夜風にとける声
ー/ー夜も更けた街角、スナックのドアが開き、常連客が外へ消える。
「じゃあ、またねー」と笑いながら出ていく彼に、ママはにこにこと手を振る。
その笑顔の温かさが、灯りに滲むように路地を照らした。
客を見送った途端、ふいに肩の力が抜け、背中が少し丸まる。
私は足元からすり寄り、体を押しつけた。
ママは小さく息をつき、指先で私の背をなぞるように触れる。
古いカウンターから漂う酒とおつまみの香り、タバコの微かな匂いが夜に混ざる。
やがて奥から、かすれた声が夜に溶ける。
ビリー・ホリデイの「奇妙な果実」が、ざらついた空気に震えるように漂い、街灯に揺れる影と混ざる。
尾を揺らし、耳をぴんと立て、私はその音と匂い、そして触覚すべてで夜を受け止めた。
街灯に照らされた路地、転がる缶や窓の灯り⋯⋯
小さな片隅で、私とママだけの時間が静かに流れる。
ーーーーー
《自由詩》
夜の歌に耳を澄ませ、
酒の香りを胸に吸い込み、
指先の温もりを感じる。
ママの声と街の影が溶け合い、
私はそっと夜を抱きしめる。
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