5.ラビリンス初攻略

ー/ー



 供え物の正体が魔剣『伸縮自在の魔剣(カラドヴォルグ)』と、謎の宝石『真紅の金剛石(レッドダイヤモンド)』であることが判明したけど……。

『扱えるわけ無いし、とりあえず置いておくか』

 そもそも、魔剣とかの武器類は”手足”がない俺は使えないからな。宝石の方は使えなくもなさそうだったけど、ログさんが秘密にしてるからよくわかんないので放置。

《単に面倒くさいだけなのでは……?》

 えぇぃ、うっさいうっさい! 結局使えないんだから意味ないだろ!
 しかも片方はログさんが隠してるし……!


 ……さて、ほったらかしにしてた伝言ゲームの情報を見て考えるかな。



 結果:
 一、ここは「ヴァルデリン森林」と言い、カルミリス王国という国の領土内。
 人間的には危険度は割と低い。

 二、カルミリス王国は現在、魔物が異常に強いことに悩まされている。
 最近、この近くで迷宮(ラビリンス)という魔物発生スポットが出てきたことと関係があるのではと噂されている。
 カルミリスに限らず。西側の国も同じ事態に陥っている。

 三、神樹(おれ)が生まれたことで周り……主にカルミリス王国が騒いでる。



 結構有益そうだな、この情報。
 特にカルミリス王国とやらが苦難に満ちてそうだけど……気になるのは――

 迷宮……ラビリンスだ。
 ダンジョンとは違うのか、という疑問は多少あるが、似たようなものと捉えていいだろ。



 迷宮か、行ってみてぇな――――



 なんて期待を膨らませていると……突如、ピカーン! と閃いた。

『ログさん! 俺、名案を思いついたかもしれん!』

《……なんでしょうか?》

『枝伸ばして迷宮(ラビリンス)にカチコミに行く!』

《枝はまだ動かせないのでは?》


 フッフッフ……。
 ずっと練習した甲斐あって、かなり枝を操る自由度が上がったんだ!

 チビチビやってたんだぜ? 眠れないから暇あればやってたし、暴発して動物たちに怒られもしたけど、それでも練習し続けたんだ。

 まあはたから見れば『まだ懲りずに練習しとるのかこいつ』程度に思われてただろう。
 ほんっとうに苦労した。まさか手足の如く動かすのに半月かかるとはな。


《視覚はどうするんですか?》

『……植物だから体中目であり耳であるだろ』

《わあそうですね。早速枝を伸ばしましょう》

 ……なんか棒読みな気がするが……まあいい。

『早速、迷宮に枝を伸ばすぞー! まあ……手探りでな』

 どこに迷宮(ラビリンス)なのかわからん。

《……行き当たりばったりですね》





◆◆◆◆◆◆◆◆◆





 現在、夜……体内時計的に二時くらい。

 ――疲れた、枝伸ばすだけなのに。

 ……迷宮探すのにクッッッッソ時間かかった!
 どこやねん! 岩陰とか洞窟の最奥とか、穴の中とか俺の周り全部探したわ!

 そして、結局場所は森林の入口近く! ふざけんなシンプル故に余計時間かかったんだが!

『――今は迷宮に行く気にならんが、明日の昼から攻略開始しますので、おやすみなさいログさん』

《……マイナーなとこから探すからですよ》





◆◆◆





『よーし、早速攻略始めるぞ!』

《視覚は大丈夫なのですか?》

 フッフーン、そこについても全く問題ないのだよ。

 俺のステータスをちゃんと確認していたとき、見つけたんだ。

 スキル『魔力感知』は、周囲の魔力を感知することで視覚や聴覚を補うことができると、鑑定に書いてあった。

 枝一本でも大丈夫なのかと昨日試したら、予想通り成功! 十分視覚がある――というわけだ。
 だから枝だけ突っ込んでも全くの問題なしなのだ。



 さて、枝を伸ばしまくって内部へ侵入する。
 グングンと植物が急成長を始めたように進んでいく。

『……罠らしきものはなさそう……?』

 迷宮と言うには異様だな。道には魔物どころか罠一つない……感じだ。

 枝がスルスルと迷宮の奥へと進んでいく。
 途中までは静寂。まるで迷宮そのものが息を潜めているかのような”気味悪さ”。

 ……なんだ? この違和感。
 ()じ切られたせいで、部品がうまく繋がらないような感覚だ……。






 ――そして。

『うお!?』

 奥の部屋で無数の光点が闇を照らす。

 ビキッ……ッッギギギギギギ!!
 という、まるで目覚めるような音が響く。

《反応多数……来ます》

 次の瞬間……奥から雪崩(なだれ)のように魔物たちが押し寄せてくる。

 青いゴブリンや六本足の狼……強そうな魔物が大量に……。

『おいおい! 急にワラワラ出てくんのかよ!』

《初見殺しな配置ですね》

 枝の一本が噛まれ、別の一本が引きちぎられ、触れた壁の罠が初めて起動して毒煙が噴き出す。魔物たちも見境なく攻撃してるせいか、同士討ち紛いもしている。

『はあ? 罠もここにあるのかよ……!』

 痛みは無いが、この魔物たちをどうにかしないと迷宮攻略なんてできないぞ……。

 針で軽く刺されたかのように、チクチクする感触……おもちゃを買って欲しいと泣きわめく子どものようにギャアギャア、グルルロアァと騒ぐ敵……チッ、腹立つなぁ……。

《ここは一度退避を――!?》

『ああああぁぁぁぁ! もう、うざってぇぞ!! てめぇらなんかに時間かけらんねぇんだよ!!』

 怒りのままに、思い切り魔物たちを枝でなぎ倒す。


 ドドドドドドドドドゴドゴドゴドゴゴゴゴーン!!!


