表示設定
表示設定
目次 目次




チート能力と共に異世界転生したけど、現実はそう甘くない件について(書籍化しません!)

ー/ー



 異世界に転生した青年、ヨシダは目の前に立つ女神?的な存在からチートスキルを渡された。その眩い光景の中、ヨシダは疑問を抱きつつも内心ワクワクしている。



「これって……なんか、『小説家になろう』みたいじゃん!」



 女神の説明が終わり、ヨシダは試しにスキルを確認しようと叫んでみた。



「ステータスオープン!」



 瞬間、目の前に半透明なステータスウィンドウが浮かび上がる。

【ステータス】
名前: ヨシダ
種族: 人間(転生者)
レベル: 1
HP: 9999 / 9999
MP: 9999 / 9999
攻撃力: 500
防御力: 450
素早さ: 400
魔力: 700

【スキル】
・無限成長: 戦闘や経験で成長速度が通常の100倍。

・万能言語: どんな言語も即座に理解し、話せる。

・無敵領域: 戦闘中に5秒間だけ完全無敵になる。再使用には30分必要。



「なんだこれ、めっちゃ強そう!」



 ステータス画面に並ぶ豪華なスキルの数々を眺め、ヨシダは思わず笑みを浮かべた。



 ヨシダは異世界の街にたどり着くと、見上げるような城壁と活気ある市場の風景に感動しながらも、まずは行くべき場所を考えた。



「やっぱ冒険者ギルドかな。手っ取り早く稼ぐにはそれが一番だろ。」



 歩き始めたその時、街角から妙な雰囲気を感じ取った。足を止めてそちらを伺うと、何やら騒がしい声が聞こえてくる。



「なぁ〜エリシアちゃんよぉ〜! たまには俺の仕事手伝ってくれよぉ〜!」



 声の主は全身がメタリックシルバーのボディを持つサングラスの男だった。その異様な風貌の男が、金髪の女性にしつこく絡んでいる。



「いやですわよ! そんな気分じゃありませんの!」



 金髪の女性は毅然とした態度で拒絶しているが、男は全く引く気配がない。



 ヨシダは状況を見て、どうすべきか迷った。普通ならチンピラを相手にするのは避けたいところだが、異世界転生者としての責務(?)が頭をよぎる。



「……これ、俺の出番か?」



 心の中で自分に問いかけつつ、彼は一歩前へ踏み出した。



「おい、そこの銀色野郎。レディが嫌がってんだろ?」



 その言葉にチンピラは振り返り、ヨシダを睨みつけた。
 ヴァイはヨシダの言葉を聞くと、腹を抱えて笑い出した。



「ゲヒャヒャヒャヒャ〜! なんだよクソガキ! もやしみてえだなぁ? あん?」



 金属的な声と狂気じみた笑いが周囲に響く。エリシアはそんな様子を横目で見ながら、呆れたようにため息をついた。

 一方、ヨシダは全く怯む様子を見せず、むしろ得意げな笑みを浮かべてヴァイを挑発する。



「へぇ、じゃあ試してみるかい?」



 ヴァイは一瞬驚いたように目を細めたが、すぐにその口元に嫌な笑みを浮かべる。



「試す? お前、わかってんのかよ。この俺様に喧嘩を売るってことがどういう意味か。」



 ヨシダは構わず胸を張り、さらに言葉を続ける。



「試しに殴ってみろよ。」



 その瞬間、ヨシダは内心で叫んだ。



「無敵領域、発動!」



 自分の周囲に目に見えない防御の壁が展開されるのを感じ、彼は余裕たっぷりの笑みを浮かべた。

 ヴァイはその態度にムカついた様子で、大きな拳を振りかぶると全力でヨシダに向けて叩き込んだ。



 ——ゴンッ!!



 大きな音が響き渡る。


 しかし、ヨシダは微動だにせず、ヴァイの拳はまるで硬い壁にぶつかったように止まった。



「なっ……!?」



 ヴァイの驚愕の表情を見て、ヨシダはさらに得意げな声を上げる。



「どうだ、俺の力を思い知ったか!」



 ヨシダはヴァイの驚愕の表情に気をよくし、内心で次のスキルを発動した。



「ステータスリーディング!」



 目の前にヴァイのステータス画面が浮かび上がるはずだった。だが……



「なんだこれ……?」



 ステータスの内容は全て文字化けしており、意味不明な記号と数字が並んでいるだけだった。



(ん? バグかな? まあいいや。)



 ヨシダは特に気にせず、深く考えることなくスキルを閉じた。

 しかし、彼が文字化けに気を取られている間、ヴァイはすでに次の一手を繰り出していた。



 ——バキッ!!



