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第三百八十七話

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 空間を荒っぽく握り潰して、盛大に無駄に食い潰す和氣と、それを高速移動で綺麗に回避していく高梨。身を捻りながら、各所に被害が行かないよう宙でその食い潰す能力を使わせていたのだ。

「チッ、ちょこまかと動き回りやがって! 本当面倒臭ェッ!!」

「悪いけれど、私よりも年上だから敬意を持って助言してあげる。年食った人間がそんな軽口叩いても、ネット上でしか幅を利かせられない存在くらいにしか人気は出ないわよ」

 そんな高梨の言葉に苛立ったか、その場から動かずに諸手を扱い食い潰す。しかし、それら全ての動きは高梨からしたら非常に鈍重そのもの。耳元を掠めるような一撃はあったものの、クリーンヒットは未だ無し。完全におちょくるようなものであったために、すぐさま決着をつけることこそに意義があるように思えたのだ。

(このまま周囲の建物に被害を生まないよう、宙を炎の推進力で高速移動しながら――一気に叩く!)

 新たな能力に夢中になっていることを察知したために、すぐさま至近距離に近寄ろうとする高梨。
 しかし。和氣はそれでも笑っていたのだ。
 すぐさま方向転換をしようと宙で身を捻ったものの、これまでの動きではなく――ただ手を宙で握り締めるだけで空間圧縮が可能であることを知ったのだ。
 その影響で、判断が一瞬遅れた結果、右足先数センチを完全に削り取られたのだ。右足の指が全て無くなったのだ。
 痛苦に悶える声を何とか抑えながらも、遠くへ転がり倒れる高梨。しかしそんな隙など見せてはいけないと悟った瞬間に、体はネックスプリングの体勢で起き上がったのと同時に、バク転を繰り返しながらも圧縮攻撃を回避していく。

「――全く、特撮出身女優は半端じゃアねえな。創作の世界でヒーローやっていたからか、そんな傷負っていてもバク転くらいは出来んのかよ」

「……ッ、まあね。それなりにレアリティの高い存在として、演者(アクター)として抜擢して下さった製作陣の皆さんには感謝しかないよね」

 そう言いながらも、鮮血は足元から流出していく。痛みもそれなりにあるもので、仕事のために治すことを考えただけで頭が痛くなりそうであった。

「けどよ……油断は良くねェんじゃあねえの?」

 すぐさま即座に手を握り締め、その高梨がいる空間を握り潰そうとする瞬間、また高梨はその場を蹴って回避。しかし、これまでの仰々しい動きによるブラフがまだ効いている影響で、左太ももを掠める。
 それでも、手傷を負った状況であっても順応し始めるその野生の勘は、和氣も辟易としていた。

(――こりゃあ、怪人化もやぶさかじゃあねェ。だが、まだここでは『全力を出したくはない』。なるべく消耗させたいところだが……)

 いくつもの土の障壁を展開しながら、辺りのコンクリートを魔力によって素材の原点に回帰させ、すぐさま龍の姿として生成。高梨に仕向ける。
 それを身を捻りながら回避しつつ、龍自体に拳を叩き込むことで完膚なきまでに壊そうとしていたのだが、それをおとなしく受け入れるほど和氣は素直ではなかった。
 すぐさま龍の形状を変え、多くを飲み込み、食らいつくせるほどの巨人に形態変化。地鳴りと共に、戦況は目まぐるしく変化していく。

「足の次は――腕だよな!!」

 すぐさま巨人が手を構え、高梨を物理的に握りつぶしにかかる。足を庇いながら回避しながらも、和氣の空間圧縮攻撃を察知しさらに足裏から炎を吹き出すことで、体の向きを宙で急転換させる。
 その勢いのまま、足裏から炎を尋常でない勢いで噴射しつつ、高速の踵落としを巨人の脳天に叩き込んだのだ。
 かなり硬質(ハード)ではあったものの、英雄としての装甲は伊達ではない。コンクリートや超合金程度なら、余裕で破砕できるほどの爆発力を有していたのだ。

「――面白(おもしれ)ェ。こうまで寝返った奴の動きに澱みがねえとは。カルマさんから聞いたぜ、元々英雄学園(ここ)志望だったんだよなァ。そのまま大人しく入学していれば、余計に才能が開花しただろうによォ」

「そうね。芸能界から見限られて事実上無職(ニート)の人間にとっては疑問だったかもね。正当な理由あってこその貴方の追放だったのに――逆恨みで本当の被害者を巻き込んで復讐しようだなんて腹が立つわ」

 その高梨の一言に酷く苛立ち、周囲のコンクリートをさらに原点回帰させ、魑魅魍魎を生み出していく。龍だけではなく、日本古来に伝わる妖怪の数々。無論それだけでもなく、忌み嫌われてきた怪物の姿も数点見て取れるほどに、和氣は怒っていた。


