ep107 魔剣使い&魔法剣士vs爆破魔術師&ダークエルフ⑥
ー/ー 治癒は順調に進んでいるように見えるが、どうしたのだろうか。
「シヒロ? どうしたんだ?」
「その……このままでは、ダークエルフさんが……」
「マズいのか? 傷の治癒は成功しているように見えるが」
「はい。でも……なんというか、その……ダークエルフさん自身が、拒んでいるように感じるんです」
「拒んでいる? 治療を受けることを?」
「というより、その……」
「なんだ? ハッキリ言ってくれ」
「生きることをです」
「……なるほど、そうか」
ダークエルフを見ると、シヒロの治癒魔法の甲斐あって傷は見事に塞がっていっている。シヒロの魔法の才には改めて感心するばかりだ。しかしいくら傷が治っても、本人自身が生きたいと思っていないのならどうしようもない。こればっかりはどんな魔法を施してもどうにもできない問題なのだろう。
「エレサ」
俺はダークエルフへ呼びかける。俺が彼女にかけてやれる言葉があるかはわからない。なにせ俺は、元の世界で生きることを放棄しようとしてこの世界に転生してきたような人間だ。転生してきてからだって、今の自分が余命いくばくもない身だという事実を受け入れられずに自暴自棄になって遊び狂う始末。今でこそ魔剣使いとして街や人を助けるために戦っているが……とてもじゃないが褒められた人生なんか送れちゃいない。そんな俺に言える言葉は……。
「エレサ。俺にはお前のことはわからない。だがひとつだけ教えてくれ。お前は本当にこのまま死んでしまうことを望むのか?」
俺は元の世界で、自殺しようとしても結局できなかった。この世界に来てからも、死ぬまで遊び狂うことはできなかった。今になって思えば、俺は絶望しながらもやっぱり諦めきれていなかったんだ。
なにを?
生きることを。たとえくだらなくても、この人生を。でも……だからこそ今がある。今の俺があるんだ。
「エレサ。お前は俺に交渉を求めてきたよな? それは街を守るためだったんじゃないのか? そっちの事情は知らないが……魔剣使いを仲間にできればキラースもここまでのことはしないと考えたんじゃないのか? あるいはそういう約束をキラースと交わしていたとか。違うか?」
ダークエルフの反応はない。だけど俺は、今ここで彼女をどうしても救ってやらねばならない気がする。彼女の絶望と俺の絶望が同じなわけがない。もしかしたら相容れないかもしれない。それでも俺は、彼女を放っておくことはできない。
「エレサ。少なくともお前のことを縛っていたであろうキラースの魔術のくびきからは解放されたはずだ。俺の、魔剣使いの力によってな。だからエレサ。あとはお前次第だ。お前がまだほんの僅かでも生きることを……たとえ苦しみばかりでも……人生を諦めきれないのなら……生きろ! 悪あがきでもいい、生きてみろ!」
俺はダークエルフの肩をしかと掴んで呼び覚ますように叫んだ。すると、なにかの変化を感知したシヒロが興奮気味に声を上げる。
「クローさん! ダークエルフ…エレサさんが!」
突如としてエレサの全身から、ブワァァァッと魔力の風とでも言うべき突風が舞い上がる。シヒロは治癒魔法の手をパッと離して肩で激しく息をする。
「ハァ、ハァ、ハァ……え、エレサさんは??」
俺たちは固唾を飲んでエレサを見守る。
「シヒロ? どうしたんだ?」
「その……このままでは、ダークエルフさんが……」
「マズいのか? 傷の治癒は成功しているように見えるが」
「はい。でも……なんというか、その……ダークエルフさん自身が、拒んでいるように感じるんです」
「拒んでいる? 治療を受けることを?」
「というより、その……」
「なんだ? ハッキリ言ってくれ」
「生きることをです」
「……なるほど、そうか」
ダークエルフを見ると、シヒロの治癒魔法の甲斐あって傷は見事に塞がっていっている。シヒロの魔法の才には改めて感心するばかりだ。しかしいくら傷が治っても、本人自身が生きたいと思っていないのならどうしようもない。こればっかりはどんな魔法を施してもどうにもできない問題なのだろう。
「エレサ」
俺はダークエルフへ呼びかける。俺が彼女にかけてやれる言葉があるかはわからない。なにせ俺は、元の世界で生きることを放棄しようとしてこの世界に転生してきたような人間だ。転生してきてからだって、今の自分が余命いくばくもない身だという事実を受け入れられずに自暴自棄になって遊び狂う始末。今でこそ魔剣使いとして街や人を助けるために戦っているが……とてもじゃないが褒められた人生なんか送れちゃいない。そんな俺に言える言葉は……。
「エレサ。俺にはお前のことはわからない。だがひとつだけ教えてくれ。お前は本当にこのまま死んでしまうことを望むのか?」
俺は元の世界で、自殺しようとしても結局できなかった。この世界に来てからも、死ぬまで遊び狂うことはできなかった。今になって思えば、俺は絶望しながらもやっぱり諦めきれていなかったんだ。
なにを?
生きることを。たとえくだらなくても、この人生を。でも……だからこそ今がある。今の俺があるんだ。
「エレサ。お前は俺に交渉を求めてきたよな? それは街を守るためだったんじゃないのか? そっちの事情は知らないが……魔剣使いを仲間にできればキラースもここまでのことはしないと考えたんじゃないのか? あるいはそういう約束をキラースと交わしていたとか。違うか?」
ダークエルフの反応はない。だけど俺は、今ここで彼女をどうしても救ってやらねばならない気がする。彼女の絶望と俺の絶望が同じなわけがない。もしかしたら相容れないかもしれない。それでも俺は、彼女を放っておくことはできない。
「エレサ。少なくともお前のことを縛っていたであろうキラースの魔術のくびきからは解放されたはずだ。俺の、魔剣使いの力によってな。だからエレサ。あとはお前次第だ。お前がまだほんの僅かでも生きることを……たとえ苦しみばかりでも……人生を諦めきれないのなら……生きろ! 悪あがきでもいい、生きてみろ!」
俺はダークエルフの肩をしかと掴んで呼び覚ますように叫んだ。すると、なにかの変化を感知したシヒロが興奮気味に声を上げる。
「クローさん! ダークエルフ…エレサさんが!」
突如としてエレサの全身から、ブワァァァッと魔力の風とでも言うべき突風が舞い上がる。シヒロは治癒魔法の手をパッと離して肩で激しく息をする。
「ハァ、ハァ、ハァ……え、エレサさんは??」
俺たちは固唾を飲んでエレサを見守る。
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