「ガっ!?」



 ヴァイの二回目の拳が、無敵領域が切れたヨシダに見事にヒットした。ヨシダはそのまま吹き飛ばされ、勢いよく街角のゴミ置き場に突っ込む。



「フッツーに弱えええ!」



 ヴァイは声を上げて嘲笑する。エリシアも呆れたように腕を組みながらため息をついた。



「……もやしですわね。」



 ヨシダはゴミ袋の山から顔を出しながら、呟いた。



「あれ……おかしいな……俺、最強のはずなんだけど……」



 その言葉は虚しく空に響き渡った。



 ヨシダはヴァイに吹っ飛ばされたものの、なんとか気を取り直して冒険者ギルドへと向かった。重厚な木製の扉を開けると、ギルド内は賑やかで活気に満ちていた。

 受付で簡単な手続きと能力の確認を済ませたヨシダは、晴れて冒険者として登録完了。



 最初の依頼として「薬草採取」を引き受けることにした。



「よーし、初心者らしく地道に行くか!」



 そう言いながら、彼は薬草が採れるという森に足を踏み入れた。最初は順調に薬草を見つけていたが、途中で何かが足元の草むらから飛び出してきた。



「……なんだ?」



 ヨシダが恐る恐る振り向くと、そこには威圧感たっぷりの巨大な生物——レアモンスター「ドレイク」が現れた。



「う、嘘だろ! 初心者向けの依頼でこんなの出てくるのかよ!」



 パニックになりつつも、ヨシダはスキルを駆使して撃破に成功。ついでに倒したドレイクから剥ぎ取った鱗や爪を持ち帰ることにした。

 ギルドに戻ったヨシダが素材を提出すると、受付嬢の目が驚きで大きく見開かれる。



「こ、これは……ドレイクの鱗!」



 その声に周囲の冒険者たちも集まり始めた。



「たまにしか見かけねえ! おい、これって本物かよ!?」



 ざわつくギルド内。ヨシダは得意げに胸を張った。



「まぁ、俺の実力ならこんなもんかな!」



 実際は運が良かっただけだったが、ヨシダは周囲の視線に気をよくしてニヤリと笑った。この調子で、異世界での冒険はさらに進んでいくのだった。



 ヨシダは大量の報酬を手にして冒険者ギルドの受付を離れたところだった。

 キラリと輝く金貨の袋を握りしめ、内心では「これで俺も順調なスタートを切ったぜ!」と満足気に思っていた。



 だが、その瞬間、どこからともなく影が近寄ってきた。



「げっ……」



 ヨシダの顔が引きつる。

 そこに立っていたのは、さっき街角で彼をゴミ置き場に吹っ飛ばしたあの銀色の男——ヴァイだった。



「……なんでここにいるんだよ……!」



 思わず身構えるヨシダだったが、ヴァイ本人は彼のことなど微塵も覚えていない様子だ。



「うおおおお! 先輩ィ!」



 ヴァイは大声で叫びながら、ヨシダに向かってずかずかと近づいてきた。



「そんなに儲かってるなら俺にもお恵みおおオォ!」



 ヨシダは心の中で叫ぶ。



(いやいやいや、俺、さっきお前にぶっ飛ばされたんだけど!? 数時間前のことだぞ!?)



 だが、ヴァイの顔に浮かぶのは満面の笑みと、まるで親しげな様子の態度だけだった。ヨシダはそのあまりの空気の読めなさに唖然とするしかなかった。



 ヨシダはヴァイのしつこい態度にうんざりしつつも、ふと先ほどのドレイク戦のことを思い出した。



(そうだ……俺、あの時かなり経験値稼いだんじゃないか?)



 早速、彼はステータスを確認するために心の中で叫ぶ。



「ステータスオープン!」



 目の前に浮かび上がったステータスウィンドウを見た瞬間、ヨシダの表情は驚きと喜びに満ちたものに変わった。



【ステータス】
名前: ヨシダ
種族: 人間(転生者)
レベル: 15 (+14)
HP: 19999 / 19999
MP: 19999 / 19999
攻撃力: 1500
防御力: 1200
素早さ: 1000
魔力: 1700

【新スキル】
・連続攻撃: スキルレベルに応じて攻撃回数が増加する。

・属性無効: 炎、氷、雷など全ての属性攻撃を無効化する。

・神速移動: 瞬間的に敵の背後を取れる超高速移動。

・経験値増加: 倒した敵から得られる経験値が10倍になる。



「これならいける!」



 ヨシダは思わず声を上げる。ステータスは飛躍的に成長し、スキルの数も格段に増えている。これならヴァイ相手にも十分に渡り合えるはずだと確信した。



「なぁ、先輩! どうすんだよぉ? お恵みくれるのか、それとも一発いっとくかぁ?」



 ヴァイが不敵な笑みを浮かべ、肩を揺らしながら挑発してくる。



(お前の相手なんか、今なら楽勝だ……!)