「――お前に何が分かる。芸能界に……『便利な消費物』として扱われた俺ら『タレント』の気持ちがよ」



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 空間を荒っぽく握り潰して、盛大に無駄に食い潰す和氣と、それを高速移動で綺麗に回避していく高梨。身を捻りながら、各所に被害が行かないよう宙でその食い潰す能力を使わせていたのだ。
「チッ、ちょこまかと動き回りやがって! 本当面倒臭ェッ!!」
「悪いけれど、私よりも年上だから敬意を持って助言してあげる。年食った人間がそんな軽口叩いても、ネット上でしか幅を利かせられない存在くらいにしか人気は出ないわよ」
 そんな高梨の言葉に苛立ったか、その場から動かずに諸手を扱い食い潰す。しかし、それら全ての動きは高梨からしたら非常に鈍重そのもの。耳元を掠めるような一撃はあったものの、クリーンヒットは未だ無し。完全におちょくるようなものであったために、すぐさま決着をつけることこそに意義があるように思えたのだ。
(このまま周囲の建物に被害を生まないよう、宙を炎の推進力で高速移動しながら――一気に叩く!)
 新たな能力に夢中になっていることを察知したために、すぐさま至近距離に近寄ろうとする高梨。
 しかし。和氣はそれでも笑っていたのだ。
 すぐさま方向転換をしようと宙で身を捻ったものの、これまでの動きではなく――ただ手を宙で握り締めるだけで空間圧縮が可能であることを知ったのだ。
 その影響で、判断が一瞬遅れた結果、右足先数センチを完全に削り取られたのだ。右足の指が全て無くなったのだ。
 痛苦に悶える声を何とか抑えながらも、遠くへ転がり倒れる高梨。しかしそんな隙など見せてはいけないと悟った瞬間に、体はネックスプリングの体勢で起き上がったのと同時に、バク転を繰り返しながらも圧縮攻撃を回避していく。
「――全く、特撮出身女優は半端じゃアねえな。創作の世界でヒーローやっていたからか、そんな傷負っていてもバク転くらいは出来んのかよ」
「……ッ、まあね。それなりにレアリティの高い存在として、|演者《アクター》として抜擢して下さった製作陣の皆さんには感謝しかないよね」
 そう言いながらも、鮮血は足元から流出していく。痛みもそれなりにあるもので、仕事のために治すことを考えただけで頭が痛くなりそうであった。
「けどよ……油断は良くねェんじゃあねえの?」
 すぐさま即座に手を握り締め、その高梨がいる空間を握り潰そうとする瞬間、また高梨はその場を蹴って回避。しかし、これまでの仰々しい動きによるブラフがまだ効いている影響で、左太ももを掠める。
 それでも、手傷を負った状況であっても順応し始めるその野生の勘は、和氣も辟易としていた。
(――こりゃあ、怪人化もやぶさかじゃあねェ。だが、まだここでは『全力を出したくはない』。なるべく消耗させたいところだが……)
 いくつもの土の障壁を展開しながら、辺りのコンクリートを魔力によって素材の原点に回帰させ、すぐさま龍の姿として生成。高梨に仕向ける。
 それを身を捻りながら回避しつつ、龍自体に拳を叩き込むことで完膚なきまでに壊そうとしていたのだが、それをおとなしく受け入れるほど和氣は素直ではなかった。
 すぐさま龍の形状を変え、多くを飲み込み、食らいつくせるほどの巨人に形態変化。地鳴りと共に、戦況は目まぐるしく変化していく。
「足の次は――腕だよな!!」
 すぐさま巨人が手を構え、高梨を物理的に握りつぶしにかかる。足を庇いながら回避しながらも、和氣の空間圧縮攻撃を察知しさらに足裏から炎を吹き出すことで、体の向きを宙で急転換させる。
 その勢いのまま、足裏から炎を尋常でない勢いで噴射しつつ、高速の踵落としを巨人の脳天に叩き込んだのだ。
 かなり|硬質《ハード》ではあったものの、英雄としての装甲は伊達ではない。コンクリートや超合金程度なら、余裕で破砕できるほどの爆発力を有していたのだ。
「――|面白《おもしれ》ェ。こうまで寝返った奴の動きに澱みがねえとは。カルマさんから聞いたぜ、元々|英雄学園《ここ》志望だったんだよなァ。そのまま大人しく入学していれば、余計に才能が開花しただろうによォ」
「そうね。芸能界から見限られて事実上|無職《ニート》の人間にとっては疑問だったかもね。正当な理由あってこその貴方の追放だったのに――逆恨みで本当の被害者を巻き込んで復讐しようだなんて腹が立つわ」
 その高梨の一言に酷く苛立ち、周囲のコンクリートをさらに原点回帰させ、魑魅魍魎を生み出していく。龍だけではなく、日本古来に伝わる妖怪の数々。無論それだけでもなく、忌み嫌われてきた怪物の姿も数点見て取れるほどに、和氣は怒っていた。
「――お前に何が分かる。芸能界に……『便利な消費物』として扱われた俺ら『タレント』の気持ちがよ」