 枝攻撃で遥か彼方へ吹き飛ぶ魔物共(モンスターズ)
 目の前で起きた光景に呆れるログさん。
 怒りのままに枝を暴れさせる俺。


『クソが!! レベル上げの要素あったら時間かけねぇんだよ! 失せな! 待ち伏せくらいできるくらい頭が賢くなってから出直して来い! バーカ!』

 俺がそう叫んでいると――――急にステータス画面が映される。



 名前:名無し Lv.15
 種族:神樹……世界樹(ユグドラシル)(幼体)
 称号:神樹の芽生え
 加護:創造神の加護
 技術:なし
 魔法:『樹木魔法』『大地魔法』『精霊魔法』
 耐性:
 ・痛覚無効
 ・自然無効
 ・大地属性無効
 ・水属性耐性
 能力(スキル)
 ・鑑定
 ・念話
 ・再生
 ・枝伸縮
 ・森羅共鳴
 ・魔力感知
 ・配下創造


 ……なんか増えたな。Lvが増えとる。っていうことは?

『鑑定』

 [LEVEL(レベル):一定の経験を積むと数字が増える指標の一つ。――[まだ鑑定できません]]

 なるほど、追加鑑定もできるのか。ふむ、レベルはゲームとほぼ同じようなものだな。
 この「まだ鑑定できません」がちょっと気になるけど……。とりあえず。

『……レベル要素ができた。ということは』

《ということは?》

『レベリングじゃーーーーッ!』

 迷宮の魔物ぶっ飛ばしまくってレベル上げまくってやる!
 さっきの魔物共よ! よかったな俺がなぎ倒しまくってやる!



 このとき、俺はまだ知らなかった。さっきのモンスターが迷宮内で一番強い個体だったことを。
 そして、さっきのが最後の奴らで、魔物狩りでレベリングができないことを。


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次のエピソードへ進む 6.レベルアップ解禁……やり過ぎた


