ビルのロビーでサラリーマンがエレベーターを待っていた。
(なんか遅いな)
待てども待てどもエレベーターは来ない。階段で上がるかどうか迷い始めたその時——。
——チン。
ようやくエレベーターが到着した。ホッとして乗り込もうとした瞬間、ドアが開いた向こうから怒声が響いた。
「こんなもん、食えるかあああ!」
——ガシャぁん!
目の前に広がったのは、畳二畳分ほどのスペースに変貌したエレベーターの室内。
中ではハゲ親父がちゃぶ台をひっくり返し、カレーのソースが壁一面に飛び散っていた。
「何しとんじゃコラァ!」
——ペチん!
エリシアがハゲ親父の頭を軽く叩き、そのまま床に引きずり倒した。
「あぁん!?誰のおかげで毎日飯食えとると思っとんじゃ!キエエエええぇ!」
サラリーマンはただ呆然と立ち尽くしていた。
「三日続けてカレーなんか食えるか!何回も継ぎ足してふがふが——」
言い争いが続く中、エレベーターはそのままドアを閉じ、どこかへ向かって消えていった。