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ep102 魔剣使い&魔法剣士vs爆破魔術師&ダークエルフ

ー/ー



「おい魔剣使い」

 カレンが剣を構えながら俺を呼ぶ。

「なんだ?」

「お前の剣は魔法を斬り裂く。つまり、爆破魔法も無効化できる。違うか?」

「それがどうしたんだ?」

「お前の提案に乗って、とりあえず今は共闘して〔フリーダム〕を倒し街を守る。そしてお前の力は私の力よりもキラースの悪辣から街を守るのに適している。不本意ながらキラースを頼めるか?」

「じゃあダークエルフはあんたに任せていいんだな?」

「ああ。それと街にいるフリーダム。キラースの部下どもも、私と我が軍で引き受ける」

「わかった」

 俺がカレンとの方針を固めた時。キラースを乗せた魔物が唐突にダークエルフの所へ下降してきたかと思うと、ヤツが建物上へパッと跳び降りてきた。

「?」

 ダークエルフという援軍が来たとはいえ、俺とカレンを前にして些か軽率な行動に思えた。キラースの意外な行動に俺とカレンはいったん距離を取ったまま警戒する。ヤツを叩く絶好のチャンスではあるが……。

「き、キラース?」

 ダークエルフも意外だったらしい。彼女は不安げな顔で応じる。

「気が変わった。エレサ。テメーはそれに乗ってやってこい」

 キラースはぶっきらぼうに何かを指示した。

「え? 今からわたしはあの者たちと…」

「ああ? 誰がテメーの意志を尊重するっつった?」

「だ、だけど」

「エレサ。昨日から勝手な行動が過ぎるな。テメーは自分の状況をわかってんのか?」

「そ、それはわかっている!」

「いいやわかってねえ。魔剣使いを引き入れるっつって結局できてねえ。その目的自体はオレの目的にも付合するからテメーにやらせちゃみたが、失敗した挙句よりにもよって魔法剣士と共闘されるっちゅう最悪の状況だ」

「す、すまない」

「とっとと乗れ」

「わかった……」

 あきらめたエレサが魔物へ跳び乗ろうとした刹那、カレンが素早く剣を振り抜く。

「〔発閃〕」

 剣気の衝撃波がシャァァッとエレサへ向かって一直線に疾る。それは彼女をとらえるかに見えた。が、いつの間にかキラースが軌道上に立ちはだかり、魔力を帯びた片手をなぜか下に掲げて発動する。

「固有技能〔スマートボムズ〕」

 ボガァァァンという爆破が起こると、勢いよくブワァァァッと爆風が舞い上がる。さらに彼らの足元の建物がドドドドーッと音を立てて崩れだした。

「自爆?」

「違う!」とカレンが即座に否定した。
 
「……あれは!」

「やはりか!」

 立ちこめる煙の影から魔物に乗ったダークエルフが上昇していくのが見えた。

「キラースは?」

 俺は前方周囲に目を凝らすが、ヤツの姿は見当たらない。

「気をつけろ」カレンが言う。
「ヤツは爆破を様々に応用してくる」

 俺とカレンはさらに警戒を強める。だがそれを嘲笑うような声が届く。

「まーまー落ち着きなってお二人さん! オレがテメーらまとめて相手にしてやっからさぁ!」

 もくもくと立ち込める煙の向こう側からだ

「声の方向……奥の建物の屋根上か!」

「そのようだな」

 戦闘態勢に入る俺とカレン。
 キラースは言葉を続ける。

「おいエレサァァ! テメーは上空からやれ!」

 部下への命令だ。なるほど。上空からダークエルフに援護させる気か。

「わかった。援護する!」

 ダークエルフが応えた。ところがキラースから返ってきた反応は違っていた。

「援護だぁ? バカかテメーは!」

「えっ?」

「テメーのやることはテメーの魔術で空から市民を痛めつけることだろうが!」

「わ、わたしが!?」

「テメーの闇の矢を降り注いでやれ! 簡単だ! ただし加減はするなよ? 火力全開でやれ! ギャッハッハ!」

 それは市民への無差別魔法攻撃命令。相手が俺なら〔魔導剣士〕の力で防ぐことができる。しかしあの闇の魔力を帯びた黒矢の雨が無抵抗な市民に降り注いだら……

「大惨事になる!」と俺が一歩踏み出した時はすでに出遅れていた。

「この外道がぁぁぁ!」

 激昂したカレンが烈火の如く飛び出していた。そのまま彼女は魔法の詠唱をする。

「深淵なる万物万象の源泉よ。我が劤と為り、彼の者を凍て尽くし給へ。〔アルカーナ・グラキエス〕」

 剣は氷を帯びて氷剣と化した。
 
「ハァァッ!」

 カレンは煙を発生させている崩れかけた建物へガギィィィンと氷刃を振り下ろした。すると建物全体が突然の氷河期に見舞われたかの如くガチガチガチンと一気に氷漬けとなり、途端に煙がおさまった。
 
「凄い!」

 彼女の後に続いていた俺は一驚した。これが魔法剣士の力か!

