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ep89 魔法剣士(シヒロ視点)

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「勇者軍と女騎士の隊長……」

 勇者軍といっても現れたのは少人数の兵士たちです。しかし天下の魔法剣士さまの登場とあって、さすがの〔フリーダム〕もジリジリと後退り始めます。が、間もなくバッと蜘蛛の子を散らすように連中は方々へ散っていきました。

「逃がすな!」

 即座に勇者軍が勇猛に叫ぶと、その場に魔法剣士さまを含めた三人だけを残し、兵士たちは連中の後を追って飛び出します。
 それを見計らっていたかのように上空の魔物たちが、ゾッとするほどにおぞましく不快な声でけたたましく咆哮しました。

「ギィエェェェェ!!」

 ぼくは思わず恐怖にすくみます。

「ひ、ひぃぃ!」

「嬢ちゃん!」

 そのタイミングでトレブルさんとブーストさんが駆けつけてくれました。

「トレブルさん、ブーストさん」

「嬢ちゃん! ここからは勇者軍とフリーダムと魔物どもで街は戦場になる! おれたちはとっととズラかるぞ!」

「で、でも、クローさんは? クローさんは街を襲うフリーダムを放ってはおかないはずです!」

「いいか嬢ちゃん? あの女隊長がどんなヤツかわかるか?」

 ブーストさんが倒れている老人を起こしながら問うてきます。

「カレンさん…ですか?」

「さっき嬢ちゃんのことを助けた技…ありゃあ〔発閃〕だ」

「それって、クローさんもやっていた技ですよね?」

「それがよ、嬢ちゃん。さっきのあれは、おそらくダンナのよりもスゲぇ」

 トレブルさんが驚きを隠せないといった表情を浮かべました。

「クローさんよりも、ですか?」

「嬢ちゃんに襲いかかった複数の敵に対してほとんど同時に複数の〔発閃〕を放ちやがった。おそらく、あの女隊長は溜めも予備動作も無しに〔発閃〕を撃つことができるんだろう。あんなことができる剣士は世界中を探したって数えるほどしかいねえはずだ」

「そ、そんなにスゴイんですか」

「ダンナもアレとの接触は避けてえはずだ。それに、ダンナからしてみれば自らの敵であるフリーダムと勇者軍がやり合ってくれるのは好都合だろう。わざわざこの中に混じっていくメリットもねえ」

「つまり脱出して待っていればクローさんもすぐに合流してくると?」

「そういうこった。だからさっさとこの場からズラかるぜ!」

 トレブルさんがそう言ってぼくらが動きだそうとすると、予想外の邪魔が入ってきました。

「そこのお前達!」

 なんと魔法剣士さまがぼくたちを呼び止めてきたのです。


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「勇者軍と女騎士の隊長……」
 勇者軍といっても現れたのは少人数の兵士たちです。しかし天下の魔法剣士さまの登場とあって、さすがの〔フリーダム〕もジリジリと後退り始めます。が、間もなくバッと蜘蛛の子を散らすように連中は方々へ散っていきました。
「逃がすな!」
 即座に勇者軍が勇猛に叫ぶと、その場に魔法剣士さまを含めた三人だけを残し、兵士たちは連中の後を追って飛び出します。
 それを見計らっていたかのように上空の魔物たちが、ゾッとするほどにおぞましく不快な声でけたたましく咆哮しました。
「ギィエェェェェ!!」
 ぼくは思わず恐怖にすくみます。
「ひ、ひぃぃ!」
「嬢ちゃん!」
 そのタイミングでトレブルさんとブーストさんが駆けつけてくれました。
「トレブルさん、ブーストさん」
「嬢ちゃん! ここからは勇者軍とフリーダムと魔物どもで街は戦場になる! おれたちはとっととズラかるぞ!」
「で、でも、クローさんは? クローさんは街を襲うフリーダムを放ってはおかないはずです!」
「いいか嬢ちゃん? あの女隊長がどんなヤツかわかるか?」
 ブーストさんが倒れている老人を起こしながら問うてきます。
「カレンさん…ですか?」
「さっき嬢ちゃんのことを助けた技…ありゃあ〔発閃〕だ」
「それって、クローさんもやっていた技ですよね?」
「それがよ、嬢ちゃん。さっきのあれは、おそらくダンナのよりもスゲぇ」
 トレブルさんが驚きを隠せないといった表情を浮かべました。
「クローさんよりも、ですか?」
「嬢ちゃんに襲いかかった複数の敵に対してほとんど同時に複数の〔発閃〕を放ちやがった。おそらく、あの女隊長は溜めも予備動作も無しに〔発閃〕を撃つことができるんだろう。あんなことができる剣士は世界中を探したって数えるほどしかいねえはずだ」
「そ、そんなにスゴイんですか」
「ダンナもアレとの接触は避けてえはずだ。それに、ダンナからしてみれば自らの敵であるフリーダムと勇者軍がやり合ってくれるのは好都合だろう。わざわざこの中に混じっていくメリットもねえ」
「つまり脱出して待っていればクローさんもすぐに合流してくると?」
「そういうこった。だからさっさとこの場からズラかるぜ!」
 トレブルさんがそう言ってぼくらが動きだそうとすると、予想外の邪魔が入ってきました。
「そこのお前達!」
 なんと魔法剣士さまがぼくたちを呼び止めてきたのです。