サラリーマンがビルのロビーでエレベーターを待っていた。
「なかなか来ないな」
時計をちらりと見て、ため息をつく。
何分待ったのか分からないほど遅いエレベーターに、イライラが募る。
——チン
ようやくエレベーターが到着。
サラリーマンが安堵の表情で乗り込もうとしたその瞬間——
——ギュムギュム!
「残ったああああぁ!残った!残った!残ったあああぁ!」
狭いエレベーター内で、巨大な力士とスモウスーツを着たエリシアが押し合いをしているではないか。
肉の塊のような力士の背中に埋もれながら、行事が必死に声を張り上げる。
「……」
呆然とするサラリーマン。
「ふんぬ!」
「残ったあああ!」
エリシアが力士を押し返そうとするが、エレベーターの狭さゆえに、どちらも一歩も動かない。
(いや……残りすぎだろ)
呆れたサラリーマンが見つめる中、エレベーターはそのまま扉を閉じ、上へ向かっていった。
「……階段使うか」
静かに呟き、サラリーマンは別の道を選んだ。