第三百八十四話
ー/ー 時は遡る。一般客とVIP、それら全てを地下演習場に収容した後にまで。
本州側に在中している連絡橋の警備ロボットがたった数人に壊され、栃木支部構成員たちが押し寄せている中、院たちはその橋の先にて、今か今かとその時を待ち受けていたのだった。
今回、学園防衛隊の面子全員にあらかじめ渡されていた物資の一つである、イヤホン型超小型無線機にて状況を共有していく。
「――こちら、作戦の陣頭指揮を執らせて頂く、真来院ですわ。依然学園エリアについているのですが、状況に変わりはないものの、本州側連絡橋入口から連絡が取れなくなっています。恐らくですが……栃木支部がやってきました、どうぞ」
そんな院の物見やぐら同然の、小高い位置に存在する学園エリアからの偵察状況を告げる中で、最初に応答したのは灰崎であった。
『ローカルエリア担当、灰崎廉治。東京湾を一望できる状態にあるが、奇襲目的で海からは来なさそうだ。となると、橋からやってくる戦力こそ、俺らが警戒する存在だろ、どうぞ』
『エントランス担当……高梨幸香。ここである程度は受け止めたい気持ちはあるけれど……もし止められなかったら、皆に頼る。ごめんね、どうぞ』
実に弱気な高梨であったが、伏せられている大切な事情以外は、あらかじめ事情を信一郎から告げられている信玄と丙良が、それを窘める。
『病院エリア、森信玄。この際、ンなこと言いっこ無しでしょ。まず、俺っちたちと同じ因子持ちだろうけど、経験してきた戦場は撮影以外だったらゼロに等しい高梨さんを咎められる奴がどこにいるンすか。どうぞ』
『繁華街エリア、丙良慎介。それはその通り、困ったら……僕たち英雄の力を頼ってください。僕ら男性陣は基本的にエントランスから距離が離れている都合上、おいそれと助けには行けないですが』
最後に応答したのは、エリアが隣り合っていてエントランスにほど近い面子である透とかな。かな自体が少々遅れてやってきたことに疑問を持ちながらも、透はそれに対し何も言及しなかった。
『こっちは学生寮エリア、天音透。ひとまずこっちはエントランスに救援行ける。事が済んだら、高梨さんは……俺らが助けに行くッスよ。でしょ、渡部先輩』
『――こちら、職員寮エリア、渡部かな。……勿論だよ、全力でやって……勝つだけだよ』
その言葉の詰まり方に疑問を抱いたものの、院はなにも追及しなかった。それよりも、目先の防衛戦が重要課題であると知っているからこそであった。ここで学園、ひいては地下演習場に繋がる道を守り切れなければ、大勢の犠牲が出る。そうなったら英雄学園の信頼は地に落ち、今後の活動にも支障が出るだろう。
『――やあ、一部人員を除く生徒諸君。地下演習場にて一通り事務作業を終えて、これから学園祭の開催を宣言する予定の、裏の作戦隊長である……みんな大好き不破信一郎こと瀧本信一郎だ。だが、もし本当に戦況が拙くなったら……一切の躊躇いなく皆に渡したスイッチを押してくれ。今回は、ある意味VIPやら大衆に我々の力強さを示すためにも、勝たなければならない究極の防衛戦だ。ベストは観客の誰も認知することなく、全てを終わらせることだが……そのために各々の全力を出し切ってほしい』
大勢の平穏を守り抜くため、今この場にいない礼安とエヴァを安心させるため。
それぞれ胸に抱く意志は違っても、秘めたる覚悟の重さは一緒。
『――では、諸君らの健闘を祈る。学園防衛線、展開の時だ!!』
七名の実力者が、幹部含め攻め入る数百人の構成員に立ち向かう。朝九時に巻き起こる、大衆の歓声。それらが、院たちの開戦の号砲となったのだった。
本州側に在中している連絡橋の警備ロボットがたった数人に壊され、栃木支部構成員たちが押し寄せている中、院たちはその橋の先にて、今か今かとその時を待ち受けていたのだった。