 ヨシダは静かに構えながら、内心で次の一手を考え始めた。

 そして大きく息を吸い込み、自信満々にヴァイを睨みつけた。



「おい! しつけえんだよ! 殺すぞ!」



 その一言に、ギルド内の視線が一瞬ヨシダに集まる。しかし、ヴァイは腹を抱えて大笑いした。



「殺すぞ、だってヨォ! こえええなあああ! 誰か助けてくれよおおォ!」



 周囲の冒険者たちも、ヴァイの大袈裟な演技に苦笑しながら見守っている。



(よし、今だ!)



 ヨシダは瞬時に「神速移動」を発動。ヴァイの背後を取ると、懐から取り出した短剣をその首筋に突きつけた。



「助けを呼べると思——」



 だが、彼の言葉が終わるよりも早く、ヴァイの裏拳が飛んできた。



 ——ボキッ!



「ぶぅっ!?」



 一瞬の隙を突かれ、裏拳がヨシダの頬にクリーンヒット。その衝撃でヨシダは勢いよく吹き飛ばされる。



 ——ドッカァン! ガラガラ!



 ヨシダの体はギルドのテーブルに激突し、そこに置かれていたビールジョッキや料理が宙を舞う。彼はそのまま崩れたテーブルの上に転がり込み、ビールまみれになっていた。



「フッツーに弱ええ! ハハハハ!」



 ヴァイはまたも高笑いを上げ、周囲の冒険者たちも呆れたような視線を送る。



「おかしいな……こんなはずじゃ……」



 ヨシダは倒れたまま呟き、チートの力にどこか裏切られたような虚しい表情を浮かべていた。




スタンプを贈って作者を応援しよう!

