「お前って凄いよなぁ〜」
いつもの休み時間。外を見て黄昏てる愛子に隣の席に座る俺はなんともなしに呟く。それに対して愛子は…………
「何よ、いきなり」
おお!相変わらずのジト目全開。整った切れ長の目から放たれるソレは中々、心に来るものがあるぜ……
「いやぁ、見た目はただの机なのにさ、中は学校なんて広い異空間じゃん、しかも “校庭” まである♪」
しかも、色んな時空に繋がってるなんてある意味反則だよな。
「今更ねぇ……何、企んでんの?」
唐突な俺の褒め言葉に、ますます疑念を強めた愛子は目を細めながら聞き返してくる。
いや、企むって程でもないんだけどな……
「ちょっと聞きたかったんだけど、以前俺と先生がお前の中に入った時、俺達結構走り回ったじゃん。お前的に平気だったの?」
中に入ったんじゃなくて、正確には “喰われた” んだけどな。まぁ、この辺は正直どうでもいい。
「廊下は走んないで欲しかったけど、アレくらいなんとも無いわよ」
「そうか……校舎内でそうなら “校庭” ならもっと烈しく動いても平気そうだな」
「そりゃ……校庭だからね…………何で、そんなこと聞くの?」
若干引いてるな……目の中の疑念に、少量の恐怖が混じり出した。何か無理くせぇけど、駄目元で聞いてみるか。
「霊的な衝撃とか力には、どの程度耐性があるんだ? 例えば中に居る人間が霊気で爆発なんか起こしたら、やっぱ痛い?」
「は!? そりゃ、規模にも寄るけどやっぱり痛いわよ! さっきから、何なの一体!?」
完全にドン引きしてんな……
「やっぱり、ダメージがあるよな……いや、変なこと聞いて悪かったよ」
「だから、何でそんな事聞くのよ?」
まぁ、当然の疑問だな。ここまで聞いたら話すしかないか。
「いや、俺が今いる事務所の所長……そいつとよく組手すんだけどさ…」
「組手?」
「要は実戦形式でやり合うんだよ、柔道部の試合形式の練習みたいなもんだよ」
俺達のは、そんな規模じゃすまねぇけど……
「それで?」
「普段は廃工場とかでやるんだけど、最近それが使い難くなってさ」
「何で使い難くなってるの?」
「何でだろうね……」
最近、やたらパトカーの巡回が多くなったんだよな…………お互い “抑え” が効かなくなって霊波砲やら、霊盾でドッカン、ドッカンやってるのは多分無関係だろうけど。
「そもそも、それと私に何の…………!?」
あっ、察した?
ドン引きから一転、顔中を怒りに染めた愛子が口を開く。
「廃工場が使えないから、私の中で暴れる積りだったの……??」
「いや……全く影響がないなら、頼みたいなぁ〜なんて…………」
妙神山の異空間に入れば、んな事気にせずバンバンやれんだけど、そうそう行けるとこでもないしな。
他に異空間って言ったら、愛子しか思い浮かばなかったんだけど完全にやぶ蛇クセェ……
「……………………」
「無理だよな………?」
「………「いい」って、言うと思った?」
「思わない」
「じゃあ、聞かないでよ!!」