ep88 救世主、現る(シヒロ視点)
ー/ー とにかくぼくたちは一早く避難へと足を動かします。しかし繰り返される爆発音が無数の方向から危険に届いてきます。ぼくたちの進むべき方向は混迷します。
「これは…ブースト、あれだぜ!」
「ああ、トレブル。多分そうだ!」
トレブルさんとブーストさんが額に汗を滲ませながら何やら確信しました。
「この爆発がなにか、わかるんですか??」
ぼくは間髪入れず尋ねます。トレブルさんとブーストさんが頷きました。
「嬢ちゃん。これはキラースの爆破魔術だ!」
「奴の魔術の仕組みはわからねえが、キラースは今までこれでどれだけの人間を殺生してきたか知れねえってハナシだ。この調子じゃ今日も相当になるだろーぜ。もちろんおれたちも他人事じゃねえ!」
トレブルさんとブーストさんがそう話した矢先です。
ドガァァァン!
走っているぼくたちのすぐ側の建物が爆発しました。あたりに煙と破片が飛び乱れます。
「嬢ちゃん! 止まるな!」
「走り抜けるぜ!」
「は、はい!」
ぼくたちをはじめ付近にいる全員が一斉に恐怖と混乱で乱れ散っていきます。しかしその中でひとり、転んでしまって動けずにいる老人がぼくの目に留まりました。
「あのひと!」
咄嗟にぼくはハンドルを切って老人に駆け寄っていきました。
「オイ嬢ちゃん!」
「なにしてんだ!?」
トレブルさんとブーストさんが怒鳴り声を上げましたが、ぼくは老人に向かい手を差し伸べます。
「き、君は? ワシなんぞに構わず早く逃げたまえ」
老人はむしろ困惑していましたが、ぼくに迷いはありません。
「そんなわけにいきません! 大丈夫です! さあ立ち上がってください!」
その時です。地面にぬっと大きな影がかかり、ハッとしてぼくは上空を見上げます。
「ま、魔物の上から……人が!?」
高度を下げてきた巨大な鳥獣たちの上から、複数の者たちがバラバラと飛び降りて来たのです。〔フリーダム〕の空襲部隊です。
「チッ! 伏せろ嬢ちゃん! 固有技能〔ウィザードリィ・ナイフ〕」
トレブルさんがその者たちに向かい魔力を帯びたナイフをびゅんと鋭く投げ放ちました。
「うっ!」
とはいえ投じたのは一本。一人の者には見事に命中しましたが、他の者は問題なく着地します。さらに、トレブルさんの攻撃に反応した一体の鳥獣が、獰猛な鉤爪を立ててトレブルさんに向かい急降下します。マズイ!
「トレブルさぁぁん!!」
スガァァァンという音とともに土煙がブワッと舞い上がります。トレブルさんがやられてしまった…と思いきやです。
「固有技能〔ウィザードリィアックス〕。なんとか弾いたぜ……」
ブーストさんが、魔力を帯びた鈍器攻撃を鳥獣の鉤爪攻撃にかち合わせ、見事に弾いたのです。ブーストさんのパワー、スゴイ!
「くっ……!」
しかしながらいささか分が悪かったのでしょうか。ブーストさんはガクッと膝をつきました。しかし人の心配をしている暇はありません。気がつけばぼくの周りには複数の〔フリーダム〕の連中が、ぬらりと立っています。
「おまえ……魔剣使いと一緒にいた子どもだな?」
一人の剣を持った仮面の者が脅すように質問してきました。
「えっ?」
ぼくは背筋が凍ります。どうやらぼくのことも敵方へ割れてしまっているようです。
「おまえ……魔剣使いの代わりに死ね!」
仮面の者たちが一斉に襲いかかってきました。
「嬢ちゃん!」
トレブルさんが叫びました。体勢を崩していたトレブルさんは間に合いそうもありません。ブーストさんはガクンと膝をついたままです。
「や、やられる……」
ぼくが諦めかけた時です。今にも飛びかからんと迫る仮面の人たちが、
ザンッ
という音とともに僅かな残像だけを残して、突然フッと視界から消え失せたのです。転瞬、
ズガァァン!
と近くの建物の壁から激突音が鳴りました。
「い、いきなり…吹っ飛んでいった??」
仮面の者たちは、何かの衝撃に見舞われ、一瞬の内にぼくの目の前からいなくなったのです。何事かわからないぼくは茫然としますが、すぐに我に返ります。
「そこまでだ! フリーダムの悪党どもめ!」
雄々しく凛々しい正義感に満ちた女性の声が高潔に響き渡りました。ぼくらは声の方向に一斉に顔を向けます。
「あ、あれは!」
「国際平和維持軍だ!」
「勇者軍が来てくれた!」
そこには、十数名の兵士が立ち並んでいました。その中の、美しい紅色の長髪をなびかせた隊長らしき女性剣士が一歩前へ出てきます。
「私はカレン・ホールズワース。国際平和維持軍特別部隊隊長だ。すでにこの街の方々へ我が部隊が展開している。我々勇者軍が来たからにはもう大丈夫だ!」
ぼくは目を丸くしてその人を凝視しました。
カレン・ホールズワース。ぼくでも聞いたことがあるこの名は……そうだ。あの勇者様の妹君の、美しき魔法剣士さまだ!
