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ep91 魔法剣(シヒロ視点)

ー/ー



「カレン隊長! そんなどこの馬の骨ともわからない連中に隊長自ら頼みこむなんて!」
「そうですよ!」

 ここで二人の男性兵士が駆けつけて来ました。
 
「オイお前ら! これは国際平和維持軍の命令だ!」
「お前らは黙ってカレン隊長の言うとおりにすればいいんだ」

 兵士たちは高圧的な態度で言ってきました。これにはトレブルさんとブーストさんがカチンときます。

「ああ? なんだその言い方は?」
「そんなふうに言われる筋合いはねえぜ」

 二人は兵士たちとバチバチにメンチを切り合います。そんな時です。
 魔法剣士さまの登場でいったん警戒して様子をうかがっていた上空の鳥獣たちが、
「ギィエェェェェ!!」
 例のおぞましい咆哮をやかましく張り上げました。次の瞬間、一頭の鳥獣がこちらへ向かい獰猛な鉤爪を立てて凄まじい勢いで降下してきました。

「隊長!」
「カレン隊長!」
「お前達は退がれ! 私が対処する!」
 
 魔法剣士さまが一歩前に出て、剣を構えました。
 ガギィィィン!
 鉤爪と剣が交錯します。魔法剣士さまの身体は何事もなかったかのように微動だにしません。鳥獣は魔法剣士さまの剣で弾かれた格好となり、再びぐんと上昇していきます。

「お、おい、ブースト。お前が固有技能を使って弾くのにやっとだったのをあの女隊長は……」
「ああ。まるで意に介しちゃいねえ……」

 トレブルさんとブーストさんは感心するというより冷や汗を滲ませました。とその時です。

「深淵なる万物万象の源泉よ。我が劤と為り、彼の者を燃やし尽くし給へ〔アルカーナ・フランマ〕」

 魔法剣士さまが魔法を唱えました。直後、ぼくは目を見張ります。

「け、剣が?」

 なんと、魔法剣士さまの手にある剣の刃に、メラメラと炎が点ったのです!
 しかし驚いている暇もありません。

「ギィエェェェェ!」

 またしても鳥獣はやかましく吠え立てながら、ぎゅんと急降下してきます。人間などいとも簡単に殺生しうるであろう危険な鉤爪が頭上からガァァァッと魔法剣士さまに迫ります。
 魔法剣士さまの双眼がキラッと光りました。そして炎の剣が振り抜かれました。

「固有技能〔魔動炎閃〕」

 ゴオォォォォッと炎風が舞い上がると同時に鳥獣の脚がズバァッと斬り払われると、そのまま鳥獣の全身が猛き炎に包まれます。

「ギャアァァァァァッ!!」

 それは威嚇の咆哮じゃない。まさしく断末魔の叫び!
 魔物は炎に焼かれながら宙空で痛ましくのたうち回ったあげく「ギ、ギィィィ……」と力尽きて地面にズゥーンと沈みました。

「一撃!?」
「す、スゲェ!」
「とんでもねえぞあの女隊長!」

 仰天するぼくたち三人へ向かい、魔法剣士さまの部下二人がドヤ顔を決めます。

「カレン隊長にかかればこんなもんだ」
「あんなもんまだまだ全然本気ではないぞ隊長は」

 魔法剣士さまは魔物が息絶えたのを確認すると、クルッとぼくらへ振り返ります。

「お前たちは私とともに来い」

 この瞬間、トレブルさんとブーストさんが諦めて肩を落としました。
 魔法剣士さまはまず部下二人に指示を出し、彼らを別の場所へ向かわせました。それからぼくらを手招きすると、歩き出します。

「行くぞ」

 トレブルさんとブーストさんは嘆息を漏らしますが、ぼくはワクワクします。だって、あの勇者様の妹君の魔法剣士さまに同行できるんだよ? こんな機会滅多にない!


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「カレン隊長! そんなどこの馬の骨ともわからない連中に隊長自ら頼みこむなんて!」
「そうですよ!」
 ここで二人の男性兵士が駆けつけて来ました。
「オイお前ら! これは国際平和維持軍の命令だ!」
「お前らは黙ってカレン隊長の言うとおりにすればいいんだ」
 兵士たちは高圧的な態度で言ってきました。これにはトレブルさんとブーストさんがカチンときます。
「ああ? なんだその言い方は?」
「そんなふうに言われる筋合いはねえぜ」
 二人は兵士たちとバチバチにメンチを切り合います。そんな時です。
 魔法剣士さまの登場でいったん警戒して様子をうかがっていた上空の鳥獣たちが、
「ギィエェェェェ!!」
 例のおぞましい咆哮をやかましく張り上げました。次の瞬間、一頭の鳥獣がこちらへ向かい獰猛な鉤爪を立てて凄まじい勢いで降下してきました。
「隊長!」
「カレン隊長!」
「お前達は退がれ! 私が対処する!」
 魔法剣士さまが一歩前に出て、剣を構えました。
 ガギィィィン!
 鉤爪と剣が交錯します。魔法剣士さまの身体は何事もなかったかのように微動だにしません。鳥獣は魔法剣士さまの剣で弾かれた格好となり、再びぐんと上昇していきます。
「お、おい、ブースト。お前が固有技能を使って弾くのにやっとだったのをあの女隊長は……」
「ああ。まるで意に介しちゃいねえ……」
 トレブルさんとブーストさんは感心するというより冷や汗を滲ませました。とその時です。
「深淵なる万物万象の源泉よ。我が劤と為り、彼の者を燃やし尽くし給へ〔アルカーナ・フランマ〕」
 魔法剣士さまが魔法を唱えました。直後、ぼくは目を見張ります。
「け、剣が?」
 なんと、魔法剣士さまの手にある剣の刃に、メラメラと炎が点ったのです!
 しかし驚いている暇もありません。
「ギィエェェェェ!」
 またしても鳥獣はやかましく吠え立てながら、ぎゅんと急降下してきます。人間などいとも簡単に殺生しうるであろう危険な鉤爪が頭上からガァァァッと魔法剣士さまに迫ります。
 魔法剣士さまの双眼がキラッと光りました。そして炎の剣が振り抜かれました。
「固有技能〔魔動炎閃〕」
 ゴオォォォォッと炎風が舞い上がると同時に鳥獣の脚がズバァッと斬り払われると、そのまま鳥獣の全身が猛き炎に包まれます。
「ギャアァァァァァッ!!」
 それは威嚇の咆哮じゃない。まさしく断末魔の叫び!
 魔物は炎に焼かれながら宙空で痛ましくのたうち回ったあげく「ギ、ギィィィ……」と力尽きて地面にズゥーンと沈みました。
「一撃!?」
「す、スゲェ!」
「とんでもねえぞあの女隊長!」
 仰天するぼくたち三人へ向かい、魔法剣士さまの部下二人がドヤ顔を決めます。
「カレン隊長にかかればこんなもんだ」
「あんなもんまだまだ全然本気ではないぞ隊長は」
 魔法剣士さまは魔物が息絶えたのを確認すると、クルッとぼくらへ振り返ります。
「お前たちは私とともに来い」
 この瞬間、トレブルさんとブーストさんが諦めて肩を落としました。
 魔法剣士さまはまず部下二人に指示を出し、彼らを別の場所へ向かわせました。それからぼくらを手招きすると、歩き出します。
「行くぞ」
 トレブルさんとブーストさんは嘆息を漏らしますが、ぼくはワクワクします。だって、あの勇者様の妹君の魔法剣士さまに同行できるんだよ? こんな機会滅多にない!