ep117 リスク
ー/ー 一方その頃。
「で、なんの用なんだ?」
クローは夜の広場に呼び出されていた。女隊長と決闘をした広場だ。
「魔剣使いクロー」
十歩ばかり先を歩いていた彼女はクルッと振り返ると、クローに向かって剣を抜いた。剣尖が灯りに照らされてキラッと光る。
「おいおいまた決闘か? 勘弁してほしいんだが」
クローはうんざりした様子で応じようとしない。カレンは拘ることなく速やかに剣をおさめた。
「あれは完全に私の負けだ。正々堂々とした勝負だった。今さら蒸し返すつもりはない」
「じゃあなんの用なんだ? 正直、あんたとはあまり関わりたくないんだが」
「我が部隊は間もなく一部の兵士を残しサンダースを後にする」
「そうか」
「今後、軍の方針として魔剣使いをどうするかは、これから決まるだろう」
「はあ」
「いずれにしても今回、我々は退く。ただし!」
「?」
「私はお前を監視する」
「えっ」
「今回の一件は、兄…勇者様にも報告がいくだろう。平和祭の最中の街が被害を被った上にキラースにはまんまと逃げられるという体たらく。我ながら言葉もない。さらにそれだけではない。魔剣使いに正々堂々負けてしまった私は……もはや兄様に会わせる顔がない……」
カレンは唇を噛んで拳を握りしめた。よっぽど悔しいのだろう。だがクローには関係のないことだった。
「いや待ってくれ。それはあんたの個人的な感情の問題だろ? 軍の隊長としては戻ったほうがいいんじゃないのか? 隊長ともあろう者が一人で勝手な行動をするなんて良くないだろ」
困ったクローはなんとか別の結論へ促そうとする。実際、彼は間違ったことは言っていない。ところがカレンに議論の余地はなかった。
「そんなことはお前に関係ない!」
もはや理屈ではなかった。クローは肩をすくめる。
「いやいや、どう考えてもおかしいだろ……」
「もう決まったことだ! 今日はそれをお前に伝えたかったんだ!」
「もう、決まっちゃったんだ……」
「あらかじめ伝えた! 筋は通したぞ! そういうわけだから今後も覚悟しておけ!」
カレンはビシッと指をさして言い放った。それから乱雑にきびすを返すと、肩をそびやかしてずんずんと立ち去っていった。
「マジか、勘弁してくれよ……」
クローは頭を抱えてハァーっとため息をついた。とその時。
『クロー様』
謎の声がクローに呼びかけてきた。
『お前! 今の今までどうしていたんだ!』
クローは苛立っていた。
『どうやら危機は乗り越えたようで何よりです』
『そんなことよりお前に確認しておきたいことがあるんだよ!』
『ワタクシもそれをお伝えしようとお声がけしたところなのですよ』
『さっさと教えてくれ! お前が言っていた「直接的な利子の負担」てやつを!』
『寿命です』
『はっ?』
『幾分かの寿命をいただきました』
『お、おい、それって……さらに余命が短くなったってことか??』
『そういうことです』
『ちょっと待て! これで俺の余命はあとどれくらいになったんだ!?』
『さあ、明確には言えませんが、さらに短くなったことだけは確かです』
『ま、マジかよ……』
クローはがくんと肩を落とした。
そばにある街灯が唐突にチカチカと点滅しだした。ほどなくして街灯は力なく消えかかった。
「で、なんの用なんだ?」
クローは夜の広場に呼び出されていた。女隊長と決闘をした広場だ。
「魔剣使いクロー」
十歩ばかり先を歩いていた彼女はクルッと振り返ると、クローに向かって剣を抜いた。剣尖が灯りに照らされてキラッと光る。
「おいおいまた決闘か? 勘弁してほしいんだが」
クローはうんざりした様子で応じようとしない。カレンは拘ることなく速やかに剣をおさめた。
「あれは完全に私の負けだ。正々堂々とした勝負だった。今さら蒸し返すつもりはない」
「じゃあなんの用なんだ? 正直、あんたとはあまり関わりたくないんだが」
「我が部隊は間もなく一部の兵士を残しサンダースを後にする」
「そうか」
「今後、軍の方針として魔剣使いをどうするかは、これから決まるだろう」
「はあ」
「いずれにしても今回、我々は退く。ただし!」
「?」
「私はお前を監視する」
「えっ」
「今回の一件は、兄…勇者様にも報告がいくだろう。平和祭の最中の街が被害を被った上にキラースにはまんまと逃げられるという体たらく。我ながら言葉もない。さらにそれだけではない。魔剣使いに正々堂々負けてしまった私は……もはや兄様に会わせる顔がない……」
カレンは唇を噛んで拳を握りしめた。よっぽど悔しいのだろう。だがクローには関係のないことだった。
「いや待ってくれ。それはあんたの個人的な感情の問題だろ? 軍の隊長としては戻ったほうがいいんじゃないのか? 隊長ともあろう者が一人で勝手な行動をするなんて良くないだろ」
困ったクローはなんとか別の結論へ促そうとする。実際、彼は間違ったことは言っていない。ところがカレンに議論の余地はなかった。
「そんなことはお前に関係ない!」
もはや理屈ではなかった。クローは肩をすくめる。
「いやいや、どう考えてもおかしいだろ……」
「もう決まったことだ! 今日はそれをお前に伝えたかったんだ!」
「もう、決まっちゃったんだ……」
「あらかじめ伝えた! 筋は通したぞ! そういうわけだから今後も覚悟しておけ!」
カレンはビシッと指をさして言い放った。それから乱雑にきびすを返すと、肩をそびやかしてずんずんと立ち去っていった。
「マジか、勘弁してくれよ……」
クローは頭を抱えてハァーっとため息をついた。とその時。
『クロー様』
謎の声がクローに呼びかけてきた。
『お前! 今の今までどうしていたんだ!』
クローは苛立っていた。
『どうやら危機は乗り越えたようで何よりです』
『そんなことよりお前に確認しておきたいことがあるんだよ!』
『ワタクシもそれをお伝えしようとお声がけしたところなのですよ』
『さっさと教えてくれ! お前が言っていた「直接的な利子の負担」てやつを!』
『寿命です』
『はっ?』
『幾分かの寿命をいただきました』
『お、おい、それって……さらに余命が短くなったってことか??』
『そういうことです』
『ちょっと待て! これで俺の余命はあとどれくらいになったんだ!?』
『さあ、明確には言えませんが、さらに短くなったことだけは確かです』
『ま、マジかよ……』
クローはがくんと肩を落とした。
そばにある街灯が唐突にチカチカと点滅しだした。ほどなくして街灯は力なく消えかかった。
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