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吐いた嘘 積み重なりて 足元の
影は勝手に 空を仰げり
「愛してる」 言えば影法師 背を向けに
暗い奈落へ 這い出してゆく
鏡見る 私の右と 影の左
違うリズムで 心臓を打つ
街灯が 暴く真実 指先は
笑っているのに 影は震えて
大きすぎ 戻れぬ嘘に 引きずられ
影が主(ぬし)待つ 闇へと消える
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【最初の予兆】
最初の嘘は小さかった。影の指が、ほんの数ミリ、私の意志より早く動いただけだ。それは、かすかな痙攣のように、あるいは小さな裏切りの予感のように。
【夜会の真実】
華やかな夜会。人々が「お変わりありませんね」と微笑み合う中、床の上では影たちが狂ったように踊り、殴り合い、絶望にのたうち回っている。絨毯だけが、彼らの告白を黙って飲み込んでいる。
【鉛の質量】
影は重い。嘘を重ねるほど、それは物理的な質量を持ち、私の踵を掴んで離さない。光が強まれば強まるほど、私の足枷は黒々と、深く沈んでゆく。
【鏡と輪郭】
鏡の中の自分は完璧だ。けれど、鏡を映す光が作る影だけは、私の喉を掻きむしり、飲み込んだはずの真実を吐き出そうともがいている。輪郭が溶けてゆく。
【主客転倒】
ついに影が立ち上がった。彼は私に背を向け、私が決して行かないはずの、光の射さない森へと歩き出す。私は彼の「余白」として、消え入るように付き従うしかない。
* 日記風雑感 *
趣向を変えた構成で。
自分の影が立ちあがって、やがて自分ではない「なにものか」に変わり……
ということを妄想した人は、それなりにいるのでは?
影は影。光を浴びてうつしだされるシルエットは、時に濃く時に薄く、人の動きに合わせてあちらこちらへ動きまわる。
いつもはわすれている影の姿を、時々、不思議な思いに駆られながら見つめ続けて。