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第89話 戦端

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 ゲートを開く予定時刻が近づいた。ゲート地点へのエネルギー供給により、周囲では重力の歪みが観測され始めた。おそらく、ゲートの敵地側でも同様の現象により、異星生物はゲートが開きつつあることを察知しているだろう。

 これまで異星生物の侵略を受け続けた地球人類側は、狭いゲート入口で待ち伏せして密集する敵を撃滅する水際作戦を何度も行ってきた。

 ゲートが開いた直後に、ゲートの敵地側に砲撃を行うことが定石の戦術だった。敵側も同様に打ち返してくるはずであった。そのため、ゲートの正面は敵の攻撃にさらされる危険性が高かった。ミサイル艇部隊はゲートの真正面を避けていたが、それでも攻撃の必要性から敵の射線上に布陣していた。

 ゲートが開くと同時に、敵は荷電粒子砲による攻撃を開始した。最初の数分でミサイル艇部隊の最前面に三十パーセント程度の甚大な被害が出た。通常ならば地球人類側はレーザー砲と荷電粒子砲で応戦するのだが、今回は真正面に展開した四十隻ほどの大型輸送艦に搭載されたレールガンによる核砲弾の射撃で応戦した。

 核砲弾の弾幕は、レーザーや荷電粒子砲と比べて着弾までに時間がかかるのが難点だが有効だった。異星生物の突撃部隊が前面に進出してきたが、核爆発の衝撃と七千度を超える高温に耐えられる敵の装甲は存在しなかった。核砲弾の十分な威力により、地球人類側は敵の前衛艦隊をゲートの向こう側に押し返すことに成功した。ただし、射撃を行った装甲のない輸送艦の半数以上は数分のうちに撃沈され、残りは傷だらけで後退した。

 その後、敵の初撃を免れた最前面のミサイル艇部隊が第一波のミサイル六百発を射出し、ゲートの向こう側に入っていくことを確認した。ほぼ同時に百機の無人機を突入させた。無人機の八割は直ちに撃破されたが、残りの二割がゲート界面から敵側の状況を伝えた。

 敵はゲート付近で密集突撃態勢をとっていることが分かった。二年前にこのゲートで朝風が主砲で殲滅した敵と比べて、少なく見積もって二十倍の規模であった。飽和攻撃でこちら側に侵入するつもりだと推測された。

 核ミサイル攻撃の有効性が無人機からの通信で確認された。ゲートをいったん閉じ、ミサイル射出を終えた第一面部隊を後退させた。再びゲートを開き、最前面に出た第二面部隊から第二波のミサイル八百発が放たれた。さらに無人機が投入され、敵側の状況が報告された。さらに第三波ではより大型で射程距離の長いミサイルが発射された。

 半日にわたる、地球側の類を見ない大規模な核ミサイル攻撃で、ゲートから半径一万キロメートルの敵をほぼ壊滅させた。第七波から第九波ではさらに射程が一千万キロメートル以上のミサイルでの攻撃が行われた。敵の本拠地と推定される第三惑星に到達する射程だった。

 地球人類側はこの圧倒的な火力を用いた攻撃で敵制圧に成功し、第二次特別攻撃作戦の艦隊のゲート通過を可能にした。



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 ゲートを開く予定時刻が近づいた。ゲート地点へのエネルギー供給により、周囲では重力の歪みが観測され始めた。おそらく、ゲートの敵地側でも同様の現象により、異星生物はゲートが開きつつあることを察知しているだろう。
 これまで異星生物の侵略を受け続けた地球人類側は、狭いゲート入口で待ち伏せして密集する敵を撃滅する水際作戦を何度も行ってきた。
 ゲートが開いた直後に、ゲートの敵地側に砲撃を行うことが定石の戦術だった。敵側も同様に打ち返してくるはずであった。そのため、ゲートの正面は敵の攻撃にさらされる危険性が高かった。ミサイル艇部隊はゲートの真正面を避けていたが、それでも攻撃の必要性から敵の射線上に布陣していた。
 ゲートが開くと同時に、敵は荷電粒子砲による攻撃を開始した。最初の数分でミサイル艇部隊の最前面に三十パーセント程度の甚大な被害が出た。通常ならば地球人類側はレーザー砲と荷電粒子砲で応戦するのだが、今回は真正面に展開した四十隻ほどの大型輸送艦に搭載されたレールガンによる核砲弾の射撃で応戦した。
 核砲弾の弾幕は、レーザーや荷電粒子砲と比べて着弾までに時間がかかるのが難点だが有効だった。異星生物の突撃部隊が前面に進出してきたが、核爆発の衝撃と七千度を超える高温に耐えられる敵の装甲は存在しなかった。核砲弾の十分な威力により、地球人類側は敵の前衛艦隊をゲートの向こう側に押し返すことに成功した。ただし、射撃を行った装甲のない輸送艦の半数以上は数分のうちに撃沈され、残りは傷だらけで後退した。
 その後、敵の初撃を免れた最前面のミサイル艇部隊が第一波のミサイル六百発を射出し、ゲートの向こう側に入っていくことを確認した。ほぼ同時に百機の無人機を突入させた。無人機の八割は直ちに撃破されたが、残りの二割がゲート界面から敵側の状況を伝えた。
 敵はゲート付近で密集突撃態勢をとっていることが分かった。二年前にこのゲートで朝風が主砲で殲滅した敵と比べて、少なく見積もって二十倍の規模であった。飽和攻撃でこちら側に侵入するつもりだと推測された。
 核ミサイル攻撃の有効性が無人機からの通信で確認された。ゲートをいったん閉じ、ミサイル射出を終えた第一面部隊を後退させた。再びゲートを開き、最前面に出た第二面部隊から第二波のミサイル八百発が放たれた。さらに無人機が投入され、敵側の状況が報告された。さらに第三波ではより大型で射程距離の長いミサイルが発射された。
 半日にわたる、地球側の類を見ない大規模な核ミサイル攻撃で、ゲートから半径一万キロメートルの敵をほぼ壊滅させた。第七波から第九波ではさらに射程が一千万キロメートル以上のミサイルでの攻撃が行われた。敵の本拠地と推定される第三惑星に到達する射程だった。
 地球人類側はこの圧倒的な火力を用いた攻撃で敵制圧に成功し、第二次特別攻撃作戦の艦隊のゲート通過を可能にした。