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第55話 叱責

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「あなたたち、お茶を出すだけと言ったはずよ」と部屋に入ってきた巫女の一人が言った。

 悠木と桐子の世話を終えて、三人の巫女のうち、一人を残して二人は神楽殿に下がってきたらしい。

 年かさの一人の巫女が近づいてきて、頭を下げた。「この者たちが失礼なことをして、申し訳ありませんでした。どうかご無礼をお許しください」と言った。

「私たちは少し話をしていただけです。何も不愉快なことはありませんでした」と恵子。

「それならばよかったのですが、世間知らずの小娘のことなので、どうかお許しのほどを」と再び頭を下げた。

「私たちもお話ししたかったので、むしろありがたかったのです。どうか頭をお上げください」と恵子。

「ありがとうございます。そうおっしゃってくださるなら、ぜひご好意に甘えさせていただけないでしょうか」と女。

「はい、よろこんで」と恵子。

「私は立花裕香と申します。この宮を預かっております。そしてこちらが巫女の差配をしている遠藤春です」と裕香。春が頭を下げた。

「この二人のことはすでに紹介させていただいているかと思いますが、改めて申し上げますと、葉山智美と佐藤咲子です。まだ若輩者ですが、代々この宮に仕えている家のものです」と裕香。

「それでどのような話をされていたのか、もし差し支えなければお聞かせ願えないでしょうか」と裕香。

 恵子があらましを説明した。裕香はあからさまに激しい怒りの表情を浮かべた。

 俯いて立っている智美と咲子に近ずくと、二人を張り手で頬を打った。二人は勢いで横に倒れた。

「御祭神様の付添の方に何て無礼な!」と裕香は激しい剣幕で怒鳴りつけた。「今日という今日は絶対に許しません。二人とも今すぐにここを出ていきなさい!」

「そんな、私は納得できません!」と智美。

「だまりなさい!」と裕香。

「あのような怪しげな子供が御祭神などと」と智美。「皆騙されているのです!」

「何を言うのですか!」と裕香。「あなたは何も分かっていません」

「分かっていないのは宮主様の方です!」と智美。「あの子供は神でも悪魔でも何でもありません。見ればわかるじゃないですか!」

「いいえ、あの方は紛れもなく、涙の魔術師様に間違いありません」と智美。「あの方は誰よりも謙虚で優しいお人柄なのです。そして己の気配を消して人を受け入れる大きな度量をお持ちの方なのです。佐藤様、川本様、そうなのでしょう?」

「その通りだと思います」と恵子。

「私たちはこの宮で、今までに大きな過ちを二回も犯しているのです。もう間違いは許されません」と裕香。

「あなたたちは魔女なのでしょう?」と裕香。

「はい」と恵子。「艦長に名付け親になって頂きました」

「やはりそうだったのね」と裕香。

「あなたたち、さっきはただの士官って言ってたじゃないの!」と智美。

「黙りなさい!」と裕香。「涙の魔術師様の付添が、魔女でないわけがないでしょう」

「ごめんなさい。言いそびれてしまって」とサキ。

「この子たちが愚かなだけよ」と裕香。

「私たちは気にしていませんから、この二人を許してもらえないでしょうか?」と恵子。

「あなた方がそうおっしゃるなら、そのようにさせていただきます」と裕香。「あなたたち、このお二人に感謝なさい」



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「あなたたち、お茶を出すだけと言ったはずよ」と部屋に入ってきた巫女の一人が言った。
 悠木と桐子の世話を終えて、三人の巫女のうち、一人を残して二人は神楽殿に下がってきたらしい。
 年かさの一人の巫女が近づいてきて、頭を下げた。「この者たちが失礼なことをして、申し訳ありませんでした。どうかご無礼をお許しください」と言った。
「私たちは少し話をしていただけです。何も不愉快なことはありませんでした」と恵子。
「それならばよかったのですが、世間知らずの小娘のことなので、どうかお許しのほどを」と再び頭を下げた。
「私たちもお話ししたかったので、むしろありがたかったのです。どうか頭をお上げください」と恵子。
「ありがとうございます。そうおっしゃってくださるなら、ぜひご好意に甘えさせていただけないでしょうか」と女。
「はい、よろこんで」と恵子。
「私は立花裕香と申します。この宮を預かっております。そしてこちらが巫女の差配をしている遠藤春です」と裕香。春が頭を下げた。
「この二人のことはすでに紹介させていただいているかと思いますが、改めて申し上げますと、葉山智美と佐藤咲子です。まだ若輩者ですが、代々この宮に仕えている家のものです」と裕香。
「それでどのような話をされていたのか、もし差し支えなければお聞かせ願えないでしょうか」と裕香。
 恵子があらましを説明した。裕香はあからさまに激しい怒りの表情を浮かべた。
 俯いて立っている智美と咲子に近ずくと、二人を張り手で頬を打った。二人は勢いで横に倒れた。
「御祭神様の付添の方に何て無礼な!」と裕香は激しい剣幕で怒鳴りつけた。「今日という今日は絶対に許しません。二人とも今すぐにここを出ていきなさい!」
「そんな、私は納得できません!」と智美。
「だまりなさい!」と裕香。
「あのような怪しげな子供が御祭神などと」と智美。「皆騙されているのです!」
「何を言うのですか!」と裕香。「あなたは何も分かっていません」
「分かっていないのは宮主様の方です!」と智美。「あの子供は神でも悪魔でも何でもありません。見ればわかるじゃないですか!」
「いいえ、あの方は紛れもなく、涙の魔術師様に間違いありません」と智美。「あの方は誰よりも謙虚で優しいお人柄なのです。そして己の気配を消して人を受け入れる大きな度量をお持ちの方なのです。佐藤様、川本様、そうなのでしょう?」
「その通りだと思います」と恵子。
「私たちはこの宮で、今までに大きな過ちを二回も犯しているのです。もう間違いは許されません」と裕香。
「あなたたちは魔女なのでしょう?」と裕香。
「はい」と恵子。「艦長に名付け親になって頂きました」
「やはりそうだったのね」と裕香。
「あなたたち、さっきはただの士官って言ってたじゃないの!」と智美。
「黙りなさい!」と裕香。「涙の魔術師様の付添が、魔女でないわけがないでしょう」
「ごめんなさい。言いそびれてしまって」とサキ。
「この子たちが愚かなだけよ」と裕香。
「私たちは気にしていませんから、この二人を許してもらえないでしょうか?」と恵子。
「あなた方がそうおっしゃるなら、そのようにさせていただきます」と裕香。「あなたたち、このお二人に感謝なさい」