第83話 作戦
ー/ー「承知いたしました」
リコは冥界の女王に一礼をしてから話をつづけた。
「フォボス沖のゲートを開き、核攻撃により敵側領域を掃討したのちに、我が第二次特別攻撃部隊の艦隊が突入いたします」
「艦隊の陣容は?」と女王。
「涙の魔術師様の座乗する特別攻撃艦翠鶴に続き第一随伴艦隊がパープルキティ、比叡、春日、ベルン、ボーズ、高雄の順でゲートに進入いたします」とリコ。
「ゲート通過後、翠鶴は白鷺と合流し、二つの恒星アルファとベータに進路を取ります。パープルキティはゲート近傍の守備、残りの比叡以下の五隻の海軍巡洋艦は敵の拠点である第三惑星に陽動攻撃をしかけます」
「陽動艦隊が第三惑星を攻撃して敵をひきつけ、そのすきに翠鶴と白鷺が恒星アルファとベータに向けて加速します」とリコ。「重力エンジンの加速により、秒速三百キロを超えると敵は物体を捕捉できなくなります。両艦の加速の終了を確認ののち、陽動艦隊はゲートを通過し帰投します」
「作戦完遂をどのように確認するのじゃ?」と女王。
「翠鶴と白鷺が恒星に突入し、重力エネルギーを放出することにより恒星を圧縮し爆破します。超新星爆発の兆候を確認でき次第、爆発に巻き込まれる前にゲートを開き、パープルキティを回収いたします」とリコ。
「兆候とは重力崩壊の衝撃波のことか?」と女王。「危険であろう」
「われわれの計算によると、恒星をチャンドラセカール限界まで圧縮すれば、重力崩壊して爆発的反応が引き起こされます」とリコ。「しかし、その直前に核融合反応が促進されるため、非常に明るい光が放出されるはずでございます。この崩壊過程における初期段階でゲートを開けばパープルキティを回収可能でございます」
「大筋はそれでよかろう」と女王。「次に作戦の詳細を吟味せねばならぬ。まず第一随伴艦隊の牽制は必要か? 要はおとりであろう。その程度の小細工は無用じゃ。しかも練度の不足した五隻程度の巡洋艦などむしろ足手まといであろう」
「死地に赴く涙の魔術師様のつゆ払いを務めさせていただきたく存じます」と防衛統合本部議長の佐々木武史中将。
「寄せ集め艦隊の人身御供など無用じゃ」と女王。
「敵が本拠地とする惑星系の情報はほとんどありません。何が起こるかわからぬ状況であります」と武史。「随伴艦隊を持ち駒としてお使いいただきたい」
「そなたが参るのか?」と女王。
「某が陽動艦隊を率いる所存でございます」と武史。
「海軍の面子を保ちたいのであろう? 無用のことじゃ。誘導弾の数発でも放っておけば十分なはずである」と女王。「そもそも、そなたに艦隊指揮の経験がなかろう」
「恐れながら、長く戦場に身を置いた武士としての経験がございます」と武史。
「そのような介添えは必要ない」と女王。「我が夫は無類の戦巧者じゃ。これしきの戦場で後れを取ることなどあり得ぬ」
「しかし、それでは某の武士の面目がたちませぬ」と武史。「どうかご認可いただきたい……」
「異星生物ごときが、戦場で我が夫を打ち取ることなどできぬ」と女王。「それを知っておるから、そなたは我が夫を後ろから撃ったのであろう?」
女王の言葉に場は凍り付いた。
「その件につきましては、いかようなご沙汰も覚悟しております」と武史。
「誰に忠義を尽くしておるのやら」
「艦隊の陣容は?」と女王。
「涙の魔術師様の座乗する特別攻撃艦翠鶴に続き第一随伴艦隊がパープルキティ、比叡、春日、ベルン、ボーズ、高雄の順でゲートに進入いたします」とリコ。
「ゲート通過後、翠鶴は白鷺と合流し、二つの恒星アルファとベータに進路を取ります。パープルキティはゲート近傍の守備、残りの比叡以下の五隻の海軍巡洋艦は敵の拠点である第三惑星に陽動攻撃をしかけます」
「陽動艦隊が第三惑星を攻撃して敵をひきつけ、そのすきに翠鶴と白鷺が恒星アルファとベータに向けて加速します」とリコ。「重力エンジンの加速により、秒速三百キロを超えると敵は物体を捕捉できなくなります。両艦の加速の終了を確認ののち、陽動艦隊はゲートを通過し帰投します」
「作戦完遂をどのように確認するのじゃ?」と女王。
「翠鶴と白鷺が恒星に突入し、重力エネルギーを放出することにより恒星を圧縮し爆破します。超新星爆発の兆候を確認でき次第、爆発に巻き込まれる前にゲートを開き、パープルキティを回収いたします」とリコ。
「兆候とは重力崩壊の衝撃波のことか?」と女王。「危険であろう」
「われわれの計算によると、恒星をチャンドラセカール限界まで圧縮すれば、重力崩壊して爆発的反応が引き起こされます」とリコ。「しかし、その直前に核融合反応が促進されるため、非常に明るい光が放出されるはずでございます。この崩壊過程における初期段階でゲートを開けばパープルキティを回収可能でございます」
「大筋はそれでよかろう」と女王。「次に作戦の詳細を吟味せねばならぬ。まず第一随伴艦隊の牽制は必要か? 要はおとりであろう。その程度の小細工は無用じゃ。しかも練度の不足した五隻程度の巡洋艦などむしろ足手まといであろう」
「死地に赴く涙の魔術師様のつゆ払いを務めさせていただきたく存じます」と防衛統合本部議長の佐々木武史中将。
「寄せ集め艦隊の人身御供など無用じゃ」と女王。
「敵が本拠地とする惑星系の情報はほとんどありません。何が起こるかわからぬ状況であります」と武史。「随伴艦隊を持ち駒としてお使いいただきたい」
「そなたが参るのか?」と女王。
「某が陽動艦隊を率いる所存でございます」と武史。
「海軍の面子を保ちたいのであろう? 無用のことじゃ。誘導弾の数発でも放っておけば十分なはずである」と女王。「そもそも、そなたに艦隊指揮の経験がなかろう」
「恐れながら、長く戦場に身を置いた武士としての経験がございます」と武史。
「そのような介添えは必要ない」と女王。「我が夫は無類の戦巧者じゃ。これしきの戦場で後れを取ることなどあり得ぬ」
「しかし、それでは某の武士の面目がたちませぬ」と武史。「どうかご認可いただきたい……」
「異星生物ごときが、戦場で我が夫を打ち取ることなどできぬ」と女王。「それを知っておるから、そなたは我が夫を後ろから撃ったのであろう?」
女王の言葉に場は凍り付いた。
「その件につきましては、いかようなご沙汰も覚悟しております」と武史。
「誰に忠義を尽くしておるのやら」
女王はちらりと瞳を見た。
「玉砕など許さぬ。朝風を艦隊に加えよ。おとり艦隊の指揮はここにおるリリスに取らせる。よいな」
後ろに控えるリリスが頭を下げた。
「青二才の愚か者どもに戦の仕方を教えてやれ。そして連れて帰ってこい」と女王。
「御意!」とリリス。
後ろに控えるリリスが頭を下げた。
「青二才の愚か者どもに戦の仕方を教えてやれ。そして連れて帰ってこい」と女王。
「御意!」とリリス。
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