第56話 夕食
ー/ー
恵子とサキは巫女たちに誘われて、夕食を共にすることになった。
「艦長はおとなしくしているのでしょうか?」とサキ。「儀式の途中で逃げ出してしまわないか心配だったのですが」
「もし儀式中に新神様が逃げ出せば、すぐに捕まえるようにと大神様から仰せつかっておりました」と裕香。「ですが杞憂だったようです。今はおとなしく寝ているそうです」
「よかった」とサキ。
「いつも捕まえるのはサキちゃんの役目だからね」と恵子。
「あなた方はいつから新神様とお知り合いなのですか?」と裕香。
「一年ほど前からです。私たちが防空艦朝風の乗組員になって二か月後に艦長が配属されてきたのです」と恵子。
「どうして朝風に乗ったのですか?」と裕香。
「奇跡の防衛戦の直後に防空隊第一艦隊の編成が始まって、攻撃艦朝風乗員の募集に応募したのです」と恵子。
「それからずっと一緒なのですか?」と裕香。
「はい」と恵子。
「休暇はなかったのですか?」と裕香。
「休みはありましたけど、一般の方々と会うことは禁止されていました。特に魔女の参入儀式の後は、監視されています」と恵子。「地上に降りるのは一年ぶりです」
「新神様に最初にあったとき、驚かなかったのですか?」と裕香。
「驚きました。子供が艦長だなんて、最初は冗談だろうと思いました」と恵子。「つい口に出してしまって、上官にひどく怒られました」
「艦長としてはどうだったのですか?」と裕香。
「初めから的確な指示を出して、私たちを驚かせました」と恵子。「最初は戸惑いましたが、すぐに艦長が子供であることが気にならなくなりました」
「そうなの」と裕香。「あの方が生まれ変わりだと知らされていたのですか?」
「いいえ。何も知りませんでした」と恵子。「艦長も何も知らされず、艦に連れてこられたようです」
「あら、あの方はだまされたのですか」と裕香。
「サキちゃんがハブ空港で制服に着替えさせて、チャーター機で軌道ステーションに運んだそうです。上官たちは到着ロビーのラウンジで彼を大尉に任官させ、そのまま朝風に乗艦させたそうです」と恵子。
「そのとき、大神さまも一緒だったの?」と裕香。
「あのときは、艦隊司令の瑠璃子准将が任命していました」とサキ。
「そう、瑠璃子さまが宇宙に出られたのは、そのためだったのですね」と裕香。「防衛本部の真剣さが伝わってきます」
「私たちは、後になってどれだけ上の人たちが艦長を大切にしていたかを知りました」と恵子。
「そのようね。そして、私たちは完全に取り残されてしまった」と裕香が残念そうにつぶやいた。
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「よかった」とサキ。
「いつも捕まえるのはサキちゃんの役目だからね」と恵子。
「あなた方はいつから新神様とお知り合いなのですか?」と裕香。
「一年ほど前からです。私たちが防空艦朝風の乗組員になって二か月後に艦長が配属されてきたのです」と恵子。
「どうして朝風に乗ったのですか?」と裕香。
「奇跡の防衛戦の直後に防空隊第一艦隊の編成が始まって、攻撃艦朝風乗員の募集に応募したのです」と恵子。
「それからずっと一緒なのですか?」と裕香。
「はい」と恵子。
「休暇はなかったのですか?」と裕香。
「休みはありましたけど、一般の方々と会うことは禁止されていました。特に魔女の参入儀式の後は、監視されています」と恵子。「地上に降りるのは一年ぶりです」
「新神様に最初にあったとき、驚かなかったのですか?」と裕香。
「驚きました。子供が艦長だなんて、最初は冗談だろうと思いました」と恵子。「つい口に出してしまって、上官にひどく怒られました」
「艦長としてはどうだったのですか?」と裕香。
「初めから的確な指示を出して、私たちを驚かせました」と恵子。「最初は戸惑いましたが、すぐに艦長が子供であることが気にならなくなりました」
「そうなの」と裕香。「あの方が生まれ変わりだと知らされていたのですか?」
「いいえ。何も知りませんでした」と恵子。「艦長も何も知らされず、艦に連れてこられたようです」
「あら、あの方はだまされたのですか」と裕香。
「サキちゃんがハブ空港で制服に着替えさせて、チャーター機で軌道ステーションに運んだそうです。上官たちは到着ロビーのラウンジで彼を大尉に任官させ、そのまま朝風に乗艦させたそうです」と恵子。
「そのとき、大神さまも一緒だったの?」と裕香。
「あのときは、艦隊司令の瑠璃子准将が任命していました」とサキ。
「そう、瑠璃子さまが宇宙に出られたのは、そのためだったのですね」と裕香。「防衛本部の真剣さが伝わってきます」
「私たちは、後になってどれだけ上の人たちが艦長を大切にしていたかを知りました」と恵子。
「そのようね。そして、私たちは完全に取り残されてしまった」と裕香が残念そうにつぶやいた。