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ep109 魔剣使い&魔法剣士vs爆破魔術師&ダークエルフ⑧

ー/ー



「わかったぜダンナ!」
「こっちは任せな!」

 トレブルとブーストの元気良い返事を背中で受けながら、俺は上空を見た。キラースは特に動いている様子はない。なにか不気味なくらいだ。

「おい魔剣使い! 何を勝手なことを!」

 元の建物上に戻るなりカレンが文句をつけてきた。

「勝手もなにも、ああするより他はなかったからな」

「一歩間違えれば大変なことになっていたんだぞ!」

「キラースのダークエルフに施した魔術はもう無効だ。彼女も生きている。おそらくキラースは己の魔術が起動しないことに疑問を抱いているだろうな。こんなこと今までなかったと」

「それがお前の…魔剣使いの力か」

「今の間にも市民の避難はある程度進んだだろう。おそらくキラースの小狡い手ももうそんなに残っちゃいないはずだ。そろそろあんたも全力で戦えるんじゃないか?」

「……気づいていたか」

「そりゃ世界最高の魔法剣士とか言われているぐらいだからな。こんなもんじゃないだろう」

「魔剣使い。お前、名は?」

「俺はクロー・ラキアード」

「不本意ながら…クロー。今回はお前のおかげで助かった。今のうちに礼を言っておく」

「今のうちに…か」

「わかっているだろうが、魔剣使いが捕縛対象であることに変わりはない。ましてやクロー、お前の力を目の当たりにしたからにはより一層な」

「マジで勘弁してくんないのな」

 俺はハァーっとため息をついた。その時、にわかにキラースが口をひらく。

「オイ魔剣使い……テメー、オレのオモチャに何をした。なぜオレの魔術が起動しねえ」

「それが俺の力だからな。残念だったな」

 キラースは俺の言葉を聞き、突如として火山のように怒り出した。

「テメーのせいで…オレの計画が台無しだぁ! エレサの爆発をカレンちゃんに食い止めてもらってボロボロになった勇者の妹を新たなオモチャとしていただく予定だった……が、テメーが…テメーが余計なことをしたせいでぇ! クソがぁ!」

「やはり狙いは私だったか。この下衆野郎め」

 カレンは嫌悪感たっぷりの眼差しを冷たく向けた。

「キラース。ならその怒りを俺にぶつけてこい。いくらでも受け止めてやる」

 俺はここぞとばかりに挑発した。ヤツが小細工を労する前に怒りに任せてぶつかってきてくれればこっちのもんだ。

「魔剣使いぃぃ! テメーは殺す! ゼッテー殺す! オレの爆弾で内臓からぐちゃぐちゃにしてやるからなぁ!」

 キラースは物騒なセリフを投げつけてきた。明らかに感情的になっている。俺とカレンはチャンスを予感して剣を構えた。ところがだった。

「だがそれは今じゃねえ! 誰が魔剣使いと魔法剣士を同時に相手にするかバァーカ! 特殊技能〔ウィザードリィ・スモークボム〕」

 キラースは手に魔法の爆弾を発動させると、それを手前に投げつけた。次の瞬間、ボォォォンという鈍い爆発とともに彼の周囲一帯に濃い煙幕が発生する。

「キラース! 逃げる気か! この卑怯者め!」

 カレンが憤激に叫んだ。だが俺と同様、彼女もこれ以上何かをしようとはしなかった。悔しいが、街の安全と復興を第一に考えれば仕方がない。今回はこのまま退いてくれるのはベストだ。キラースもそこにつけ込んだわけではあるが。


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「わかったぜダンナ!」
「こっちは任せな!」
 トレブルとブーストの元気良い返事を背中で受けながら、俺は上空を見た。キラースは特に動いている様子はない。なにか不気味なくらいだ。
「おい魔剣使い! 何を勝手なことを!」
 元の建物上に戻るなりカレンが文句をつけてきた。
「勝手もなにも、ああするより他はなかったからな」
「一歩間違えれば大変なことになっていたんだぞ!」
「キラースのダークエルフに施した魔術はもう無効だ。彼女も生きている。おそらくキラースは己の魔術が起動しないことに疑問を抱いているだろうな。こんなこと今までなかったと」
「それがお前の…魔剣使いの力か」
「今の間にも市民の避難はある程度進んだだろう。おそらくキラースの小狡い手ももうそんなに残っちゃいないはずだ。そろそろあんたも全力で戦えるんじゃないか?」
「……気づいていたか」
「そりゃ世界最高の魔法剣士とか言われているぐらいだからな。こんなもんじゃないだろう」
「魔剣使い。お前、名は?」
「俺はクロー・ラキアード」
「不本意ながら…クロー。今回はお前のおかげで助かった。今のうちに礼を言っておく」
「今のうちに…か」
「わかっているだろうが、魔剣使いが捕縛対象であることに変わりはない。ましてやクロー、お前の力を目の当たりにしたからにはより一層な」
「マジで勘弁してくんないのな」
 俺はハァーっとため息をついた。その時、にわかにキラースが口をひらく。
「オイ魔剣使い……テメー、オレのオモチャに何をした。なぜオレの魔術が起動しねえ」
「それが俺の力だからな。残念だったな」
 キラースは俺の言葉を聞き、突如として火山のように怒り出した。
「テメーのせいで…オレの計画が台無しだぁ! エレサの爆発をカレンちゃんに食い止めてもらってボロボロになった勇者の妹を新たなオモチャとしていただく予定だった……が、テメーが…テメーが余計なことをしたせいでぇ! クソがぁ!」
「やはり狙いは私だったか。この下衆野郎め」
 カレンは嫌悪感たっぷりの眼差しを冷たく向けた。
「キラース。ならその怒りを俺にぶつけてこい。いくらでも受け止めてやる」
 俺はここぞとばかりに挑発した。ヤツが小細工を労する前に怒りに任せてぶつかってきてくれればこっちのもんだ。
「魔剣使いぃぃ! テメーは殺す! ゼッテー殺す! オレの爆弾で内臓からぐちゃぐちゃにしてやるからなぁ!」
 キラースは物騒なセリフを投げつけてきた。明らかに感情的になっている。俺とカレンはチャンスを予感して剣を構えた。ところがだった。
「だがそれは今じゃねえ! 誰が魔剣使いと魔法剣士を同時に相手にするかバァーカ! 特殊技能〔ウィザードリィ・スモークボム〕」
 キラースは手に魔法の爆弾を発動させると、それを手前に投げつけた。次の瞬間、ボォォォンという鈍い爆発とともに彼の周囲一帯に濃い煙幕が発生する。
「キラース! 逃げる気か! この卑怯者め!」
 カレンが憤激に叫んだ。だが俺と同様、彼女もこれ以上何かをしようとはしなかった。悔しいが、街の安全と復興を第一に考えれば仕方がない。今回はこのまま退いてくれるのはベストだ。キラースもそこにつけ込んだわけではあるが。