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第72話 泣き虫魔術師

ー/ー



「そうね」と姫。「聞いてあげるわ。でもその前にあなたの目を見せなさい」

 高規は驚いて姫の顔を見た。
「嘘をつくつもりはない」

「そうじゃないわ。あなた、さっきまで泣いていた顔をしているわ。泣き虫魔術師さん」と姫。「あなた、また誰かにいじめられたのね」

「オレは泣き虫じゃないし、魔術師でもない」と高規。

「あら、そっちが気になるの? いじめられたのは本当なのね」
 姫は意地悪く笑った。

「いじめられてもいない」と高規。

「確かめるわ。目を見せなさい」と姫。

「オレはあんたを偽ったりしない!」
 ここに来た経緯を知られたくない高規は抵抗をした。

「あなた、師匠に逆らう気なの?」
 姫は高規に覆いかぶさるようにして顔を近づけ、目の奥を覗き込んだ。

「何も見えない」
 姫は驚いた顔をした。
「だけど、あなたに悪意はないようね」

「いろいろ事情があったんだ」と高規。

「なるほど、わかったわ」と姫。「あなたは悪い女に捕まったのね。それでひどい目に合ったのでしょう?」

「まあ、そういうことはあった」と高規。「だが、それは本題ではないんだ」



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「そうね」と姫。「聞いてあげるわ。でもその前にあなたの目を見せなさい」
 高規は驚いて姫の顔を見た。
「嘘をつくつもりはない」
「そうじゃないわ。あなた、さっきまで泣いていた顔をしているわ。泣き虫魔術師さん」と姫。「あなた、また誰かにいじめられたのね」
「オレは泣き虫じゃないし、魔術師でもない」と高規。
「あら、そっちが気になるの? いじめられたのは本当なのね」
 姫は意地悪く笑った。
「いじめられてもいない」と高規。
「確かめるわ。目を見せなさい」と姫。
「オレはあんたを偽ったりしない!」
 ここに来た経緯を知られたくない高規は抵抗をした。
「あなた、師匠に逆らう気なの?」
 姫は高規に覆いかぶさるようにして顔を近づけ、目の奥を覗き込んだ。
「何も見えない」
 姫は驚いた顔をした。
「だけど、あなたに悪意はないようね」
「いろいろ事情があったんだ」と高規。
「なるほど、わかったわ」と姫。「あなたは悪い女に捕まったのね。それでひどい目に合ったのでしょう?」
「まあ、そういうことはあった」と高規。「だが、それは本題ではないんだ」