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目覚めたら 欠けたまま置く 夢の端
バイクの音が 夕方に来る
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目が覚めた瞬間、胸の奥に小さな穴があいた気がした。
さっきまで、たしかに良い夢を見ていた。誰かと笑っていて、名前を呼ばれて、これから何か大切なことが起きる直前だった――はずなのに、肝心なところで朝の光に引き裂かれた。
思い出せない夢。
もう目は覚めてしまった。
その日の夕方、インターホンが鳴った。
ドアを開けると、ヘルメットを小脇に抱えた配達員が立っていた。年齢不詳、黒いバイク。箱には「夢の続き」とだけ書かれている。
「途中で起きちゃいましたよね」
そう言って、彼は小さな封筒を差し出した。中には、昨夜の夢の残り香みたいな、あたたかい気配が詰まっていた。
目を閉じると、夢はすぐに再開した。
続きは派手じゃなかった。ただ、安心してうなずく自分がいて、静かに一日が終わるだけの場面だった。
目を開けると、配達員はもういない。
バイクの音だけが、夕暮れに溶けていった。
あれ以来、夢の途中で目が覚めても、前ほど悔しくなくなった。
続きを届けてくれる人が、この世界のどこかを走っていると、知ってしまったから。
* 日記風雑感 *
目が覚めた時に、なんで今目が覚めたんだろう、続きが気になりすぎて……ということが、たまにあったり。
私が子供の頃から続けて見ている夢の話。
確かに夢なのですが、夢のなかではゆっくりと時間は流れていて、お店が廃業していたり久しぶりに会った人の髪型が変わっていたりと、夢とは思えない妙なリアルさ。
あれは本当に夢なのかな?
夢だと思ってる私の方が、実は夢の中の人物だったり……
さて。
今日はどんな夢が待っているかな?
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名前だけ 呼ばれて終わる 夢だった
続きは封筒 あたたかく軽い
完成を しなかったから 忘れない
夢は現実より 長く生きる
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