ep86 ダークエルフ
ー/ー 建物に入る。妖しげな照明に照らされた大きなフロアがあり、奥にはいくつかの個室がある。
「人がいない……」
女は先に俺を無人のフロアへ入れてから、後ろ手にドアをパタンと閉めた。
「それじゃあさっそく教えてくれ。〔フリーダム〕について知っていることを」
俺は女の方へ振り返ると、すぐに本題を切り出した。
おもむろに女はクスクスと笑いだす。
「気づかないの?」
「罠にか? そんなものは織り込み済みで来ている。早く知っていることを話せ」
「違う。わたしのこと」
「君のこと?」
「ねえ? まだわからない? わからないかなぁ?」
女の声色が変化した。にわかに既視感を覚える。
「その声……そうか。お前…昨日の女だな?」
「フフフ、正解」
幻妖な陽炎みたいな光とともに女の姿がモヤモヤと変化する。色気を醸す軽装の女戦士のような服装。砂色の長髪と褐色の肌と紫の瞳は変わらない。もっとも大きな変化は、耳がにゅっと先の尖ったモノとなったこと。
「褐色のエルフ……ダークエルフ?」
転生前、散々ファンタジー作品に親しんできたオタク心がくすぐられない訳がない。俺は思わず興奮すら覚えた。
「そう。わたしはダークエルフ。魔剣使いを捕らえに来た」
「お前は〔フリーダム〕なのか?」
「不正解。でもハズレてもいない」
「……じゃあ、情報はくれないんだな?」
「くれてやったところですでにどうにかなるものでもない」
「どういうことだ?」
「まもなく、この街で戦争が始まる」
「!」
「魔剣使いは最大のイレギュラー要素。だからあえてオマエにはここまで来てもらった」
「魔王軍と人間達との戦争は終わったはずだが?」
「本当にわからないか? フリーダムと国際平和維持軍の戦争だ」
「なんだと? 〔フリーダム〕は、国際平和維持軍との衝突を避けているんじゃないのか?」
俺が疑問を呈した時だ。ドーンという轟音が外から鳴り響いてきた。それと同時に謎の声からアラームが入る。
『クロー様。スピリトゥスの乱れを感知しました。しかも街全体に』
『乱れ、ということは』
『ええ。奴らでほぼ間違いないかと』
事態は変化した。もう少しこのダークエルフとの会話を楽しみたいところだが仕方ない。
「〔グラディウス〕」
俺は魔導剣を顕現させる。
「ダークエルフ。お前に構ってはいられない。邪魔をするなら斬る」
「じゃあ先に魔剣使いを蜂の巣にする」
ダークエルフは片腕を上げるジェスチャーをした。俺はハッとして天井を見上げる。
「魔法の矢!?」
いつの間にか高い天井には黒き闇の光で形づくられた無数の魔法の矢が危険に蠢いていた。
「あらかじめ教えておくけど、すでにオマエは結界内に入ってしまったから外へ逃げることもできない。この建物全体にわたしの結界魔術が施されているから。油断したな、魔剣使い。オマエに恨みはないけど、終わりだ」
号令を下すようにダークエルフの腕がサッと振り下ろされた。
シュババババッ!
無数の漆黒の矢の雨あられが一斉に降り注いでくる。
俺は剣を構えたと同時に技を発動した。
「特殊技能〔ニュンパグレイズ〕」
攻防一体のこの技を、完全防御型で!
「人がいない……」
女は先に俺を無人のフロアへ入れてから、後ろ手にドアをパタンと閉めた。
「それじゃあさっそく教えてくれ。〔フリーダム〕について知っていることを」
俺は女の方へ振り返ると、すぐに本題を切り出した。
おもむろに女はクスクスと笑いだす。
「気づかないの?」
「罠にか? そんなものは織り込み済みで来ている。早く知っていることを話せ」
「違う。わたしのこと」
「君のこと?」
「ねえ? まだわからない? わからないかなぁ?」
女の声色が変化した。にわかに既視感を覚える。
「その声……そうか。お前…昨日の女だな?」
「フフフ、正解」
幻妖な陽炎みたいな光とともに女の姿がモヤモヤと変化する。色気を醸す軽装の女戦士のような服装。砂色の長髪と褐色の肌と紫の瞳は変わらない。もっとも大きな変化は、耳がにゅっと先の尖ったモノとなったこと。
「褐色のエルフ……ダークエルフ?」
転生前、散々ファンタジー作品に親しんできたオタク心がくすぐられない訳がない。俺は思わず興奮すら覚えた。
「そう。わたしはダークエルフ。魔剣使いを捕らえに来た」
「お前は〔フリーダム〕なのか?」
「不正解。でもハズレてもいない」
「……じゃあ、情報はくれないんだな?」
「くれてやったところですでにどうにかなるものでもない」
「どういうことだ?」
「まもなく、この街で戦争が始まる」
「!」
「魔剣使いは最大のイレギュラー要素。だからあえてオマエにはここまで来てもらった」
「魔王軍と人間達との戦争は終わったはずだが?」
「本当にわからないか? フリーダムと国際平和維持軍の戦争だ」
「なんだと? 〔フリーダム〕は、国際平和維持軍との衝突を避けているんじゃないのか?」
俺が疑問を呈した時だ。ドーンという轟音が外から鳴り響いてきた。それと同時に謎の声からアラームが入る。
『クロー様。スピリトゥスの乱れを感知しました。しかも街全体に』
『乱れ、ということは』
『ええ。奴らでほぼ間違いないかと』
事態は変化した。もう少しこのダークエルフとの会話を楽しみたいところだが仕方ない。
「〔グラディウス〕」
俺は魔導剣を顕現させる。
「ダークエルフ。お前に構ってはいられない。邪魔をするなら斬る」
「じゃあ先に魔剣使いを蜂の巣にする」
ダークエルフは片腕を上げるジェスチャーをした。俺はハッとして天井を見上げる。
「魔法の矢!?」
いつの間にか高い天井には黒き闇の光で形づくられた無数の魔法の矢が危険に蠢いていた。
「あらかじめ教えておくけど、すでにオマエは結界内に入ってしまったから外へ逃げることもできない。この建物全体にわたしの結界魔術が施されているから。油断したな、魔剣使い。オマエに恨みはないけど、終わりだ」
号令を下すようにダークエルフの腕がサッと振り下ろされた。
シュババババッ!
無数の漆黒の矢の雨あられが一斉に降り注いでくる。
俺は剣を構えたと同時に技を発動した。
「特殊技能〔ニュンパグレイズ〕」
攻防一体のこの技を、完全防御型で!
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