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第66話 ゴシップ

ー/ー



「ところであなた、桐子が連れて行った分身の話を聞きたくないかしら?」と瞳。

「いや別に」と悠木。「もう疲れたよ。話は少しじゃなかったのか?」

「まだ少ししか時間がたってないわ」と瞳。「ねえ瑠璃子さん」

「そうよ、まだわたくし、何もしゃべっておりませんことよ」と瑠璃子。

「わかりました」と悠木。「それで、桐子姉さんが連れて行ったぼくの分身がどうなったのでしょうか、瑠璃子殿下」

「殿下はよしてちょうだい」と瑠璃子。

「瑠璃子さま」と悠木。

「だめよ」と瑠璃子。

「瑠璃子さん」と悠木。

「私のことは瑠璃子でいいわ」と瑠璃子。

「姉を呼び捨てにしてる気分ですよ」と悠木。

「なら瑠璃子姉さんでも許すわ」と瑠璃子。「とにかくよそよそしい呼び方はしないで」

「わかりました、瑠璃子お姉さん」と悠木。

「まあいいわ」と瑠璃子。「それでね、桐子さんとあなたの分身のことだけど、とっても興味深いことになっているのよ」

「うれしそうですね」と悠木。「ゴシップですか?」

「あの二人、結婚しちゃったのよ」と瑠璃子。

「え?」
 悠木は言葉を失った。

「奥之宮に新しいお宮を建てて新婚生活してるのよ」と瑠璃子。

「どういうことでしょうか?」と悠木。

「黒魚之風大神っていう神様になって奥之宮の主祭神として祭られてるの」と瑠璃子。「そこで二人きりで仲良く暮らしてるって」

「にわかには信じられませんが……」と悠木。

「本当よ」と瑠璃子。「昨日、恵子ちゃんとサキちゃんがここに訪ねてきてくれたの。それで詳しく教えてくれたのよ」

「ただの噂話では?」と悠木。

「恵子ちゃんとサキちゃんが証人として結婚式に参加したそうよ」と瑠璃子。「だから噂話じゃないわ」

「招待客はいたのでしょうか?」と悠木。

「本人たちと証人の二人だけだったそうよ。あとはお宮の神職と巫女だけ」と瑠璃子。「ちなみに、あなたの分身と恵子ちゃん達には直前まで結婚式だということは内緒にしてたそうよ」

「ちょっと許せないわ」
 瑠璃子は眉間にしわを寄せた。

「おそらく桐子姉さんが得意な、だまし討ち的な方法ではないでしょうか」と悠木。「瑠璃子姉さんが招待されなかったのは事情があったのかと思います」

「そんなことじゃないわ」と瑠璃子。「先を越されちゃったってことよ」

「へ?」と悠木。

 瞳が悠木の横からもたれかかるようにして顔を近づけてきた。

「あなた、分かってないわね」と瞳。「分裂した四人のうちの第一分身体は私を置いてきぼりにして特別攻撃作戦に出撃した。第二分身体は桐子と結婚。第四分身体は女王と元のさやに納まった。第三分身体のあなたはどうなるのでしょうね」



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「ところであなた、桐子が連れて行った分身の話を聞きたくないかしら?」と瞳。
「いや別に」と悠木。「もう疲れたよ。話は少しじゃなかったのか?」
「まだ少ししか時間がたってないわ」と瞳。「ねえ瑠璃子さん」
「そうよ、まだわたくし、何もしゃべっておりませんことよ」と瑠璃子。
「わかりました」と悠木。「それで、桐子姉さんが連れて行ったぼくの分身がどうなったのでしょうか、瑠璃子殿下」
「殿下はよしてちょうだい」と瑠璃子。
「瑠璃子さま」と悠木。
「だめよ」と瑠璃子。
「瑠璃子さん」と悠木。
「私のことは瑠璃子でいいわ」と瑠璃子。
「姉を呼び捨てにしてる気分ですよ」と悠木。
「なら瑠璃子姉さんでも許すわ」と瑠璃子。「とにかくよそよそしい呼び方はしないで」
「わかりました、瑠璃子お姉さん」と悠木。
「まあいいわ」と瑠璃子。「それでね、桐子さんとあなたの分身のことだけど、とっても興味深いことになっているのよ」
「うれしそうですね」と悠木。「ゴシップですか?」
「あの二人、結婚しちゃったのよ」と瑠璃子。
「え?」
 悠木は言葉を失った。
「奥之宮に新しいお宮を建てて新婚生活してるのよ」と瑠璃子。
「どういうことでしょうか?」と悠木。
「黒魚之風大神っていう神様になって奥之宮の主祭神として祭られてるの」と瑠璃子。「そこで二人きりで仲良く暮らしてるって」
「にわかには信じられませんが……」と悠木。
「本当よ」と瑠璃子。「昨日、恵子ちゃんとサキちゃんがここに訪ねてきてくれたの。それで詳しく教えてくれたのよ」
「ただの噂話では?」と悠木。
「恵子ちゃんとサキちゃんが証人として結婚式に参加したそうよ」と瑠璃子。「だから噂話じゃないわ」
「招待客はいたのでしょうか?」と悠木。
「本人たちと証人の二人だけだったそうよ。あとはお宮の神職と巫女だけ」と瑠璃子。「ちなみに、あなたの分身と恵子ちゃん達には直前まで結婚式だということは内緒にしてたそうよ」
「ちょっと許せないわ」
 瑠璃子は眉間にしわを寄せた。
「おそらく桐子姉さんが得意な、だまし討ち的な方法ではないでしょうか」と悠木。「瑠璃子姉さんが招待されなかったのは事情があったのかと思います」
「そんなことじゃないわ」と瑠璃子。「先を越されちゃったってことよ」
「へ?」と悠木。
 瞳が悠木の横からもたれかかるようにして顔を近づけてきた。
「あなた、分かってないわね」と瞳。「分裂した四人のうちの第一分身体は私を置いてきぼりにして特別攻撃作戦に出撃した。第二分身体は桐子と結婚。第四分身体は女王と元のさやに納まった。第三分身体のあなたはどうなるのでしょうね」