第82話 招集
ー/ー 冥界の女王の命により、秘密裏に会議が招集された。第二次特別攻撃作戦の打ち合わせという名目だった。フォックス重工の建屋が会場に指定された。
呼び出されたのは地球暫定機構の立法権を持つ委員会メンバーと行政を取り仕切る官僚、それに軍人たちだった。主催者は冥界の女王であり、すでに地球暫定統治機構と連合海軍は作戦の主導権を失っていた。
正面中央に冥界の女王の席があり、その隣りには桐子が保護している第二分身体の伊沢悠木がすでに席についている。正面から見て左右に一列ずつ参加者の席が並べられていた。
「今日は女王が来るのかしら」
呼び出されたのは地球暫定機構の立法権を持つ委員会メンバーと行政を取り仕切る官僚、それに軍人たちだった。主催者は冥界の女王であり、すでに地球暫定統治機構と連合海軍は作戦の主導権を失っていた。
正面中央に冥界の女王の席があり、その隣りには桐子が保護している第二分身体の伊沢悠木がすでに席についている。正面から見て左右に一列ずつ参加者の席が並べられていた。
「今日は女王が来るのかしら」
立法委員メンバーとして呼び出された瞳がつぶやいた。
「女王がいなければ会議が成り立たないわ」と皇族の代表の瑠璃子。
「さっき、リコ・ファレンに会ったよ。彼女が司会をするそうだ。女王が出席すると言っていた」と立法委員の桐子。「どのような姿で現れるかは聞いていないそうだ」
「まさか、神の姿のままってことはないわよね」と瞳。
「お清めしないと無理よ。人が近すぎるし」
「女王がいなければ会議が成り立たないわ」と皇族の代表の瑠璃子。
「さっき、リコ・ファレンに会ったよ。彼女が司会をするそうだ。女王が出席すると言っていた」と立法委員の桐子。「どのような姿で現れるかは聞いていないそうだ」
「まさか、神の姿のままってことはないわよね」と瞳。
「お清めしないと無理よ。人が近すぎるし」
瑠璃子は会議室を見回した。二十人分ほどの席がすべて埋まっている。
「もう定刻を過ぎたわ」と瞳。
スーツ姿のリコ・ファレンが会議室側面のドアからすばやく入り、正面の観音開きのドアを大きく開けた。そのまま入り口の脇で、低く頭を下げた。
「女王様の御成りね」と瞳。
現れたのは防空隊攻撃艦朝風の艦長を務める佐藤恵子大尉だった。ただし、冥界の女王の装束である黒いドレスを身につけていた。すぐ後ろに防空隊第一艦隊の司令官一条リリス大佐と義勇軍の通信艦パープルキティ艦長の高田アリサ大佐が緊張した面持ちで付き従っていた。
「もう定刻を過ぎたわ」と瞳。
スーツ姿のリコ・ファレンが会議室側面のドアからすばやく入り、正面の観音開きのドアを大きく開けた。そのまま入り口の脇で、低く頭を下げた。
「女王様の御成りね」と瞳。
現れたのは防空隊攻撃艦朝風の艦長を務める佐藤恵子大尉だった。ただし、冥界の女王の装束である黒いドレスを身につけていた。すぐ後ろに防空隊第一艦隊の司令官一条リリス大佐と義勇軍の通信艦パープルキティ艦長の高田アリサ大佐が緊張した面持ちで付き従っていた。
佐藤恵子は正面の壇上に上がり、会議の出席者と向かい合った。
「予は冥界の女王にして黒魚王、涙の魔術師の妻である。夫が生まれ変わり、四体に分離したとしてもその立場は変わらぬ。よって予はここに座す伊沢悠木の第二分身体の保護者である」
「憑依だ」と桐子。「冥界の女王は佐藤恵子に乗り移っている」
「女王は恵子と相性がよかったのね」と瞳。「たしかに、気難しくて仕切りたがりの性格が似ているわ」
「予は神界の統治者、伊佐々之ナミ神の権限において、この会議を取り仕切る。異存あるものは申し出よ」と女王。
発言する者はいなかった。
「司会者は作戦の説明を始めよ」と女王。
壁際で控えていたリコが立ち上がって、正面のスクリーンの前に立った。
「フォックスグループの責任者、リコ・ファレンでございます」
「予は冥界の女王にして黒魚王、涙の魔術師の妻である。夫が生まれ変わり、四体に分離したとしてもその立場は変わらぬ。よって予はここに座す伊沢悠木の第二分身体の保護者である」
「憑依だ」と桐子。「冥界の女王は佐藤恵子に乗り移っている」
「女王は恵子と相性がよかったのね」と瞳。「たしかに、気難しくて仕切りたがりの性格が似ているわ」