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 供え物の正体が魔剣『|伸縮自在の魔剣《カラドヴォルグ》』と、謎の宝石『|真紅の金剛石《レッドダイヤモンド》』であることが判明したけど……。
『扱えるわけ無いし、とりあえず置いておくか』
 そもそも、魔剣とかの武器類は”手足”がない俺は使えないからな。宝石の方は使えなくもなさそうだったけど、ログさんが秘密にしてるからよくわかんないので放置。
《単に面倒くさいだけなのでは……?》
 えぇぃ、うっさいうっさい! 結局使えないんだから意味ないだろ!
 しかも片方はログさんが隠してるし……!
 ……さて、ほったらかしにしてた伝言ゲームの情報を見て考えるかな。
 結果:
 一、ここは「ヴァルデリン森林」と言い、カルミリス王国という国の領土内。
 人間的には危険度は割と低い。
 二、カルミリス王国は現在、魔物が異常に強いことに悩まされている。
 最近、この近くで|迷宮《ラビリンス》という魔物発生スポットが出てきたことと関係があるのではと噂されている。
 カルミリスに限らず。西側の国も同じ事態に陥っている。
 三、|神樹《おれ》が生まれたことで周り……主にカルミリス王国が騒いでる。
 結構有益そうだな、この情報。
 特にカルミリス王国とやらが苦難に満ちてそうだけど……気になるのは――
 迷宮……ラビリンスだ。
 ダンジョンとは違うのか、という疑問は多少あるが、似たようなものと捉えていいだろ。
 迷宮か、行ってみてぇな――――
 なんて期待を膨らませていると……突如、ピカーン! と閃いた。
『ログさん! 俺、名案を思いついたかもしれん!』
《……なんでしょうか?》
『枝伸ばして|迷宮《ラビリンス》にカチコミに行く!』
《枝はまだ動かせないのでは?》
 フッフッフ……。
 ずっと練習した甲斐あって、かなり枝を操る自由度が上がったんだ!
 チビチビやってたんだぜ? 眠れないから暇あればやってたし、暴発して動物たちに怒られもしたけど、それでも練習し続けたんだ。
 まあはたから見れば『まだ懲りずに練習しとるのかこいつ』程度に思われてただろう。
 ほんっとうに苦労した。まさか手足の如く動かすのに半月かかるとはな。
《視覚はどうするんですか?》
『……植物だから体中目であり耳であるだろ』
《わあそうですね。早速枝を伸ばしましょう》
 ……なんか棒読みな気がするが……まあいい。
『早速、迷宮に枝を伸ばすぞー! まあ……手探りでな』
 どこに|迷宮《ラビリンス》なのかわからん。
《……行き当たりばったりですね》
◆◆◆◆◆◆◆◆◆
 現在、夜……体内時計的に二時くらい。
 ――疲れた、枝伸ばすだけなのに。
 ……迷宮探すのにクッッッッソ時間かかった!
 どこやねん! 岩陰とか洞窟の最奥とか、穴の中とか俺の周り全部探したわ!
 そして、結局場所は森林の入口近く! ふざけんなシンプル故に余計時間かかったんだが!
『――今は迷宮に行く気にならんが、明日の昼から攻略開始しますので、おやすみなさいログさん』
《……マイナーなとこから探すからですよ》
◆◆◆
『よーし、早速攻略始めるぞ!』
《視覚は大丈夫なのですか?》
 フッフーン、そこについても全く問題ないのだよ。
 俺のステータスをちゃんと確認していたとき、見つけたんだ。
 スキル『魔力感知』は、周囲の魔力を感知することで視覚や聴覚を補うことができると、鑑定に書いてあった。
 枝一本でも大丈夫なのかと昨日試したら、予想通り成功! 十分視覚がある――というわけだ。
 だから枝だけ突っ込んでも全くの問題なしなのだ。
 さて、枝を伸ばしまくって内部へ侵入する。
 グングンと植物が急成長を始めたように進んでいく。
『……罠らしきものはなさそう……?』
 迷宮と言うには異様だな。道には魔物どころか罠一つない……感じだ。
 枝がスルスルと迷宮の奥へと進んでいく。
 途中までは静寂。まるで迷宮そのものが息を潜めているかのような”気味悪さ”。
 ……なんだ? この違和感。
 |捩《ね》じ切られたせいで、部品がうまく繋がらないような感覚だ……。
 ――そして。
『うお!?』
 奥の部屋で無数の光点が闇を照らす。
 ビキッ……ッッギギギギギギ!!
 という、まるで目覚めるような音が響く。
《反応多数……来ます》
 次の瞬間……奥から|雪崩《なだれ》のように魔物たちが押し寄せてくる。
 青いゴブリンや六本足の狼……強そうな魔物が大量に……。
『おいおい! 急にワラワラ出てくんのかよ!』
《初見殺しな配置ですね》
 枝の一本が噛まれ、別の一本が引きちぎられ、触れた壁の罠が初めて起動して毒煙が噴き出す。魔物たちも見境なく攻撃してるせいか、同士討ち紛いもしている。
『はあ? 罠もここにあるのかよ……!』
 痛みは無いが、この魔物たちをどうにかしないと迷宮攻略なんてできないぞ……。
 針で軽く刺されたかのように、チクチクする感触……おもちゃを買って欲しいと泣きわめく子どものようにギャアギャア、グルルロアァと騒ぐ敵……チッ、腹立つなぁ……。
《ここは一度退避を――!?》
『ああああぁぁぁぁ! もう、うざってぇぞ!! てめぇらなんかに時間かけらんねぇんだよ!!』
 怒りのままに、思い切り魔物たちを枝でなぎ倒す。
 ドドドドドドドドドゴドゴドゴドゴゴゴゴーン!!!
 枝攻撃で遥か彼方へ吹き飛ぶ|魔物共《モンスターズ》。
 目の前で起きた光景に呆れるログさん。
 怒りのままに枝を暴れさせる俺。
『クソが!! レベル上げの要素あったら時間かけねぇんだよ! 失せな! 待ち伏せくらいできるくらい頭が賢くなってから出直して来い! バーカ!』
 俺がそう叫んでいると――――急にステータス画面が映される。
 名前:名無し Lv.15
 種族:神樹……|世界樹《ユグドラシル》(幼体)
 称号:神樹の芽生え
 加護:創造神の加護
 技術:なし
 魔法:『樹木魔法』『大地魔法』『精霊魔法』
 耐性:
 ・痛覚無効
 ・自然無効
 ・大地属性無効
 ・水属性耐性
 |能力《スキル》:
 ・鑑定
 ・念話
 ・再生
 ・枝伸縮
 ・森羅共鳴
 ・魔力感知
 ・配下創造
 ……なんか増えたな。Lvが増えとる。っていうことは?
『鑑定』
 [|LEVEL《レベル》:一定の経験を積むと数字が増える指標の一つ。――[まだ鑑定できません]]
 なるほど、追加鑑定もできるのか。ふむ、レベルはゲームとほぼ同じようなものだな。
 この「まだ鑑定できません」がちょっと気になるけど……。とりあえず。
『……レベル要素ができた。ということは』
《ということは?》
『レベリングじゃーーーーッ!』
 迷宮の魔物ぶっ飛ばしまくってレベル上げまくってやる!
 さっきの魔物共よ! よかったな俺がなぎ倒しまくってやる!
 このとき、俺はまだ知らなかった。さっきのモンスターが迷宮内で一番強い個体だったことを。
 そして、さっきのが最後の奴らで、魔物狩りでレベリングができないことを。