第69話 タイムリープ
ー/ー「泣いてるの?」と瞳。
悠木は何も言わなかった。
「ちょっと待ちなさい」と瞳。
びっこを引いて出ていこうとする悠木を、瑠璃子が立ちふさがって腕をつかんだ。
「まだ用なのか?」と悠木が涙声で答えた。
「気が変わったわ。一つだけ願いをかなえてあげる」と瞳。
「情けならいらない」と悠木。
「一度だけ過去に戻ってやり直させてあげるわ」と瞳。「これなら公平でしょう? あなたは好きな時間に戻ってやり直せる。そしてあなたが異星生物と戦うことを避けられる。あるいは私たちの依頼を断ることもできる」
「そんなことができるのか?」と悠木。
「できるわ」と瞳。「私をだれだと思ってるの?」
「なぜその力をもっと使わない?」と悠木。「オレの人生をやり直すより、もっと有意義な使い方があるだろう」
「この技は簡単には使えないわ。因果を壊してしまうから」と瞳。「だけどあなたにはそれくらいしてあげる義理はあるわ」
「そうか、じゃあ使わせてくれ」と悠木。「記憶を保ったまま行けるんだろうな」
「もちろんよ。どの時間に戻りたいのか決めなさい」と瞳。
「決めたよ」と悠木は涙を袖でぬぐった。
「考えなくてもいいの?」と瞳。「一回きりよ。大事なことなのよ」
「もう決まっているんだ」と悠木。
「なら詳しく教えてちょうだい」と瞳。「ただし多くの人を巻き込むことはできないわよ。いいわね」
「わかってる」と悠木。「オレが本格的にゲート戦争に関わり始める原因になった、弘前騒乱の前夜に戻してくれ」
「私たちの依頼を断るのではないの?」と瞳。
「そんなことじゃない。心残りを無くしておきたいんだ」と悠木。
「どんな心残りなのかしら」と瞳。
「オレはあの時期にある女性と知り合った。その人が参戦に必要な知識と勇気をオレにくれた。だが、騒乱の後、彼女のもとに帰ると彼女は死んでいた。オレはあのとき言うべきだった言葉を言いに行きたい」と悠木。「できるか?」
「あなたは参戦を取り消してその女に会いたいの? それとも自分が参戦しているときに、もう一人の自分としてその女に会いに行きたいのかしら?」と瞳。
「その時代の自分とは別にオレが存在できるのか?」と悠木。
「できるわ。むしろ因果の混乱が少なくて助かるわ」と瞳。「できるだけ世界線を変えたくないのよ」
「ああ、そういうことか」と悠木。「オレはその女性に会いたいだけだ」
「会ってどうするの」と瞳。
「自分の気持ちを伝える」と悠木。
「そう、分かったわ」と瞳。「案外安く済んだわ」
「なら早く頼む」と悠木。
「あなた、その女に手ぶらで会いに行くつもりなの?」と瞳。「欲しいものを言いなさい、用意してあげるわ」
「いいのか?」と悠木。
「なんなりと。お安い御用だわ」と瞳。
「なら指輪を頼む」と悠木。
「分かったわ」と瞳。「ククリ、例のものを持ってきて」
ククリは部屋の奥にある戸棚から小箱を取り出し、瞳に手渡した。
「これを持っていきなさい」と瞳。「これでどんな女でも口説けるわ」
「ありがとう」と悠木は言いながら、箱を少し開けた。中に薄い黄色の光を放つ石の指輪が入っているのを見た。「どれくらいの期間、向こうにいられる?」
「好きなだけいなさい。それでは始めるわ」と瞳。「せいぜい楽しんで来るのよ」
悠木は何も言わなかった。
「ちょっと待ちなさい」と瞳。
びっこを引いて出ていこうとする悠木を、瑠璃子が立ちふさがって腕をつかんだ。
「まだ用なのか?」と悠木が涙声で答えた。
「気が変わったわ。一つだけ願いをかなえてあげる」と瞳。
「情けならいらない」と悠木。
「一度だけ過去に戻ってやり直させてあげるわ」と瞳。「これなら公平でしょう? あなたは好きな時間に戻ってやり直せる。そしてあなたが異星生物と戦うことを避けられる。あるいは私たちの依頼を断ることもできる」
「そんなことができるのか?」と悠木。
「できるわ」と瞳。「私をだれだと思ってるの?」
「なぜその力をもっと使わない?」と悠木。「オレの人生をやり直すより、もっと有意義な使い方があるだろう」
「この技は簡単には使えないわ。因果を壊してしまうから」と瞳。「だけどあなたにはそれくらいしてあげる義理はあるわ」
「そうか、じゃあ使わせてくれ」と悠木。「記憶を保ったまま行けるんだろうな」
「もちろんよ。どの時間に戻りたいのか決めなさい」と瞳。
「決めたよ」と悠木は涙を袖でぬぐった。
「考えなくてもいいの?」と瞳。「一回きりよ。大事なことなのよ」
「もう決まっているんだ」と悠木。
「なら詳しく教えてちょうだい」と瞳。「ただし多くの人を巻き込むことはできないわよ。いいわね」
「わかってる」と悠木。「オレが本格的にゲート戦争に関わり始める原因になった、弘前騒乱の前夜に戻してくれ」
「私たちの依頼を断るのではないの?」と瞳。
「そんなことじゃない。心残りを無くしておきたいんだ」と悠木。
「どんな心残りなのかしら」と瞳。
「オレはあの時期にある女性と知り合った。その人が参戦に必要な知識と勇気をオレにくれた。だが、騒乱の後、彼女のもとに帰ると彼女は死んでいた。オレはあのとき言うべきだった言葉を言いに行きたい」と悠木。「できるか?」
「あなたは参戦を取り消してその女に会いたいの? それとも自分が参戦しているときに、もう一人の自分としてその女に会いに行きたいのかしら?」と瞳。
「その時代の自分とは別にオレが存在できるのか?」と悠木。
「できるわ。むしろ因果の混乱が少なくて助かるわ」と瞳。「できるだけ世界線を変えたくないのよ」
「ああ、そういうことか」と悠木。「オレはその女性に会いたいだけだ」
「会ってどうするの」と瞳。
「自分の気持ちを伝える」と悠木。
「そう、分かったわ」と瞳。「案外安く済んだわ」
「なら早く頼む」と悠木。
「あなた、その女に手ぶらで会いに行くつもりなの?」と瞳。「欲しいものを言いなさい、用意してあげるわ」
「いいのか?」と悠木。
「なんなりと。お安い御用だわ」と瞳。
「なら指輪を頼む」と悠木。
「分かったわ」と瞳。「ククリ、例のものを持ってきて」
ククリは部屋の奥にある戸棚から小箱を取り出し、瞳に手渡した。
「これを持っていきなさい」と瞳。「これでどんな女でも口説けるわ」
「ありがとう」と悠木は言いながら、箱を少し開けた。中に薄い黄色の光を放つ石の指輪が入っているのを見た。「どれくらいの期間、向こうにいられる?」
「好きなだけいなさい。それでは始めるわ」と瞳。「せいぜい楽しんで来るのよ」
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