第三百七十二話
ー/ー 恐る恐る、三人が一斉に同じ方向を向くと、何故かそこにはクッションの上に胡坐をかいて座っている信一郎がいた。しかも、年甲斐もなく顎の下に指を置く、格好つけた状態で皆を見守っていたのだ。ご丁寧に完璧なウインクまでつけ添えてきた。
「「「いや何でここにいる/の/んですの!?」」」
「えー、だって色々あった後だもん、メンタルケアは大事でしょ?」
「だからと言って何も言わずにここにはやってこないでくださいまし!! 言い換えるなら娘の部屋にノック無しで入り込んで、彼氏との逢瀬現場に立ち会っているようなものですわ!!」
「だってェ、我が愛娘が心配なんだもん!!」
「五十歳が『だもん』とか使うなよ気色悪ィ!!」
「残念でした~、もう五十歳じゃアなくて新学期始まった九月一日から五十一歳でした~、その理論は通用しませ~ん」
「「余計タチ悪いですわ/だろ!!」」
これがこの学園における、数々の功績を残してきた存在たちなのか、と思うと、渡部は無性に頭がくらくらしてきたのだった。
「――それで、どうするんですか学園長? 年甲斐もないようなやり取りはそこまでにして下さい、『原初の英雄』さん!」
「ちょ、今その名前で呼ばないでよ……まだ心落ち着けるためのギャグパートでしょ??」
「ギャグパートとか意味わからないこと言ってないで、人員予定はどうするんですか!?」
何とか軌道修正する渡部に感謝しつつ、ある程度の人員ピックアップを行っていく。現在当日手が空いている人員に関しては、病院にて治療を受ける存在を含めると、院、透、丙良、信玄、灰崎、渡部の六名。信一郎は地下演習場、もとい学園祭兼音楽フェスのMC等を担当する予定があるため、除外する。
「基本的には、この六名が当日の実働部隊かな。それぞれ、丙良くんはカルマの攻撃から回復傾向にあるため参加は可能。信玄くんはどうも「綾部相手に歌う訳じゃあないから気分が乗らない」と盛大に惚気てくれ『やがって』、今回フェスや学祭自体に不参加。なーんか綾部ちゃんとおさぼり大魔神してがっつり法令違反のえっちィ場所に行かれても腹立つので、学園防衛隊に強制導入予定。灰崎君はそもそも学生諸君と軋轢が存在するため、自ら初日に辞退。学園防衛隊に最初に名乗りを上げてくれたね」
非常に私怨が含まれながらも、布陣としては申し分ない。実力者で固められた、学園祭を成功に導くための最高クラスの布陣であった。何とも不真面目な人間が一人いたような気がするが、その男はもう彼女を溺愛する存在であるため仕方なかった。
「どこに配置予定とかあるんですか、学園長?」
「ああ、基本的にはあらかじめ決めてあるよ。地下演習場の入り口は死守したいからねぇ、こういうタワーディフェンスゲームじみたこと大好きなんだ♪」
「……信一郎さんって、そう言う類のゲームやるんだな」
「やるよォ、礼安の付き添いでよくやるよ! ちょっと前に発売された百ルート以上あるタワーディフェンスゲーム、キャラも個性立ってて滅茶苦茶に面白いんだからね??」
そう駄弁りながらも、示された作戦は非常に的確そのもの。まだ期間はあるものの、その布陣を当日までに頭の中に叩き込むのは児戯に等しい。
全てを事細かに説明して、対栃木支部との戦いの構図は仕上がった。後は、当日を静かに待つのみであった。
「ま、でも基本的に相手方に察されないよう、不参加とは言え練習もどきはしておいた方が良いかもねぇ。そうしたら奴らはきっと、「けっけっけ、あの英雄共予告状の内容を信じずに今日までやってきやがった……」とか調子に乗るから、絶対」
「絶対かは分からねえけどな?? 『けっけっけ』とか笑う変な奴俺見たことねえからな??」
先ほどまでの暗い雰囲気を消し飛ばすかのように、信一郎が加わったことで状況は一転。それまでの間も、ある程度戦うための準備を進めながらも騙すための準備も怠らない、実に奇妙な二週間足らずが始まりを告げたのだった。