今回、学園防衛隊の面子全員にあらかじめ渡されていた物資の一つである、イヤホン型超小型無線機にて状況を共有していく。
「――こちら、作戦の陣頭指揮を執らせて頂く、真来院ですわ。依然学園エリアについているのですが、状況に変わりはないものの、本州側連絡橋入口から連絡が取れなくなっています。恐らくですが……栃木支部がやってきました、どうぞ」
そんな院の物見やぐら同然の、小高い位置に存在する学園エリアからの偵察状況を告げる中で、最初に応答したのは灰崎であった。
『ローカルエリア担当、灰崎廉治。東京湾を一望できる状態にあるが、奇襲目的で海からは来なさそうだ。となると、橋からやってくる戦力こそ、俺らが警戒する存在だろ、どうぞ』
『エントランス担当……高梨幸香。ここである程度は受け止めたい気持ちはあるけれど……もし止められなかったら、皆に頼る。ごめんね、どうぞ』
実に弱気な高梨であったが、伏せられている大切な事情以外は、あらかじめ事情を信一郎から告げられている信玄と丙良が、それを窘める。
『病院エリア、森信玄。この際、ンなこと言いっこ無しでしょ。まず、俺っちたちと同じ因子持ちだろうけど、経験してきた戦場は撮影以外だったらゼロに等しい高梨さんを咎められる奴がどこにいるンすか。どうぞ』
『繁華街エリア、丙良慎介。それはその通り、困ったら……僕たち英雄の力を頼ってください。僕ら男性陣は基本的にエントランスから距離が離れている都合上、おいそれと助けには行けないですが』
最後に応答したのは、エリアが隣り合っていてエントランスにほど近い面子である透とかな。かな自体が少々遅れてやってきたことに疑問を持ちながらも、透はそれに対し何も言及しなかった。
『こっちは学生寮エリア、天音透。ひとまずこっちはエントランスに救援行ける。事が済んだら、高梨さんは……俺らが助けに行くッスよ。でしょ、渡部先輩』
『――こちら、職員寮エリア、渡部かな。……勿論だよ、全力でやって……勝つだけだよ』
その言葉の詰まり方に疑問を抱いたものの、院はなにも追及しなかった。それよりも、目先の防衛戦が重要課題であると知っているからこそであった。ここで学園、ひいては地下演習場に繋がる道を守り切れなければ、大勢の犠牲が出る。そうなったら英雄学園の信頼は地に落ち、今後の活動にも支障が出るだろう。
『――やあ、一部人員を除く生徒諸君。地下演習場にて一通り事務作業を終えて、これから学園祭の開催を宣言する予定の、裏の作戦隊長である……みんな大好き不破信一郎こと瀧本信一郎だ。だが、もし本当に戦況が拙くなったら……一切の躊躇いなく皆に渡したスイッチを押してくれ。今回は、ある意味VIPやら大衆に我々の力強さを示すためにも、勝たなければならない究極の防衛戦だ。ベストは観客の誰も認知することなく、全てを終わらせることだが……そのために各々の全力を出し切ってほしい』
大勢の平穏を守り抜くため、今この場にいない礼安とエヴァを安心させるため。
それぞれ胸に抱く意志は違っても、秘めたる覚悟の重さは一緒。
『――では、諸君らの健闘を祈る。学園防衛線、展開の時だ!!』
七名の実力者が、幹部含め攻め入る数百人の構成員に立ち向かう。朝九時に巻き起こる、大衆の歓声。それらが、院たちの開戦の号砲となったのだった。
みんなのリアクション
まだリアクションはありません。最初の一歩を踏み出しましょう!
おすすめ作品を読み込み中です…
作者の他の作品
この作者の他作品はありません。
この作品と似た作品
似た傾向の作品は見つかりませんでした。
この作品を読んだ人が読んでいる作品
読者の傾向からおすすめできる作品がありませんでした。
おすすめ作品は現在準備中です。
おすすめ作品の取得に失敗しました。時間をおいて再度お試しください。