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7.俺の魔力から精霊が生まれた

ー/ー



 冷静になろう。
 レベルは四十。
 しかも幼体。

 ……意味が分からない。

『ログさん』

《はい》

『これ、どのくらいヤバい?』

《一般的な基準で申すならば、隠蔽(いんぺい)不可能ですね》

 即答かよ。
 しかも淡々としてるし。

『隠蔽不可能って、具体的に頼むよ』

《半径数キロ圏内の魔力濃度が上昇しています。精霊の発生確率も増加。魔物の接近も時間の問題です》

 オゥ……。

 精霊か……精霊って、神樹のエネルギーから生まれんの?
 あと魔物が来んのかよ……。

《いいレベリングになりますよ?》

『いや、強い個体とか出ても俺が勝てないと意味ないよ!』

 魔王級の魔物……迷宮深部とかで出るようなやつらとか、多分いるでしょこれ。そんなん多分まだ勝てんて!

 ……詰んでるかもしれんな。
 ……まあなったもんはなったし、仕方ないか。

 ――でも、俺なら大丈夫かも――と強がりと言う余裕は残っているのだった。




『……試しに枝を動かしてみるか』

 枝を一本動かしてみる――ただそれだけのつもりだった。

 そのとき――

 ゴゴゴゴゴゴゴ!!

 地面が、揺れた。

『は!? おい、待て待て待て!?』

 枝の先が触れただけの地面から、木々が芽吹き、根が走り、森が広がろうとしている。

『え、枝で触れただけで……!? なんで()(しげ)るんだよ!』

 まずい、まずいぞ! このままじゃ森林が大森林になりかねん! ただでさえヴァルデリン森林の全体が分かってないのに、これ以上木が増えたら余計わからなくなる!

 止めろ止めろ止めろ!!

《制御が追いついていません。魔力出力がレベルに比例して増大しています》

『それ早く言って!? こんのぉ……! そうだ、『操木(そうもく)』!』

 新しく獲得したスキル『操木(そうもく)』を使用してみると……さっきまで荒れ狂っていた枝が、ピタリと止まった。

『はああぁぁ……あっぶねぇ!!』

 良かったー! 木を操るのか、このスキルなら枝が暴走することも無いな。



◆◆◆◆◆◆



《魔物についてはどうしますか?》

『あー……それね』

 これに関しては、どんな魔物が来るのかによるんだよな。

 迷宮(ラビリンス)に出てきた魔物くらいなら全然大丈夫なんだけど、それ以上となればちょっと勝てるかわからないからな……。


『まあそれは一旦置いておいて、精霊ってな――』


 俺の周りで何かポワポワと、泡みたいな見た目をしたものが光っている。
 泡が不規則に漂ったり、集まったりしている。

『な、なにこれ!? なんか立ち上ってるんだけど!』

《なんでしょうかこれ》

『ログさんこれなんかわかんないの!?』

《……》

 なんで黙ってるんだよ!!

 そう心の内で叫ぶと――光の泡が一点に密集して……玉みたいになった。

『……た、玉?』

《精霊ですね》

 ……え?

『え、なに? 俺、今精霊が生まれるところを見たわけ?』

《下位ですが、そうです》

 下位……?

 っていうかなんでさっき黙ってたんだよ。


《無知な人がアタフタしているのが少し面白くて》


 ……腹立ちを、グッと抑え込め。

 ログさん、俺を(もてあそ)ぶなよ……。

『はぁ、じゃあ気を取り直して、その下位精霊っていうのは?』

《精霊を簡単に解説しますと、魔力でできた生命体です》

 魔力でできた生命体。

 じゃあ魔力が枯渇すると死ぬってことか。
 その直後、光の玉は恐る恐るというような挙動で、俺の幹の近くまで漂ってきた。

『これ触っていいのかな?』

 精霊って魔力体なんだっけ……まあ多分、触ってもいいな。

《危機感ありませんよ》

 ……ログさんの呆れを無視する、というか聞こえないふりをする。

 そう、この子を赤ちゃんのように優しく……やさぁしく……。

 ――触れた。
 その瞬間、胸の奥が、かすかに温かくなる。

《魔力反応、安定。対象は神樹を「源」として認識しています》

 精霊が俺に触れる……触れるのか?
 幹の内側が、すっと軽くなる。

 この精霊は自我が薄いらしいけど、意識があるように見える。
 幹に触れながらあちこちに這ったり、しがみついてくる感覚がする。
 何故だろうか、胸の奥に、じんわりとした熱が残った。