「予は神界の統治者、伊佐々之ナミ神の権限において、この会議を取り仕切る。異存あるものは申し出よ」と女王。
発言する者はいなかった。
「司会者は作戦の説明を始めよ」と女王。
壁際で控えていたリコが立ち上がって、正面のスクリーンの前に立った。
「フォックスグループの責任者、リコ・ファレンでございます」
リコは頭を下げた。
「我がグループの最近の技術開発の進展とそれに伴う戦術的な利点についてお話させていただきます」
「手短に話せ」と女王。
リコは女王に向かって頭を下げ、話を続けた。
「手短に話せ」と女王。
リコは女王に向かって頭を下げ、話を続けた。
「われわれは先般、ゲートを生成する技術を獲得いたしました。現時点で小さなゲートを生成し、短時間維持することが可能です」
「それでは人や物を移動させることはできぬ」と女王。
「はい」とリコ。「ですが情報を伝えることができます。小さなゲートを開き、手前側と外側で送受信機を持っていれば、ゲート越しに通信ができます」
「なるほどな」と女王。「それで、先発した第一次特別攻撃隊の白鷺と連絡はとれたのか?」
「はい」とリコ。
「まずは第一次特別攻撃作戦の経過を報告せよ」と女王。
「それでは人や物を移動させることはできぬ」と女王。
「はい」とリコ。「ですが情報を伝えることができます。小さなゲートを開き、手前側と外側で送受信機を持っていれば、ゲート越しに通信ができます」
「なるほどな」と女王。「それで、先発した第一次特別攻撃隊の白鷺と連絡はとれたのか?」
「はい」とリコ。
「まずは第一次特別攻撃作戦の経過を報告せよ」と女王。
「はい。第一次特別攻撃隊の攻撃艦『白鷺』は、三か月前に火星の衛星フォボスの沖にあるゲート痕にエネルギーを加えて再びゲートを開き、単独で侵攻いたしました」とリコ。
「敵との交戦はあったのか?」と女王。
「いいえ、ありませんでした」とリコ。「われわれの作戦で、ゲートの使用は初めてのことでした。敵の意表を突くことができ、白鷺は迎撃を受ける前に敵地への侵入に成功いたしました」
「ゲートを開いていたのは、どれくらいの時間だ?」と女王。
「三十秒程度です」とリコ。
「敵に覚られぬようにこっそりとゲートを開き、すばやく侵入し、すぐにゲートを閉じたということか」と女王。
「はい」とリコ。
「よい手際である」と女王。「だが、次に同じ手は通用せぬな」
「その通りでございます」とリコ。「白鷺の侵入後、ゲート付近に敵の艦隊が常駐しております」
「なるほどな」と女王。「それで、白鷺はどうしておる?」
「白鷺はゲート近辺で待機しております」とリコ。
「攻撃をしておらぬのか?」と女王。
「はい。攻撃目標の恒星が二重星でした」とリコ。「ゲート越しから得たデータでは恒星の質量しか予測できませんでした」
「片方の恒星の破壊だけではだめなのか?」と女王。
「それでは超新星爆発に至るまでの時間を正確に予測できません」とリコ。「しかも爆発が数年後か数十年後になる可能性が高いことが分かりました」
「それで、白鷺にいる第一分身体の黒魚王はなんと申しておる」と女王。
「第二次特別攻撃隊の翆鶴も敵地に侵入し、翆鶴と白鷺が二つの恒星をそれぞれ同時に破壊すれば作戦は遂行可能とのことでございます」とリコ。
「なるほどな」と女王。「ところでなぜ白鷺は敵に見つかっておらぬのか?」
「最新のステルス機能を装備しております」とリコ。「動かなければ察知されることはありません」
「よかろう。おおよその状況は把握した」と女王。「第二次特別攻撃作戦の概要を説明せよ」
「それで、白鷺にいる第一分身体の黒魚王はなんと申しておる」と女王。
「第二次特別攻撃隊の翆鶴も敵地に侵入し、翆鶴と白鷺が二つの恒星をそれぞれ同時に破壊すれば作戦は遂行可能とのことでございます」とリコ。
「なるほどな」と女王。「ところでなぜ白鷺は敵に見つかっておらぬのか?」
「最新のステルス機能を装備しております」とリコ。「動かなければ察知されることはありません」
「よかろう。おおよその状況は把握した」と女王。「第二次特別攻撃作戦の概要を説明せよ」
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