「これは…ブースト、あれだぜ!」
「ああ、トレブル。多分そうだ!」
トレブルさんとブーストさんが額に汗を滲ませながら何やら確信しました。
「この爆発がなにか、わかるんですか??」
ぼくは間髪入れず尋ねます。トレブルさんとブーストさんが頷きました。
「嬢ちゃん。これはキラースの爆破魔術だ!」
「奴の魔術の仕組みはわからねえが、キラースは今までこれでどれだけの人間を殺生してきたか知れねえってハナシだ。この調子じゃ今日も相当になるだろーぜ。もちろんおれたちも他人事じゃねえ!」
トレブルさんとブーストさんがそう話した矢先です。
ドガァァァン!
走っているぼくたちのすぐ側の建物が爆発しました。あたりに煙と破片が飛び乱れます。
「嬢ちゃん! 止まるな!」
「走り抜けるぜ!」
「は、はい!」
ぼくたちをはじめ付近にいる全員が一斉に恐怖と混乱で乱れ散っていきます。しかしその中でひとり、転んでしまって動けずにいる老人がぼくの目に留まりました。
「あのひと!」
咄嗟にぼくはハンドルを切って老人に駆け寄っていきました。
「オイ嬢ちゃん!」
「なにしてんだ!?」
トレブルさんとブーストさんが怒鳴り声を上げましたが、ぼくは老人に向かい手を差し伸べます。
「き、君は? ワシなんぞに構わず早く逃げたまえ」
老人はむしろ困惑していましたが、ぼくに迷いはありません。
「そんなわけにいきません! 大丈夫です! さあ立ち上がってください!」
その時です。地面にぬっと大きな影がかかり、ハッとしてぼくは上空を見上げます。
「ま、魔物の上から……人が!?」
高度を下げてきた巨大な鳥獣たちの上から、複数の者たちがバラバラと飛び降りて来たのです。〔フリーダム〕の空襲部隊です。
「チッ! 伏せろ嬢ちゃん! 固有技能〔ウィザードリィ・ナイフ〕」
トレブルさんがその者たちに向かい魔力を帯びたナイフをびゅんと鋭く投げ放ちました。
「うっ!」
とはいえ投じたのは一本。一人の者には見事に命中しましたが、他の者は問題なく着地します。さらに、トレブルさんの攻撃に反応した一体の鳥獣が、獰猛な鉤爪を立ててトレブルさんに向かい急降下します。マズイ!
「トレブルさぁぁん!!」
スガァァァンという音とともに土煙がブワッと舞い上がります。トレブルさんがやられてしまった…と思いきやです。
「固有技能〔ウィザードリィアックス〕。なんとか弾いたぜ……」
ブーストさんが、魔力を帯びた鈍器攻撃を鳥獣の鉤爪攻撃にかち合わせ、見事に弾いたのです。ブーストさんのパワー、スゴイ!
「くっ……!」
しかしながらいささか分が悪かったのでしょうか。ブーストさんはガクッと膝をつきました。しかし人の心配をしている暇はありません。気がつけばぼくの周りには複数の〔フリーダム〕の連中が、ぬらりと立っています。
「おまえ……魔剣使いと一緒にいた子どもだな?」
一人の剣を持った仮面の者が脅すように質問してきました。
「えっ?」
ぼくは背筋が凍ります。どうやらぼくのことも敵方へ割れてしまっているようです。
「おまえ……魔剣使いの代わりに死ね!」
仮面の者たちが一斉に襲いかかってきました。
「嬢ちゃん!」
トレブルさんが叫びました。体勢を崩していたトレブルさんは間に合いそうもありません。ブーストさんはガクンと膝をついたままです。
「や、やられる……」
ぼくが諦めかけた時です。今にも飛びかからんと迫る仮面の人たちが、
ザンッ
という音とともに僅かな残像だけを残して、突然フッと視界から消え失せたのです。転瞬、
ズガァァン!
と近くの建物の壁から激突音が鳴りました。
「い、いきなり…吹っ飛んでいった??」
仮面の者たちは、何かの衝撃に見舞われ、一瞬の内にぼくの目の前からいなくなったのです。何事かわからないぼくは茫然としますが、すぐに我に返ります。
「そこまでだ! フリーダムの悪党どもめ!」
雄々しく凛々しい正義感に満ちた女性の声が高潔に響き渡りました。ぼくらは声の方向に一斉に顔を向けます。
「あ、あれは!」
「国際平和維持軍だ!」
「勇者軍が来てくれた!」
そこには、十数名の兵士が立ち並んでいました。その中の、美しい紅色の長髪をなびかせた隊長らしき女性剣士が一歩前へ出てきます。
「私はカレン・ホールズワース。国際平和維持軍特別部隊隊長だ。すでにこの街の方々へ我が部隊が展開している。我々勇者軍が来たからにはもう大丈夫だ!」
ぼくは目を丸くしてその人を凝視しました。
カレン・ホールズワース。ぼくでも聞いたことがあるこの名は……そうだ。あの勇者様の妹君の、美しき魔法剣士さまだ!
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