「「「いや何でここにいる/の/んですの!?」」」
「えー、だって色々あった後だもん、メンタルケアは大事でしょ?」
「だからと言って何も言わずにここにはやってこないでくださいまし!! 言い換えるなら娘の部屋にノック無しで入り込んで、彼氏との逢瀬現場に立ち会っているようなものですわ!!」
「だってェ、我が愛娘が心配なんだもん!!」
「五十歳が『だもん』とか使うなよ気色悪ィ!!」
「残念でした~、もう五十歳じゃアなくて新学期始まった九月一日から五十一歳でした~、その理論は通用しませ~ん」
「「余計タチ悪いですわ/だろ!!」」
これがこの学園における、数々の功績を残してきた存在たちなのか、と思うと、渡部は無性に頭がくらくらしてきたのだった。
「――それで、どうするんですか学園長? 年甲斐もないようなやり取りはそこまでにして下さい、『原初の英雄』さん!」
「ちょ、今その名前で呼ばないでよ……まだ心落ち着けるためのギャグパートでしょ??」
「ギャグパートとか意味わからないこと言ってないで、人員予定はどうするんですか!?」
何とか軌道修正する渡部に感謝しつつ、ある程度の人員ピックアップを行っていく。現在当日手が空いている人員に関しては、病院にて治療を受ける存在を含めると、院、透、丙良、信玄、灰崎、渡部の六名。信一郎は地下演習場、もとい学園祭兼音楽フェスのMC等を担当する予定があるため、除外する。
「基本的には、この六名が当日の実働部隊かな。それぞれ、丙良くんはカルマの攻撃から回復傾向にあるため参加は可能。信玄くんはどうも「綾部相手に歌う訳じゃあないから気分が乗らない」と盛大に惚気てくれ『やがって』、今回フェスや学祭自体に不参加。なーんか綾部ちゃんとおさぼり大魔神してがっつり法令違反のえっちィ場所に行かれても腹立つので、学園防衛隊に強制導入予定。灰崎君はそもそも学生諸君と軋轢が存在するため、自ら初日に辞退。学園防衛隊に最初に名乗りを上げてくれたね」
非常に私怨が含まれながらも、布陣としては申し分ない。実力者で固められた、学園祭を成功に導くための最高クラスの布陣であった。何とも不真面目な人間が一人いたような気がするが、その男はもう彼女を溺愛する存在であるため仕方なかった。
「どこに配置予定とかあるんですか、学園長?」
「ああ、基本的にはあらかじめ決めてあるよ。地下演習場の入り口は死守したいからねぇ、こういうタワーディフェンスゲームじみたこと大好きなんだ♪」
「……信一郎さんって、そう言う類のゲームやるんだな」
「やるよォ、礼安の付き添いでよくやるよ! ちょっと前に発売された百ルート以上あるタワーディフェンスゲーム、キャラも個性立ってて滅茶苦茶に面白いんだからね??」
そう駄弁りながらも、示された作戦は非常に的確そのもの。まだ期間はあるものの、その布陣を当日までに頭の中に叩き込むのは児戯に等しい。
全てを事細かに説明して、対栃木支部との戦いの構図は仕上がった。後は、当日を静かに待つのみであった。
「ま、でも基本的に相手方に察されないよう、不参加とは言え練習もどきはしておいた方が良いかもねぇ。そうしたら奴らはきっと、「けっけっけ、あの英雄共予告状の内容を信じずに今日までやってきやがった……」とか調子に乗るから、絶対」
「絶対かは分からねえけどな?? 『けっけっけ』とか笑う変な奴俺見たことねえからな??」
先ほどまでの暗い雰囲気を消し飛ばすかのように、信一郎が加わったことで状況は一転。それまでの間も、ある程度戦うための準備を進めながらも騙すための準備も怠らない、実に奇妙な二週間足らずが始まりを告げたのだった。
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