次のエピソードへ進む 蘇生


みんなのリアクション



おすすめ作品を読み込み中です…



 異世界に転生した青年、ヨシダは目の前に立つ女神?的な存在からチートスキルを渡された。その眩い光景の中、ヨシダは疑問を抱きつつも内心ワクワクしている。
「これって……なんか、『小説家になろう』みたいじゃん!」
 女神の説明が終わり、ヨシダは試しにスキルを確認しようと叫んでみた。
「ステータスオープン!」
 瞬間、目の前に半透明なステータスウィンドウが浮かび上がる。
【ステータス】
名前: ヨシダ
種族: 人間(転生者)
レベル: 1
HP: 9999 / 9999
MP: 9999 / 9999
攻撃力: 500
防御力: 450
素早さ: 400
魔力: 700
【スキル】
・無限成長: 戦闘や経験で成長速度が通常の100倍。
・万能言語: どんな言語も即座に理解し、話せる。
・無敵領域: 戦闘中に5秒間だけ完全無敵になる。再使用には30分必要。
「なんだこれ、めっちゃ強そう!」
 ステータス画面に並ぶ豪華なスキルの数々を眺め、ヨシダは思わず笑みを浮かべた。
 ヨシダは異世界の街にたどり着くと、見上げるような城壁と活気ある市場の風景に感動しながらも、まずは行くべき場所を考えた。
「やっぱ冒険者ギルドかな。手っ取り早く稼ぐにはそれが一番だろ。」
 歩き始めたその時、街角から妙な雰囲気を感じ取った。足を止めてそちらを伺うと、何やら騒がしい声が聞こえてくる。
「なぁ〜エリシアちゃんよぉ〜! たまには俺の仕事手伝ってくれよぉ〜!」
 声の主は全身がメタリックシルバーのボディを持つサングラスの男だった。その異様な風貌の男が、金髪の女性にしつこく絡んでいる。
「いやですわよ! そんな気分じゃありませんの!」
 金髪の女性は毅然とした態度で拒絶しているが、男は全く引く気配がない。
 ヨシダは状況を見て、どうすべきか迷った。普通ならチンピラを相手にするのは避けたいところだが、異世界転生者としての責務(?)が頭をよぎる。
「……これ、俺の出番か?」
 心の中で自分に問いかけつつ、彼は一歩前へ踏み出した。
「おい、そこの銀色野郎。レディが嫌がってんだろ?」
 その言葉にチンピラは振り返り、ヨシダを睨みつけた。
 ヴァイはヨシダの言葉を聞くと、腹を抱えて笑い出した。
「ゲヒャヒャヒャヒャ〜! なんだよクソガキ! もやしみてえだなぁ? あん?」
 金属的な声と狂気じみた笑いが周囲に響く。エリシアはそんな様子を横目で見ながら、呆れたようにため息をついた。
 一方、ヨシダは全く怯む様子を見せず、むしろ得意げな笑みを浮かべてヴァイを挑発する。
「へぇ、じゃあ試してみるかい?」
 ヴァイは一瞬驚いたように目を細めたが、すぐにその口元に嫌な笑みを浮かべる。
「試す? お前、わかってんのかよ。この俺様に喧嘩を売るってことがどういう意味か。」
 ヨシダは構わず胸を張り、さらに言葉を続ける。
「試しに殴ってみろよ。」
 その瞬間、ヨシダは内心で叫んだ。
「無敵領域、発動!」
 自分の周囲に目に見えない防御の壁が展開されるのを感じ、彼は余裕たっぷりの笑みを浮かべた。
 ヴァイはその態度にムカついた様子で、大きな拳を振りかぶると全力でヨシダに向けて叩き込んだ。
 ——ゴンッ!!
 大きな音が響き渡る。
 しかし、ヨシダは微動だにせず、ヴァイの拳はまるで硬い壁にぶつかったように止まった。
「なっ……!?」
 ヴァイの驚愕の表情を見て、ヨシダはさらに得意げな声を上げる。
「どうだ、俺の力を思い知ったか!」
 ヨシダはヴァイの驚愕の表情に気をよくし、内心で次のスキルを発動した。
「ステータスリーディング!」
 目の前にヴァイのステータス画面が浮かび上がるはずだった。だが……
「なんだこれ……?」
 ステータスの内容は全て文字化けしており、意味不明な記号と数字が並んでいるだけだった。
(ん? バグかな? まあいいや。)
 ヨシダは特に気にせず、深く考えることなくスキルを閉じた。
 しかし、彼が文字化けに気を取られている間、ヴァイはすでに次の一手を繰り出していた。
 ——バキッ!!
「ガっ!?」
 ヴァイの二回目の拳が、無敵領域が切れたヨシダに見事にヒットした。ヨシダはそのまま吹き飛ばされ、勢いよく街角のゴミ置き場に突っ込む。
「フッツーに弱えええ!」
 ヴァイは声を上げて嘲笑する。エリシアも呆れたように腕を組みながらため息をついた。
「……もやしですわね。」
 ヨシダはゴミ袋の山から顔を出しながら、呟いた。
「あれ……おかしいな……俺、最強のはずなんだけど……」
 その言葉は虚しく空に響き渡った。
 ヨシダはヴァイに吹っ飛ばされたものの、なんとか気を取り直して冒険者ギルドへと向かった。重厚な木製の扉を開けると、ギルド内は賑やかで活気に満ちていた。
 受付で簡単な手続きと能力の確認を済ませたヨシダは、晴れて冒険者として登録完了。