 ……俺、親か……。

 俺の目の前でくるくると回る。

 玉だけど、意外と可愛くて父性(ふせい)が湧いてきたのは秘密にしておこうと、そう思ったのだった。



◆◆◆◆◆◆



 やっぱり思ってしまう……何故、レベルアップが簡単にできたのだろうか。
 魔力を巡らすことが重要なのか、それとも生物が魔力に順応しているのか……。

 あとはレベルアップの経験値がアホほど低いかだな。

 ――うん、保留。
 精霊が愛娘(まなむすめ)のように可愛いので――子供はいないけど――それどころじゃなかったのだった。


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次のエピソードへ進む 8.不穏な異変


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 冷静になろう。
 レベルは四十。
 しかも幼体。
 ……意味が分からない。
『ログさん』
《はい》
『これ、どのくらいヤバい?』
《一般的な基準で申すならば、|隠蔽《いんぺい》不可能ですね》
 即答かよ。
 しかも淡々としてるし。
『隠蔽不可能って、具体的に頼むよ』
《半径数キロ圏内の魔力濃度が上昇しています。精霊の発生確率も増加。魔物の接近も時間の問題です》
 オゥ……。
 精霊か……精霊って、神樹のエネルギーから生まれんの?
 あと魔物が来んのかよ……。
《いいレベリングになりますよ?》
『いや、強い個体とか出ても俺が勝てないと意味ないよ!』
 魔王級の魔物……迷宮深部とかで出るようなやつらとか、多分いるでしょこれ。そんなん多分まだ勝てんて!
 ……詰んでるかもしれんな。
 ……まあなったもんはなったし、仕方ないか。
 ――でも、俺なら大丈夫かも――と強がりと言う余裕は残っているのだった。
『……試しに枝を動かしてみるか』
 枝を一本動かしてみる――ただそれだけのつもりだった。
 そのとき――
 ゴゴゴゴゴゴゴ!!
 地面が、揺れた。
『は!? おい、待て待て待て!?』
 枝の先が触れただけの地面から、木々が芽吹き、根が走り、森が広がろうとしている。
『え、枝で触れただけで……!? なんで|生《お》い|茂《しげ》るんだよ!』
 まずい、まずいぞ! このままじゃ森林が大森林になりかねん! ただでさえヴァルデリン森林の全体が分かってないのに、これ以上木が増えたら余計わからなくなる!
 止めろ止めろ止めろ!!
《制御が追いついていません。魔力出力がレベルに比例して増大しています》
『それ早く言って!? こんのぉ……! そうだ、『|操木《そうもく》』!』
 新しく獲得したスキル『|操木《そうもく》』を使用してみると……さっきまで荒れ狂っていた枝が、ピタリと止まった。
『はああぁぁ……あっぶねぇ!!』
 良かったー! 木を操るのか、このスキルなら枝が暴走することも無いな。
◆◆◆◆◆◆
《魔物についてはどうしますか?》
『あー……それね』
 これに関しては、どんな魔物が来るのかによるんだよな。
 |迷宮《ラビリンス》に出てきた魔物くらいなら全然大丈夫なんだけど、それ以上となればちょっと勝てるかわからないからな……。
『まあそれは一旦置いておいて、精霊ってな――』
 俺の周りで何かポワポワと、泡みたいな見た目をしたものが光っている。
 泡が不規則に漂ったり、集まったりしている。
『な、なにこれ!? なんか立ち上ってるんだけど!』
《なんでしょうかこれ》
『ログさんこれなんかわかんないの!?』
《……》
 なんで黙ってるんだよ!!
 そう心の内で叫ぶと――光の泡が一点に密集して……玉みたいになった。
『……た、玉?』
《精霊ですね》
 ……え?
『え、なに? 俺、今精霊が生まれるところを見たわけ?』
《下位ですが、そうです》
 下位……?
 っていうかなんでさっき黙ってたんだよ。
《無知な人がアタフタしているのが少し面白くて》
 ……腹立ちを、グッと抑え込め。
 ログさん、俺を|弄《もてあそ》ぶなよ……。
『はぁ、じゃあ気を取り直して、その下位精霊っていうのは?』
《精霊を簡単に解説しますと、魔力でできた生命体です》
 魔力でできた生命体。
 じゃあ魔力が枯渇すると死ぬってことか。
 その直後、光の玉は恐る恐るというような挙動で、俺の幹の近くまで漂ってきた。
『これ触っていいのかな?』
 精霊って魔力体なんだっけ……まあ多分、触ってもいいな。
《危機感ありませんよ》
 ……ログさんの呆れを無視する、というか聞こえないふりをする。
 そう、この子を赤ちゃんのように優しく……やさぁしく……。
 ――触れた。
 その瞬間、胸の奥が、かすかに温かくなる。
《魔力反応、安定。対象は神樹を「源」として認識しています》
 精霊が俺に触れる……触れるのか?
 幹の内側が、すっと軽くなる。
 この精霊は自我が薄いらしいけど、意識があるように見える。
 幹に触れながらあちこちに這ったり、しがみついてくる感覚がする。
 何故だろうか、胸の奥に、じんわりとした熱が残った。
 ……俺、親か……。
 俺の目の前でくるくると回る。
 玉だけど、意外と可愛くて|父性《ふせい》が湧いてきたのは秘密にしておこうと、そう思ったのだった。
◆◆◆◆◆◆
 やっぱり思ってしまう……何故、レベルアップが簡単にできたのだろうか。
 魔力を巡らすことが重要なのか、それとも生物が魔力に順応しているのか……。
 あとはレベルアップの経験値がアホほど低いかだな。
 ――うん、保留。
 精霊が|愛娘《まなむすめ》のように可愛いので――子供はいないけど――それどころじゃなかったのだった。