ep100 衝突

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「キラースの乗っている魔物だけは反応しなかったが……それ以外は根こそぎ倒したな」

 俺はびゅんと剣を振りおろし血を払った。さて次はあのキラースをどうしようか。と、思考を切り替えようとした時だった。

「深淵なる万物万象の源泉よ。我が劤と為なり、彼の者を燃やし尽くし給へ。〔アルカーナ・フランマ〕」

 背後で魔法を詠唱しているのが聞こえた。パッと振り返ると、炎を纏った剣を構えているカレン隊長の姿が映る。刹那、彼女は炎剣を振りかざして一足飛びに襲いかかってきた。

「固有技能〔魔動炎閃〕」

 ゴォォォッと猛る炎を纏いし剣が俺を斬り焼かんと撃ちこまれる。
 防御? 回避? いや、ここはそれじゃない。

「特殊技能〔ニュンパグレイズ〕」

 ガギィィィンと互いの剣がかち合った。同時に彼女の剣に纏っていた炎が掻き消える。

「なに!? 私の魔法剣が!?」

 俺がそこからもう一太刀と踏み込もうとしたところ、彼女は即座にタンッと跳びさがった。
 俺は彼女をギッと睨む。不穏に向かい合うふたり。 

「魔剣使い……お前は一体何者なんだ? どうやって私の魔法剣を無効化した?」

「それよりあんた、いきなり斬りかかってくるのやめてくれないかマジで」

「やはりお前は危険な存在だと判断したまでだ。お前の力にはどこか……不吉なものを感じる」

「俺が国際平和維持軍に追われているのは承知している。だが今この状況で、まず倒すべき敵はあのキラースじゃないのか?」

「……」

「……」

「……さきほどの〔発閃〕は、魔物どもをけしかけるためのもの。そして自分へ群がった魔物どもを一気に叩く。あの方法は盲点だった(大戦から一年以上経ち、私も平時に慣れすぎてしまったのか……)」

「は?」

「あれなら市民への被害の問題もクリアできる。お前はそこまで計算してやったのか? (私は結局打開できないままだったが、この男は……)」

「クリアもなにも、そうしなきゃ意味がないだろうし」

「……(この男、どう判断すべきだ? 確かにこれまでもその形跡から街と人を〔フリーダム〕から守るために戦っているというのはうかがえる。しかし、この男の持つ力からは、やはり不吉な何かがぬぐえない……)」

 カレン隊長は深刻な面持ちで口をつぐみ、何かを考えている様子。俺としては、できれば国際平和維持軍との衝突は避けたいところ。ここはいったん話題をそらしてみようか。

「魔法剣、と言っていたか? あんたの技」

「それがどうした」

「ん? あっ、まさかあんたって……ひょっとして魔法剣士なのか?」

「そうだが?」

「えっ、ということは、国際平和維持軍の隊長で女で魔法剣士ってこと?」

「何が言いたい?」

「あの勇者の妹の、魔法剣士カレンなのか!?」

「今さらなんだ? いや、私は兄様とは違うからな。お前が知らなくても無理はないが」

 知りたくない事実を確認してしまった。以前シヒロが言っていた、世界最高の魔法剣士にして勇者の妹君。彼女はまさしくその人だった。となると、ますます彼女との衝突は避けたい。
 ならば……。


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「キラースの乗っている魔物だけは反応しなかったが……それ以外は根こそぎ倒したな」
 俺はびゅんと剣を振りおろし血を払った。さて次はあのキラースをどうしようか。と、思考を切り替えようとした時だった。
「深淵なる万物万象の源泉よ。我が劤と為なり、彼の者を燃やし尽くし給へ。〔アルカーナ・フランマ〕」
 背後で魔法を詠唱しているのが聞こえた。パッと振り返ると、炎を纏った剣を構えているカレン隊長の姿が映る。刹那、彼女は炎剣を振りかざして一足飛びに襲いかかってきた。
「固有技能〔魔動炎閃〕」
 ゴォォォッと猛る炎を纏いし剣が俺を斬り焼かんと撃ちこまれる。
 防御? 回避? いや、ここはそれじゃない。
「特殊技能〔ニュンパグレイズ〕」
 ガギィィィンと互いの剣がかち合った。同時に彼女の剣に纏っていた炎が掻き消える。
「なに!? 私の魔法剣が!?」
 俺がそこからもう一太刀と踏み込もうとしたところ、彼女は即座にタンッと跳びさがった。
 俺は彼女をギッと睨む。不穏に向かい合うふたり。 
「魔剣使い……お前は一体何者なんだ? どうやって私の魔法剣を無効化した?」
「それよりあんた、いきなり斬りかかってくるのやめてくれないかマジで」
「やはりお前は危険な存在だと判断したまでだ。お前の力にはどこか……不吉なものを感じる」
「俺が国際平和維持軍に追われているのは承知している。だが今この状況で、まず倒すべき敵はあのキラースじゃないのか?」
「……」
「……」
「……さきほどの〔発閃〕は、魔物どもをけしかけるためのもの。そして自分へ群がった魔物どもを一気に叩く。あの方法は盲点だった(大戦から一年以上経ち、私も平時に慣れすぎてしまったのか……)」
「は?」
「あれなら市民への被害の問題もクリアできる。お前はそこまで計算してやったのか? (私は結局打開できないままだったが、この男は……)」
「クリアもなにも、そうしなきゃ意味がないだろうし」
「……(この男、どう判断すべきだ? 確かにこれまでもその形跡から街と人を〔フリーダム〕から守るために戦っているというのはうかがえる。しかし、この男の持つ力からは、やはり不吉な何かがぬぐえない……)」
 カレン隊長は深刻な面持ちで口をつぐみ、何かを考えている様子。俺としては、できれば国際平和維持軍との衝突は避けたいところ。ここはいったん話題をそらしてみようか。
「魔法剣、と言っていたか? あんたの技」
「それがどうした」
「ん? あっ、まさかあんたって……ひょっとして魔法剣士なのか?」
「そうだが?」
「えっ、ということは、国際平和維持軍の隊長で女で魔法剣士ってこと?」
「何が言いたい?」
「あの勇者の妹の、魔法剣士カレンなのか!?」
「今さらなんだ? いや、私は兄様とは違うからな。お前が知らなくても無理はないが」
 知りたくない事実を確認してしまった。以前シヒロが言っていた、世界最高の魔法剣士にして勇者の妹君。彼女はまさしくその人だった。となると、ますます彼女との衝突は避けたい。
 ならば……。