ep80 気になっていたこと
ー/ー 【2】
〔サンダース〕は大都市だった。
ロットンと同じようなごちゃごちゃとした雑多なエリアもあれば(この世界においての)近代的な商業エリアもある。
ゴロツキのたむろしてそうな貧しい地域もあれば、貴族や大商人のいる富裕層地域もある。
「うめえうめえ」
宿屋の食堂の料理にブーストはバクバクと食らいついた。
「コイツ、昼間に街へ着いてから夜の今まで食ってばっかだな……」
俺は呆れてため息を吐いた。
「でもクローさん。サンダースの料理は美味しいですね。ロットンのご飯が不味かったというわけではないですけど、本当に美味しいです」
隣でシヒロが満足そうにニッコリと笑った。
「メシのウマイところには人が集まる。サンダースには貴族から商人からおれみたいなゴロツキまで、色んなヤツらが集まってきやがる。ましてや戦争も終わって平和になったんだ。ますます繁盛するってもんだぜ」
トレブルが肉を口に運びながら語る。
「それだけじゃねえよ。明日から祭りが始まるんだ。それでいつもよりも人が多いんだぜ。ダンナも祭り目当てなんだろ?」
「ああ。だが、無事に執り行われるのかはわからないけどな」
「えっ?」シヒロがいち早く勘づく。「クローさん、それって……」
「〔フリーダム〕だ」
「いや待てよダンナ!」
「いくらフリーダムでもそれは考えにくいぜ!?」
どうしてかトレブルとブーストが揃って異議を唱えた。
「なぜだ?」
「だってよ? 平和記念祭だぜ?」
「ここじゃ半年ごとにやってるみてえだが、このタイミングで暴れたらマジで国際平和維持軍の主要部隊が来ちまう可能性がある。それはさすがに〔フリーダム〕も避けるだろうぜ?」
ふたりの言っている意味は理解した。理にも適っている。ここで俺は前々から気になっていたことを口にしてみる。
「それは勇者が来るってことか?」
「そ、それはさすがにないんじゃないですか?」と今度はシヒロが真っ先に否定してきた。
「どうしてだ?」
「戦後、勇者様がそのような現場に直接出向いたという話は聞いたことがありません。といっても、あくまでぼくみたいな一般庶民の知るかぎりではありますけど……」
「おれも勇者はねえと思うぜ? ダンナ。そもそも、それで勇者が動くぐれえなら、とっくにフリーダムは勇者に潰されているはずだぜ」
トレブルも同意を示した。
「ということは……勇者は来ないが誰かしらが率いる主要部隊は来るかもしれない、ということか」
「ところでダンナ。フリーダムが祭り中に襲ってくるっていう明確な根拠はあんのか?」
俺はトレブルとブーストにじろっと目を据える。
「ロットンでの戦いの後の去り際、シヴィスが俺に祭りに行ってみろと言った。どういう意味かはわからんが、いずれにしてもヤツらが何らかの動きを見せる可能性が高い」
この時、俺は気づいていなかった。
宿屋の一階の食堂で食事する俺たちを、ガヤガヤとする賑わいの陰からそっと監視する者がいたことを。
〔サンダース〕は大都市だった。
ロットンと同じようなごちゃごちゃとした雑多なエリアもあれば(この世界においての)近代的な商業エリアもある。
ゴロツキのたむろしてそうな貧しい地域もあれば、貴族や大商人のいる富裕層地域もある。
「うめえうめえ」
宿屋の食堂の料理にブーストはバクバクと食らいついた。
「コイツ、昼間に街へ着いてから夜の今まで食ってばっかだな……」
俺は呆れてため息を吐いた。
「でもクローさん。サンダースの料理は美味しいですね。ロットンのご飯が不味かったというわけではないですけど、本当に美味しいです」
隣でシヒロが満足そうにニッコリと笑った。
「メシのウマイところには人が集まる。サンダースには貴族から商人からおれみたいなゴロツキまで、色んなヤツらが集まってきやがる。ましてや戦争も終わって平和になったんだ。ますます繁盛するってもんだぜ」
トレブルが肉を口に運びながら語る。
「それだけじゃねえよ。明日から祭りが始まるんだ。それでいつもよりも人が多いんだぜ。ダンナも祭り目当てなんだろ?」
「ああ。だが、無事に執り行われるのかはわからないけどな」
「えっ?」シヒロがいち早く勘づく。「クローさん、それって……」
「〔フリーダム〕だ」
「いや待てよダンナ!」
「いくらフリーダムでもそれは考えにくいぜ!?」
どうしてかトレブルとブーストが揃って異議を唱えた。
「なぜだ?」
「だってよ? 平和記念祭だぜ?」
「ここじゃ半年ごとにやってるみてえだが、このタイミングで暴れたらマジで国際平和維持軍の主要部隊が来ちまう可能性がある。それはさすがに〔フリーダム〕も避けるだろうぜ?」
ふたりの言っている意味は理解した。理にも適っている。ここで俺は前々から気になっていたことを口にしてみる。
「それは勇者が来るってことか?」
「そ、それはさすがにないんじゃないですか?」と今度はシヒロが真っ先に否定してきた。
「どうしてだ?」
「戦後、勇者様がそのような現場に直接出向いたという話は聞いたことがありません。といっても、あくまでぼくみたいな一般庶民の知るかぎりではありますけど……」
「おれも勇者はねえと思うぜ? ダンナ。そもそも、それで勇者が動くぐれえなら、とっくにフリーダムは勇者に潰されているはずだぜ」
トレブルも同意を示した。
「ということは……勇者は来ないが誰かしらが率いる主要部隊は来るかもしれない、ということか」
「ところでダンナ。フリーダムが祭り中に襲ってくるっていう明確な根拠はあんのか?」
俺はトレブルとブーストにじろっと目を据える。
「ロットンでの戦いの後の去り際、シヴィスが俺に祭りに行ってみろと言った。どういう意味かはわからんが、いずれにしてもヤツらが何らかの動きを見せる可能性が高い」
この時、俺は気づいていなかった。
宿屋の一階の食堂で食事する俺たちを、ガヤガヤとする賑わいの陰からそっと監視する者がいたことを。
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