した。
「エリス。この音律転写術は、非常に繊細な魔力のリズム集中を要する。この木の板を使い、この呪文律(モールス符号)を指で刻みなさい」
カーシャは、エリスに短点・長点(トン・ツー)のリズムを教え始めた。しかし、元事務員である彼女の指導は粗雑で、リズムはバラバラだ。
その指導中、騎士団長レオナルドが激励に訪れた。
「賢者様。この『音律転写の儀』は、私も初めて拝見しますが、その集中力たるや凄まじい。陛下への忠誠を示す、最高の儀式です!」
(カーシャの内心: ぎゃー! また褒められた! 「最高の儀式」って、ただの指で板叩いてるだけだよ!? お願いだから、この粗雑な『トン・ツー』の音を聞かないで! でも、真っ直ぐな瞳が眩しすぎて……! ぐぬぬ、キュン死にそう!)
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