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芸術展

ー/ー



 エリシアはある日、話題の芸術展を訪れていた。



 広い会場に並ぶ数々のアート作品を見ながら、彼女はふと足を止める。



「バナナ……壁に貼ってるだけですわね。」



 目の前には、ただの壁に貼られた一本のバナナ。
 それでも、これが近代美術というものだ。

 さらに、不可解な形をした金属の塊のアートや、どこにでもありそうな土手の写真が並んでいる。その説明プレートには「数億で落札」と記されていた。



 そして、エリシアが目を向けた瞬間、隣の作品に異変が起こる。



 購入が決定した絵が、額縁に内蔵されたシュレッダーで突然バラバラにされていく。驚く観客のどよめきが会場に広がる中、エリシアは呆れたような微笑みを浮かべた。



「……まあ、これが芸術ですのね。」



 ふと足元を見ると、くしゃくしゃになったタバコの空箱のようなものが落ちていた。



 エリシアは少し足を止め、その箱をマジマジと見つめる。



「……ゴミ?いえ、何か意味があるのかしら?」



 しばらく考えた後、彼女は思い出したように呟いた。



「そういえば、最近はタバコの害が明らかになって、脱タバコの流れがあるんですのよね。」



 街中や文化イベントなどで、禁煙啓発のポスターや広告を目にすることが増えている。芸術界隈でも、タバコそのものをテーマにした作品が増えたという話をどこかで耳にしていた。



「これもその一環かしら……?」



 エリシアは落ちている箱をよく見ると、それはどうやらマルボロの空箱のようだった。

 彼女はそれを見て、マルボロのパッケージにまつわるある都市伝説を思い出す。



「確か……あのロゴやデザインには、秘密のメッセージが隠されているとか、陰謀論めいた話がありましたわね。」



 そんなことを考えながら、エリシアは再び目の前の「作品」を見渡す。

 壁に貼り付けられたバナナが芸術として評価されている以上、床に置かれたこの空箱も同様の価値を持つ可能性がある。



 エリシアがマルボロの空箱に釘付けになっていると——



 ——カラン



 軽い音と共に、清掃員が現れた。



「ったく、ポイ捨てなんかしてんじゃねえよ。」



 清掃員は毒づきながら、無造作にその空箱を拾い上げ、ゴミ箱に放り投げた。



 ——ポスン



 その様子を見ていたエリシアは、思わず間抜けな声を漏らした。



「え。」



 彼女はしばらくその場に立ち尽くしていた。



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 エリシアはある日、話題の芸術展を訪れていた。
 広い会場に並ぶ数々のアート作品を見ながら、彼女はふと足を止める。
「バナナ……壁に貼ってるだけですわね。」
 目の前には、ただの壁に貼られた一本のバナナ。
 それでも、これが近代美術というものだ。
 さらに、不可解な形をした金属の塊のアートや、どこにでもありそうな土手の写真が並んでいる。その説明プレートには「数億で落札」と記されていた。
 そして、エリシアが目を向けた瞬間、隣の作品に異変が起こる。
 購入が決定した絵が、額縁に内蔵されたシュレッダーで突然バラバラにされていく。驚く観客のどよめきが会場に広がる中、エリシアは呆れたような微笑みを浮かべた。
「……まあ、これが芸術ですのね。」
 ふと足元を見ると、くしゃくしゃになったタバコの空箱のようなものが落ちていた。
 エリシアは少し足を止め、その箱をマジマジと見つめる。
「……ゴミ?いえ、何か意味があるのかしら?」
 しばらく考えた後、彼女は思い出したように呟いた。
「そういえば、最近はタバコの害が明らかになって、脱タバコの流れがあるんですのよね。」
 街中や文化イベントなどで、禁煙啓発のポスターや広告を目にすることが増えている。芸術界隈でも、タバコそのものをテーマにした作品が増えたという話をどこかで耳にしていた。
「これもその一環かしら……?」
 エリシアは落ちている箱をよく見ると、それはどうやらマルボロの空箱のようだった。
 彼女はそれを見て、マルボロのパッケージにまつわるある都市伝説を思い出す。
「確か……あのロゴやデザインには、秘密のメッセージが隠されているとか、陰謀論めいた話がありましたわね。」
 そんなことを考えながら、エリシアは再び目の前の「作品」を見渡す。
 壁に貼り付けられたバナナが芸術として評価されている以上、床に置かれたこの空箱も同様の価値を持つ可能性がある。
 エリシアがマルボロの空箱に釘付けになっていると——
 ——カラン
 軽い音と共に、清掃員が現れた。
「ったく、ポイ捨てなんかしてんじゃねえよ。」
 清掃員は毒づきながら、無造作にその空箱を拾い上げ、ゴミ箱に放り投げた。
 ——ポスン
 その様子を見ていたエリシアは、思わず間抜けな声を漏らした。
「え。」
 彼女はしばらくその場に立ち尽くしていた。