「ハァッ!」

 カレンは巨大な氷細工をタッタッタッと跳び乗っていって、視界にとらえたキラースへ一挙にダッと飛び込む。しかしキラースは慌てることなくニヤリと余裕の笑みを浮かべていた。

「カレン! 危ない!」

 俺が危険を察知した直後に、ボガァァァンと爆発が起こった。再びキラースの立つ建物から爆風と煙がブワァァッと舞い上がる。
 
「まともに戦え卑怯者がぁ!」

 カレンの怒声が響いた。この程度の爆破など意に介していないようだ。だがそれはキラースもわかっているだろう。

「キラースは、何をしたいんだ?」


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「おい魔剣使い」
 カレンが剣を構えながら俺を呼ぶ。
「なんだ?」
「お前の剣は魔法を斬り裂く。つまり、爆破魔法も無効化できる。違うか?」
「それがどうしたんだ?」
「お前の提案に乗って、とりあえず今は共闘して〔フリーダム〕を倒し街を守る。そしてお前の力は私の力よりもキラースの悪辣から街を守るのに適している。不本意ながらキラースを頼めるか?」
「じゃあダークエルフはあんたに任せていいんだな?」
「ああ。それと街にいるフリーダム。キラースの部下どもも、私と我が軍で引き受ける」
「わかった」
 俺がカレンとの方針を固めた時。キラースを乗せた魔物が唐突にダークエルフの所へ下降してきたかと思うと、ヤツが建物上へパッと跳び降りてきた。
「?」
 ダークエルフという援軍が来たとはいえ、俺とカレンを前にして些か軽率な行動に思えた。キラースの意外な行動に俺とカレンはいったん距離を取ったまま警戒する。ヤツを叩く絶好のチャンスではあるが……。
「き、キラース?」
 ダークエルフも意外だったらしい。彼女は不安げな顔で応じる。
「気が変わった。エレサ。テメーはそれに乗ってやってこい」
 キラースはぶっきらぼうに何かを指示した。
「え? 今からわたしはあの者たちと…」
「ああ? 誰がテメーの意志を尊重するっつった?」
「だ、だけど」
「エレサ。昨日から勝手な行動が過ぎるな。テメーは自分の状況をわかってんのか?」
「そ、それはわかっている!」
「いいやわかってねえ。魔剣使いを引き入れるっつって結局できてねえ。その目的自体はオレの目的にも付合するからテメーにやらせちゃみたが、失敗した挙句よりにもよって魔法剣士と共闘されるっちゅう最悪の状況だ」
「す、すまない」
「とっとと乗れ」
「わかった……」
 あきらめたエレサが魔物へ跳び乗ろうとした刹那、カレンが素早く剣を振り抜く。
「〔発閃〕」
 剣気の衝撃波がシャァァッとエレサへ向かって一直線に疾る。それは彼女をとらえるかに見えた。が、いつの間にかキラースが軌道上に立ちはだかり、魔力を帯びた片手をなぜか下に掲げて発動する。
「固有技能〔スマートボムズ〕」
 ボガァァァンという爆破が起こると、勢いよくブワァァァッと爆風が舞い上がる。さらに彼らの足元の建物がドドドドーッと音を立てて崩れだした。
「自爆?」
「違う!」とカレンが即座に否定した。
「……あれは!」
「やはりか!」
 立ちこめる煙の影から魔物に乗ったダークエルフが上昇していくのが見えた。
「キラースは?」
 俺は前方周囲に目を凝らすが、ヤツの姿は見当たらない。
「気をつけろ」カレンが言う。
「ヤツは爆破を様々に応用してくる」
 俺とカレンはさらに警戒を強める。だがそれを嘲笑うような声が届く。
「まーまー落ち着きなってお二人さん! オレがテメーらまとめて相手にしてやっからさぁ!」
 もくもくと立ち込める煙の向こう側からだ
「声の方向……奥の建物の屋根上か!」
「そのようだな」
 戦闘態勢に入る俺とカレン。
 キラースは言葉を続ける。
「おいエレサァァ! テメーは上空からやれ!」
 部下への命令だ。なるほど。上空からダークエルフに援護させる気か。
「わかった。援護する!」
 ダークエルフが応えた。ところがキラースから返ってきた反応は違っていた。
「援護だぁ? バカかテメーは!」
「えっ?」
「テメーのやることはテメーの魔術で空から市民を痛めつけることだろうが!」
「わ、わたしが!?」
「テメーの闇の矢を降り注いでやれ! 簡単だ! ただし加減はするなよ? 火力全開でやれ! ギャッハッハ!」
 それは市民への無差別魔法攻撃命令。相手が俺なら〔魔導剣士〕の力で防ぐことができる。しかしあの闇の魔力を帯びた黒矢の雨が無抵抗な市民に降り注いだら……
「大惨事になる!」と俺が一歩踏み出した時はすでに出遅れていた。
「この外道がぁぁぁ!」
 激昂したカレンが烈火の如く飛び出していた。そのまま彼女は魔法の詠唱をする。
「深淵なる万物万象の源泉よ。我が劤と為り、彼の者を凍て尽くし給へ。〔アルカーナ・グラキエス〕」
 剣は氷を帯びて氷剣と化した。
「ハァァッ!」
 カレンは煙を発生させている崩れかけた建物へガギィィィンと氷刃を振り下ろした。すると建物全体が突然の氷河期に見舞われたかの如くガチガチガチンと一気に氷漬けとなり、途端に煙がおさまった。
「凄い!」
 彼女の後に続いていた俺は一驚した。これが魔法剣士の力か!
「ハァッ!」
 カレンは巨大な氷細工をタッタッタッと跳び乗っていって、視界にとらえたキラースへ一挙にダッと飛び込む。しかしキラースは慌てることなくニヤリと余裕の笑みを浮かべていた。
「カレン! 危ない!」
 俺が危険を察知した直後に、ボガァァァンと爆発が起こった。再びキラースの立つ建物から爆風と煙がブワァァッと舞い上がる。
「まともに戦え卑怯者がぁ!」
 カレンの怒声が響いた。この程度の爆破など意に介していないようだ。だがそれはキラースもわかっているだろう。
「キラースは、何をしたいんだ?」