あるところに、岩塩くんが住んでいた。
ある日、彼に助けを求める声が聞こえてきた。
「助けてよー、岩塩くん!」
声のする方へ駆けつける岩塩くん。そこには困り果てた市民が待っていた。
「焼き魚がなんか味気ないんだ!助けてよ〜!」
「僕に任せて!」
そう言うと、岩塩くんは手に持ったヤスリを取り出し、自分の体を勢いよく削り始めた。
——ガリガリガリガリ。
削り取った自分の一部を振りかけられた焼き魚。市民は目を輝かせて叫んだ。
「ありがとう!とっても美味しいよ!」
岩塩くんは自分の体を削りながらも、街のみんなを笑顔にする頼れるヒーローだった!
レストランから、オーナーの叫び声が響いた。
「助けてくれ〜!客が多すぎて手が回らないよ!」
その声を聞きつけ、駆けつけたのは岩塩くん。
「僕が手伝うよ!」
そう言うや否や、岩塩くんは次々と出来上がった料理に自分の体を削った塩を振りかけ始めた。
——ガリガリ、ガリガリ!
——ゴリゴリ、ゴリゴリ!
料理はたちまち絶品へと仕上がり、客たちは大満足。オーナーも岩塩くんの活躍に大喜びだ。
「ありがとう!これ、今日の給料!あげる!」
小さな袋に入った給料を受け取った岩塩くんは、にっこり笑って答えた。
「ありがとう!」
今日も岩塩くんは、自分を削りながらみんなを助けるヒーローだった!
——そんなある日。
岩塩くんは自分を削りすぎて、とうとう跡形もなくなってしまった。
彼が最後にいた場所には、小さな箱が残されていた。箱の中には、彼がこれまでに稼いだお金がぎっしりと詰まっている。
「岩塩くん……」
「このお金は、きっと彼が残してくれたんだ。」
「ありがとう、岩塩くん!」
「君のことは忘れない!」
涙を流しながら岩塩くんに感謝を捧げる人々。
——そんなエピソードを描いた新聞の漫画を眺めていたエリシア。
「えぇ……」
彼女は額に手を当て、ただ困惑するばかりだった。