 最初の依頼として「薬草採取」を引き受けることにした。
「よーし、初心者らしく地道に行くか!」
 そう言いながら、彼は薬草が採れるという森に足を踏み入れた。最初は順調に薬草を見つけていたが、途中で何かが足元の草むらから飛び出してきた。
「……なんだ?」
 ヨシダが恐る恐る振り向くと、そこには威圧感たっぷりの巨大な生物——レアモンスター「ドレイク」が現れた。
「う、嘘だろ! 初心者向けの依頼でこんなの出てくるのかよ!」
 パニックになりつつも、ヨシダはスキルを駆使して撃破に成功。ついでに倒したドレイクから剥ぎ取った鱗や爪を持ち帰ることにした。
 ギルドに戻ったヨシダが素材を提出すると、受付嬢の目が驚きで大きく見開かれる。
「こ、これは……ドレイクの鱗!」
 その声に周囲の冒険者たちも集まり始めた。
「たまにしか見かけねえ! おい、これって本物かよ!?」
 ざわつくギルド内。ヨシダは得意げに胸を張った。
「まぁ、俺の実力ならこんなもんかな!」
 実際は運が良かっただけだったが、ヨシダは周囲の視線に気をよくしてニヤリと笑った。この調子で、異世界での冒険はさらに進んでいくのだった。
 ヨシダは大量の報酬を手にして冒険者ギルドの受付を離れたところだった。
 キラリと輝く金貨の袋を握りしめ、内心では「これで俺も順調なスタートを切ったぜ!」と満足気に思っていた。
 だが、その瞬間、どこからともなく影が近寄ってきた。
「げっ……」
 ヨシダの顔が引きつる。
 そこに立っていたのは、さっき街角で彼をゴミ置き場に吹っ飛ばしたあの銀色の男——ヴァイだった。
「……なんでここにいるんだよ……!」
 思わず身構えるヨシダだったが、ヴァイ本人は彼のことなど微塵も覚えていない様子だ。
「うおおおお! 先輩ィ!」
 ヴァイは大声で叫びながら、ヨシダに向かってずかずかと近づいてきた。
「そんなに儲かってるなら俺にもお恵みおおオォ!」
 ヨシダは心の中で叫ぶ。
(いやいやいや、俺、さっきお前にぶっ飛ばされたんだけど!? 数時間前のことだぞ!?)
 だが、ヴァイの顔に浮かぶのは満面の笑みと、まるで親しげな様子の態度だけだった。ヨシダはそのあまりの空気の読めなさに唖然とするしかなかった。
 ヨシダはヴァイのしつこい態度にうんざりしつつも、ふと先ほどのドレイク戦のことを思い出した。
(そうだ……俺、あの時かなり経験値稼いだんじゃないか?)
 早速、彼はステータスを確認するために心の中で叫ぶ。
「ステータスオープン!」
 目の前に浮かび上がったステータスウィンドウを見た瞬間、ヨシダの表情は驚きと喜びに満ちたものに変わった。
【ステータス】
名前: ヨシダ
種族: 人間(転生者)
レベル: 15 (+14)
HP: 19999 / 19999
MP: 19999 / 19999
攻撃力: 1500
防御力: 1200
素早さ: 1000
魔力: 1700
【新スキル】
・連続攻撃: スキルレベルに応じて攻撃回数が増加する。
・属性無効: 炎、氷、雷など全ての属性攻撃を無効化する。
・神速移動: 瞬間的に敵の背後を取れる超高速移動。
・経験値増加: 倒した敵から得られる経験値が10倍になる。
「これならいける!」
 ヨシダは思わず声を上げる。ステータスは飛躍的に成長し、スキルの数も格段に増えている。これならヴァイ相手にも十分に渡り合えるはずだと確信した。
「なぁ、先輩! どうすんだよぉ? お恵みくれるのか、それとも一発いっとくかぁ?」
 ヴァイが不敵な笑みを浮かべ、肩を揺らしながら挑発してくる。
(お前の相手なんか、今なら楽勝だ……!)
 ヨシダは静かに構えながら、内心で次の一手を考え始めた。
 そして大きく息を吸い込み、自信満々にヴァイを睨みつけた。
「おい! しつけえんだよ! 殺すぞ!」
 その一言に、ギルド内の視線が一瞬ヨシダに集まる。しかし、ヴァイは腹を抱えて大笑いした。
「殺すぞ、だってヨォ! こえええなあああ! 誰か助けてくれよおおォ!」
 周囲の冒険者たちも、ヴァイの大袈裟な演技に苦笑しながら見守っている。
(よし、今だ!)
 ヨシダは瞬時に「神速移動」を発動。ヴァイの背後を取ると、懐から取り出した短剣をその首筋に突きつけた。
「助けを呼べると思——」
 だが、彼の言葉が終わるよりも早く、ヴァイの裏拳が飛んできた。
 ——ボキッ!
「ぶぅっ!?」
 一瞬の隙を突かれ、裏拳がヨシダの頬にクリーンヒット。その衝撃でヨシダは勢いよく吹き飛ばされる。
 ——ドッカァン! ガラガラ!
 ヨシダの体はギルドのテーブルに激突し、そこに置かれていたビールジョッキや料理が宙を舞う。彼はそのまま崩れたテーブルの上に転がり込み、ビールまみれになっていた。
「フッツーに弱ええ! ハハハハ!」
 ヴァイはまたも高笑いを上げ、周囲の冒険者たちも呆れたような視線を送る。
「おかしいな……こんなはずじゃ……」
 ヨシダは倒れたまま呟き、チートの力にどこか裏切られたような虚しい表情を浮かべていた。